妖精たちと出会った日

大森かおり

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 けれども、お腹がすいているキコリは、そうやって、困っているおばあちゃんを目にしても、暴れることをやめずに、叫び続けた。
「やーだー! 食べたいー!」
 やれやれ、本当に、キコリのわがままと言ったら、まるで火山が大噴火を起こした時のように、やっかいなことだ。おばあちゃんはどうすることもできずに、暴れるキコリを、もうお手上げだというように見て、かけていたメガネを外すと同時に、片手で額をおさえながら、首をふりふりした。
 やがておばあちゃんは、落ち着くと、キコリが騒いでわがままを言っている間にも、すぐに何かを作ってしまおうと思ったのか、椅子から立ち上がろうとした。
 するとそこで、まあびっくり。おばあちゃんはたまたま、窓の外で、木の妖精が、この家の中をのぞいている姿を目にした。
 その瞬間、おばあちゃんは驚いて、目をぱちくりさせた。
 木の妖精は、おばあちゃんと目が合った直後、ひどく慌てた様子になった。そして、あっという間にして、窓から姿を消してしまった。
 ところが、またすぐに、窓の外にいる木の妖精は、家の中にいるキコリたちの前に、窓を通して、姿を現した。
 おばあちゃんは、その様子を目にすると、なんと一度、クスッと笑い、
「まあ、ちょうどいいところにきたわ」と言った。
 その言葉を聞いたキコリは、すぐさま暴れるのをやめて、不思議そうな顔をすると、
「なあに? おばあちゃん、そこに誰かいるの?」と、尋ねた。
 キコリは寝転がっているから、木の妖精の姿が見えないのだ。
 おばあちゃんは、魔女のようにいたずらっぽく、にやりと笑うと、
「そうさ。キコリも見たかったら、そんなところで寝転んでいないで、起き上がったらどうだい」と言った。
 その時、窓の外に何がいるのか気になって仕方がないキコリは、急いで起き上がって、窓の外を見た。
 そして木の妖精を目にするなり、瞳を輝かせて、
「まあ、こんにちは! 木の妖精さん」と、明るく元気に言った。
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