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1 絶対絶命ゴーカート

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「はいはい。まったくもう、本当にまじめなんだから、京一は。これくらい、見逃してくれてもいいのにね、久遠くん?」
 乙葉は久遠に、共感を求めた。
「あはは。でも、京一くんの言うとおりかもしれないですね」
 残念ながら、久遠も、京一とおなじ考えなのだとわかり、乙葉は顔をしかめた。
「もう、久遠くんまで。わかった、じゃあまた真剣に、鍵を探すとしますか」
 二人の言うとおりに、乙葉は話をやめて、集中しながらあたりを探した。
 しばらく慎重に進んでいると、わかれ道にさしかかった。久遠はわかれ道の手前でブレーキを踏み、カートは完全に止まった。
「うわ、道が二つにわかれてるじゃない」
 乙葉が言った。
「これは、どっちにいけばいいんでしょうね」
 困ったように久遠が言った。
 すると、エンジンの音が聞こえ、後ろを振りかえった。京一とルーカスがやってきたようだった。まもなくして、乙葉たちのすぐ横でカートを止めると、次々に言葉を発した。
「道がわかれてるー」
「予想外だな」
 そこへ柚子がきて、京一たちの横でカートを止めた。柚子はわかれ道を見て、おどろいた顔をしている。
 カート三台は、横一列に並んだ状態になった。
「みんな、どっちにいく?」
 乙葉が聞いた。
「私、左にいく」
 柚子が言った。
「じゃあ、私たちは右にいく?」
 乙葉が久遠に確認した。
「そうですね」
 久遠はすぐに賛成した。
 すると、それを聞いていた京一が、すかさず、
「俺たちも右にいく」と言った。
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