160 / 244
5 地獄行きジェットコースター
7
しおりを挟む
「はい」
久遠は笑顔で言った。
「ダメですか? でも、僕はもう、以前の僕とはちがいますよ」
それを聞いた京一は、おどろいたような顔をすると、
「それもそうだな」と言って、久遠を信頼するように笑いかえした。
乙葉と柚子が厨房で見つめる中、京一と久遠の二人は、音がした方へと、すたすたと歩いていく。その時、またガタガタという大きな音がした。
「掃除用ロッカーからだ」
京一は掃除用ロッカーにまっすぐに近づいていくと、すぐにその扉を開けた。
その途端、ロッカーの中から、いきなり人が倒れ出てきた。ロッカーのすぐ前にいた京一は、とっさに倒れてきた人をよけて、その姿を凝視した。
「銀司!」
乙葉が大きな声で言った。
「そんなところにいたのね」
四郎たちの時と同様、京一はひざまずき、倒れて気を失っている銀司の首の脈拍を手ではかり出した。
それからすこし経って、京一はハッとすると、
「まだ生きてる! 気を失っているだけだ」と言った。
「よかった」
安心したように久遠が言った。
「おい、起きろ」
京一は目を覚まさせようと、倒れている銀司の服のすそを両手でつかみ、何度か揺すった。
「起きてください、銀司さん!」
久遠も京一につづいて、銀司に向かって呼びかける。
すると、銀司は倒れたまま、ゆっくりと目を開けた。
「ようやく目を覚ましたようだ」
京一が言った。
「ん……ああ」
まだ寝ぼけている様子の銀司が、うめくように低い声で言った。
「ここは一体、どこだ?」
久遠は笑顔で言った。
「ダメですか? でも、僕はもう、以前の僕とはちがいますよ」
それを聞いた京一は、おどろいたような顔をすると、
「それもそうだな」と言って、久遠を信頼するように笑いかえした。
乙葉と柚子が厨房で見つめる中、京一と久遠の二人は、音がした方へと、すたすたと歩いていく。その時、またガタガタという大きな音がした。
「掃除用ロッカーからだ」
京一は掃除用ロッカーにまっすぐに近づいていくと、すぐにその扉を開けた。
その途端、ロッカーの中から、いきなり人が倒れ出てきた。ロッカーのすぐ前にいた京一は、とっさに倒れてきた人をよけて、その姿を凝視した。
「銀司!」
乙葉が大きな声で言った。
「そんなところにいたのね」
四郎たちの時と同様、京一はひざまずき、倒れて気を失っている銀司の首の脈拍を手ではかり出した。
それからすこし経って、京一はハッとすると、
「まだ生きてる! 気を失っているだけだ」と言った。
「よかった」
安心したように久遠が言った。
「おい、起きろ」
京一は目を覚まさせようと、倒れている銀司の服のすそを両手でつかみ、何度か揺すった。
「起きてください、銀司さん!」
久遠も京一につづいて、銀司に向かって呼びかける。
すると、銀司は倒れたまま、ゆっくりと目を開けた。
「ようやく目を覚ましたようだ」
京一が言った。
「ん……ああ」
まだ寝ぼけている様子の銀司が、うめくように低い声で言った。
「ここは一体、どこだ?」
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる