妖精たちと出会った日

３ 洞窟のポワロウ

９

「そうか、わかったよ」
　がっかりした様子で、ポワロウが言った。
　けれども、すぐに元気になると、
「じゃあ見ていて」と、ひと言ナーラに言って、そのまま空中に、きれいな虹を作り出した。
　すると不思議なことに、そのポワロウが作った、なにもなかったはずの虹の下に、ナーラが食べたいと言った、マーマレードとクリームのサンドイッチ、ハムとレタスのサンドイッチ、温かい豆のスープ、カスタードプディングが、突如、一気に出現した。
「じゃーん！　どうだい？」
　ポワロウは、その料理の数々の上で、跳ねているかのように、ナーラに見せつけながら飛んだ。
「おいしそうだろう？」
　そう言うポワロウと言ったら、なんとも鼻高々に見える。
「本当！　なんておいしそうなのかしら」
　ナーラは感激して、思わず目を輝かせながら、両手を合わせた。
「これ、本当に食べてもいいの？」
　ナーラが続けてそう聞くと、ポワロウは胸を張って、
「もちろん。君に食べてもらうために出したんだから、食べてもらわなきゃ困るよ」と言った。
　そのポワロウの言葉を聞いた、すでにお腹がペコペコのナーラは、すぐさま、地面に置いてある、見ていると、つい、たらりとよだれの出てきそうな、料理にありついた。
「おいしい……！」
　スープを一口、スプーンですくって飲むなり、ナーラがそう言った。
「おいしいわ、これ！」
　ナーラはもう、スープを飲む手が止まらなかった。
「よかった」
　スープをおいしそうに飲む、ナーラの姿を見て、ポワロウが、満足している様子で言った。
　やがて、ポワロウが出した料理を、あっという間に、ペロリとたいらげたナーラは、お腹をさすると、
「ふう、お腹いっぱいだわ」と言った。