ルーカスと呪われた遊園地（中）

４ 財宝強盗

２０

　京一は、いつもならいろいろ言ってくるのに、今日はめずらしく、黙々と食事をとっている。
　そんな京一を見て、
「ねえ、京一はどう思う？」と、乙葉が尋ねた。
「俺の意見は決まってる。反省の意味も込めて、今夜あいつらに食べ物を与えることは、反対だ」
　おごそかに京一が答えた。
「そうよねえ」
　悩みながら乙葉が言った。
　その時、突然、四郎の腹の音が大きく鳴った。四郎はそのあと、顔を赤らめて、ふいっと外方を向いた。
「お、俺じゃない」
「いや、どう考えても、いまのは四郎だったろ！」
　すかさず銀司が言った。
「おい、四郎。なに腹の音鳴らせてんだよ」
　男が機嫌悪そうに、四郎を責めた。
「情けねえことすんじゃねえよ」
「う、うるさいな。生理現象なんだから、仕方ないだろう？」
　四郎は恥ずかしそうに、体をもぞもぞと動かしている。
「ほら、お腹鳴らせてるよ」
　テーブルに座っている皆に向かって、内田が哀れむように、こっそりと言った。
「きっと腹ぺこなんだよ。可哀想だからはやくあげようよ」
　それを聞いた乙葉は顔をしかめると、
「うーん……じゃあ、仕方ないわね」と言って立ち上がり、食料を持って、四郎の元へとかけ寄った。
　その姿を見た京一は、ため息をつくなり、
「どうせこうなると思ったよ」と言った。
「はい、どうぞ」
　乙葉は四郎の前でかがむと、手が使えない四郎の口元に、内田が外から持ってきたばかりの、コンビニのおにぎりを一つさし出した。
「え……いいの？」