ルーカスと呪われた遊園地（中）

４ 財宝強盗

２３

「あら、よかった。やっと食べる気になったのね」
　権太の様子を見て、乙葉が安心して言った。
　そして、その乙葉の持っているおにぎりを食べたということが、自分たちにすこし心を開いてくれた証なのかもしれないと思うと、乙葉はうれしくなった。
　やがて、やるべきことを終え、みんなは安心して小屋で眠りについた。
　男と銀司と四郎の三人は、相変わらず縛られたままの状態で座っていた。銀司にいたってはいびきをかいて熟睡しているようだったが、男は静かに目をつむっていて、四郎は不安そうに顔をしかめている。見てのとおり、男と四郎だけは、本当に寝ているのか定かではない。
　乙葉は銀司のうるさいいびきに耐えられず、一人で小屋の外に出て、眠くなるまで、夜空の星をぼんやりと眺めていることにした。
「眠れないの？」
　突然、背後から誰かの声がして、乙葉はすぐに振り向いた。
「内田さん」
　乙葉がそう言うと、内田はすぐに、乙葉のとなりに腰かけた。
　そんな内田を見た乙葉は、
「ちょっと、星でも眺めていようかしらって、突然、思ったんですよ」と、冗談っぽく言った。
「なに？　星？」
　笑いながら、愛想よく内田が言った。
「もう、乙葉ちゃん、なにロマンチックなこと言っちゃってるの。そうじゃなくて、銀司のいびきがただうるさいだけでしょ」
「あら、まさかこんなにはやく嘘がバレるなんて、思わなかった」
　笑いながら乙葉が言った。
「やっぱりね」
　わけ知り顔で内田が言った。
「まあ、でもすこしの間、僕でよければ話し相手になるよ」
「ああ、それはうれしいわ。ありがとうございます」
　よろこんで乙葉が言った。