妖精たちと出会った日

大森かおり

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3 洞窟のポワロウ

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 そして、それほど時間がかからずに、
「私、サンドイッチが食べたいわ。マーマレードと、クリームの挟んである、サンドイッチ! それと、ハムとレタスの入っているサンドイッチも!」と言った。
「あと温かいスープがあればうれしいわ。ここは、うんと冷えてるもの」
 いかにも寒そうに、両腕を手でさすりながら、ナーラが言った。
「おやすいごようさ」
 弾むような調子で、ポワロウが言った。
 それから、ナーラがもうなにも言わないでいると、
「おや? もうおわりでいいのかい?」と、不思議そうに、ポワロウが言った。
「僕はまだまだ出せるよ」
 自分の腕をひけらかしたいのか、ポワロウは、自慢げに言った。
「あら、本当に? まだ言ってもいいの?」
 意外に思ったナーラが、驚きながら言った。
「ああ、そうさ」
 ポワロウが声を張り上げた。
 そのあとポワロウは、ナーラの周りを、あちこち飛んで移動しながら、
「デザートに、カスタードプディングなんてどうだい? それとも、チョコレートプディングなんてのは? もしくは、もっと別のデザートでもいいよ。ケーキにドーナツ、シュークリームなんかもさ」と言った。
 ナーラは、ポワロウがそうやって、いろんな場所に動くたびに、目をキョロキョロと動かして、忙しく見ていた。
「さあ、どうする?」
 ポワロウが最後にそう聞くと、ナーラは、
「じゃあ、カスタードプディングをいただこうかしら」と、お願いした。
「わかった、カスタードプディングね。それじゃ、ほかには? 僕はまだ、まだまだまだ、いっぱい出せるんだよ」
 ナーラを急かすように、ポワロウが言った。
 そんなポワロウを見たナーラは、少し申し訳なさそうにすると、
「うれしいけど、もう遠慮しておくわ」と言った。
「だって、一度にすべては食べられないもの」
 続けてそう言うと、ナーラは、肩をすくめた。
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