ルーカスと呪われた遊園地（中）

５ 地獄行きジェットコースター

６

　しかし、柚子は乙葉のいうことを無視し、
「一体どうして……」と、不可解な表情を浮かべて言った。
「あいつだ、あいつ……バーサークに殺されたんだ」
　どうにもできなかったことがくやまれるのか、バーサークにたいして憎しみをこめた声で京一が言った。
「じゃあつまり、権太さんたちは、僕たちが寝ていた夜中に抜け出したってことですか？」
　確信を得たように久遠が聞いた。
「そうだ。でなきゃ、こいつらはまだ生きていたはずだ」
　冷静に京一が言った。
「でも、もう一人足りないわよね？」
　柚子がたしかめるように言った。
「そうだ！　銀司！」
　急に思い出した乙葉が言った。
「銀司がこの中にいないわ！」
「もしかしたら、まだ生きているかもしれませんね」
　久遠が期待するように言った。
　その途端、ホールの方からなにかがぶつかるような、大きな音が鳴り響いた。全員、即座に振り向いて、ホールの様子をながめた。
「なに？」
　不審そうに柚子が言った。
「誰かそこにいるの？」
　しかし、ホールは静まったまま、誰からもなにも返事はない。
「お前たちはここにいろ。俺一人で確認しにいく」
　そう言うと、京一は立ち上がった。
　すると突然、
「待ってください、京一くん！　僕も一緒にいきます」と、久遠が京一を引き止めた。
「久遠も？」
　大丈夫なのかという顔で、京一が言った。