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3 隠し部屋

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 なんでもないようにルーカスが言った。
「でも、さっき見た時はなにも……」
「いいからいいから。さ、はやく中に入ろう」
 乙葉のいうことを途中でさえぎり、ルーカスはそのまま、遊び場の奥へと進んでいった。
「あっ、ちょっと」
 片手を前に出して、ルーカスを引き止めようとしたが、すでにおそく、乙葉はなにもつかめなかった手を歯痒そうに引っ込めた。そして、止まらずに進んでいくルーカスの姿を、入り口の前で立ち止まりながら、不満そうな顔をして見た。
 こんな場所に、あの本に出てくる剣が本当にあるのだろうか。乙葉は内心いぶかりながらも、ルーカスのあとを追って遊び場に入った。
 ルーカスはすでに、部屋の隅の方で、乙葉がくるのを浮かびながら待っていた。
 乙葉はルーカスの前で立ち止まると、
「それで、剣はどこにあるの?」と言った。
「うーん」
 考えるようにルーカスが言った。
「実はこの部屋にはないんだな、これが」
「えっ?」
 衝撃を受けた乙葉は、思わずぎょっとした。
「ないのに、ここまで連れてきたの?」
「まあ待ってよ。お楽しみは、これからだからさ」
 余裕のある感じをかもしながら、ルーカスが言った。
 乙葉は不安になりながらも、ルーカスのすることを、これから大人しく見守ることにした。
「えっとー、たしかこの辺にあったはずー」
 そう言いながら、ルーカスは近くにあった、黒くて大きなキャビネットを漁っている。
 そのキャビネットの中には、ダーツの替えの矢だったり、ビリヤードに使うチョークやラック、ブレイクマットだったりと、予備であろう必要な道具がいくつかおさめられていた。また、よく見るとそれだけではなく、なんだかよくわからない説明書だったり、なにに使うのか見当もつかないような、ガラクタも一緒に入っていた。
 ルーカスはそれらを両手で、次から次に出しては見て、すべて床に投げていた。
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