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1 絶対絶命ゴーカート

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 その一言を聞いたルーカスは、即座に自分の椅子に座り直し、
「やだ、おりたくない!」と、駄々をこねた。
「じゃあ暴れるな。頼むから、大人しく乗っていてくれ」
 右手をハンドルに置き、左手は頭を押さえながら、京一が苦々しげに顔をしかめた。
「でも僕は……」
 ルーカスがなにかを言いかけると、京一がすかさず、
「でもじゃない。そんな言い訳をいうなら、いまから本当におろす」とさえぎった。
「えー……わかったよ……」
 残念そうな顔をしたルーカスは、とうとう観念したようだった。
「ごめんなさい。もう大人しくするから、おろさないで」
 さきほどまでの態度がまるでうそのように、しゅんとしたルーカスを見て、京一は、
「本当だろうな?」と、たしかめるように言った。
「うん、絶対!」
 元気よくルーカスが言った。
「——わかった。今回は許してやるけど、次はないからそのつもりでいろよ」
 手厳しく京一が言った。
 乙葉と久遠と柚子の三人は、これまでその様子をハラハラしながら見ていたが、なんとかり合いがついたようで、ホッと胸をなでおろしていた。
「ねえ、京一。それでお願いがあるんだけど」
「お願い?」
 もう終わったかと思いきや、ルーカスがまだ、話をつづける気でいるようだ。京一は眉をひそめている。
「大人しくするから、ちょっとだけ僕にも、運転させて」
 上目遣いでルーカスが言った。
「これは遊びじゃないと言ったはずだが?」
 呆れながら京一が言った。
「お願い、本当にちょっとでいいから」
 ルーカスは両手を合わせて、お願いした。
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