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3 洞窟のポワロウ
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「それはまた、どういう風の吹き回しだ? これまで、俺とお前が二人で、ランチを食べるなんてこと、これまで一度だって、なかっただろう?」
するとスーバは、そういうポーマスの肩を抱くと、
「たまにはいいじゃないか」と、小気味よく言った。
ポーマスは、その滅多にないスーバの誘いに、いまだに驚いているようで、ぽかんとしながら、ただただ立ち尽くしていた。
「さ、そんなことを言う暇があったら、とっとと自分の寝床にいって、にんじんでも持ってこいよ」
今度はポーマスの背中を、前足で押しながら、スーバが言った。
「俺は川で、でっかい魚でも捕まえて、待ってるからさ」
この時、後ろを振り返りながら、スーバを見ていたポーマスは、そのスーバのあまりの強引さに、とうとう押し切られてしまったのか、
「わあかったよ!」と、半ばやけくそ気味に返事をした。
「おい、スーバ!」
ポーマスがそう呼びつつ、自分の寝床へと駆け出すと、
「ちょっくら、大急ぎでいってくるから、先に食ったりするんじゃねえぞ!」と、スーバに釘を刺すように、指をさしながら、大声で言った。
「わかったな? 先に食ったりなんてしたら、あとで俺が、お前をコテンパンにしてやる!」
ポーマスは跳びながら、ジャブを打つふりをして、スーバに向かって言った。
「やれるもんならやってみろ!」
口元に手を当てているスーバが、なんだかすこしうれしそうに、ポーマスに返した。
「ハッハー! ぬかせ!」
その時、もうずいぶん、スーバから遠ざかっていたポーマスが言った。
それからスーバとポーマスは、約束通り、川べりで合流し、二人仲良く、いつも一人で食べる時とは、ちょっぴりちがう、心もお腹も満たされるような、おいしいおいしい、昼ごはんを食べたのだった。
するとスーバは、そういうポーマスの肩を抱くと、
「たまにはいいじゃないか」と、小気味よく言った。
ポーマスは、その滅多にないスーバの誘いに、いまだに驚いているようで、ぽかんとしながら、ただただ立ち尽くしていた。
「さ、そんなことを言う暇があったら、とっとと自分の寝床にいって、にんじんでも持ってこいよ」
今度はポーマスの背中を、前足で押しながら、スーバが言った。
「俺は川で、でっかい魚でも捕まえて、待ってるからさ」
この時、後ろを振り返りながら、スーバを見ていたポーマスは、そのスーバのあまりの強引さに、とうとう押し切られてしまったのか、
「わあかったよ!」と、半ばやけくそ気味に返事をした。
「おい、スーバ!」
ポーマスがそう呼びつつ、自分の寝床へと駆け出すと、
「ちょっくら、大急ぎでいってくるから、先に食ったりするんじゃねえぞ!」と、スーバに釘を刺すように、指をさしながら、大声で言った。
「わかったな? 先に食ったりなんてしたら、あとで俺が、お前をコテンパンにしてやる!」
ポーマスは跳びながら、ジャブを打つふりをして、スーバに向かって言った。
「やれるもんならやってみろ!」
口元に手を当てているスーバが、なんだかすこしうれしそうに、ポーマスに返した。
「ハッハー! ぬかせ!」
その時、もうずいぶん、スーバから遠ざかっていたポーマスが言った。
それからスーバとポーマスは、約束通り、川べりで合流し、二人仲良く、いつも一人で食べる時とは、ちょっぴりちがう、心もお腹も満たされるような、おいしいおいしい、昼ごはんを食べたのだった。
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