ルーカスと呪われた遊園地（中）

１ 絶対絶命ゴーカート

４８

　京一が言った。
「無理じゃないわ」
　乙葉がしつこく言うと、京一は諦めたように、
「——そこまで言うなら、好きにしろ」と言った。
　そこへ、ルーカスが、空を飛びながらもどってきた。
「ルーカス！　おかえり、柚子はどうだった？」
　心配になりながら、乙葉が尋ねた。
「全然元気だったよ！　いまはスタート地点にもどっていて、カートからおりて、芝生で鍵を探してるところだった」
　ルーカスが、明るい調子で言った。
「そう……よかった」
　乙葉は柚子が無事だとわかり、心底安心した。
「それなら、みんなで歩いて、スタート地点までもどろう」
　京一が口火を切った。
「久遠、歩けるか？」
「はい、なんとか」
　久遠は、ひざをすこし、曲げながら立っていた。
　なんだかとても歩きづらそうな、久遠を見かねた京一は、だまって久遠の体を支えた。
「ありがとうございます、京一くん」
　すこし照れながら、久遠が言った。
「礼には及およばない」
　素っ気なく京一が言った。
　しばらく四人で移動していると、久遠が口を開いた。
「やっぱり、お化け屋敷の時もそうでしたけど、このゴーカートも、なかなかに危険なアトラクションでしたね」
「そうだな、これはとんでもない予想外だった」
　京一が言った。
「こうなると、ジェットコースターの時も、身がまえておいた方がいいかもしれませんね」
　警戒するように、久遠が言った。
「ああ……」