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10話 鉱石や素材の使い道を考えよう
しおりを挟む集会が終わった直後から、みんなが慌ただしく働き始めた。
とりあえず昨日来たオーガの人たちには急いで自分たちの家を建ててもらっていた。
昨日の段階でほとんど出来上がっている人たちもいて、今日中には全部完成しそうな感じだった。
このオーガのパワーがあれば、鉱石運びやその後の建物の建築もかなり捗りそうだ。
そしてボクたちはその間にダンジョンまでの街道を整備することにした。
まずはナーガがダンジョンまでの最短ルートを竜の波動で印をつけていく。
そしてボクがその印の部分に地属性の魔法をぶつけて掘り起こす。
その後を人々が固めていき、両サイドに結界用の高さのある柵を設置する。
これには少し時間がかかり、翌日からはオーガのみんなも手伝ってくれて、合わせて3日で完成した。
最後にボクと結界技師のドミニクさんで結界を機能させて、ダンジョン街道の出来上がりである。
「出来たー!」
みんなで歓喜の声を上げる。
家や集落もそうだけど、開拓って何か一つ完成すると達成感があるね。
「よし、じゃぁ次は集落の入り口部分に倉庫を建てて、そこにどんどん鉱石や素材を運んでいこう!」
「おー!」
ボクの掛け声でみんなが一斉に動き出し、ダンジョン街道は日が暮れるまでたくさんの人々が行き来をしていた。
⸺⸺
なんとか10日ほどで運びたい素材を倉庫へ収めることができた。
ボクは集落の開拓作業の監督をフェリクスとルナに任せて、倉庫に鉱石職人さんと素材職人さんたちを集めた。
「まず、鉱石がこれだけ採れたんだけど、それぞれ何が作れるのか教えてもらってもいい?」
ボクは鉱石職人のベルトランへ尋ねる。
「はい、このフェイト鉱石は、タイルに加工した後、道や集落の地面に敷き詰めるのがいいかと思います」
「おぉ、フェリクスの言ってた通りだ。うん、分かったよ」
ベルトランは更に説明を続ける。
「このドラグナ鉱石は耐久力に優れているので、建物の壁や集落の柵、そして戦士たちの身に付ける防具に使用できます」
「丈夫になるんだね。それは良い事だ。うん、次いって」
「このスチール鉱石は、鉄や鋼に加工でき、シルバー鉱石は銀に加工できます。この金属があれば、料理に使う鍋や包丁から武器まで本当に色々なものが作れるようになります」
「おぉ、そしたらプラム隊の石装備も卒業できるし、みんながしたがってた料理もできるようになって、一気に快適になるね」
「はい、おっしゃる通りで、本当にありがたいです。最後のこれは、マギニウムですね」
「ふんふん、それは何に使うの?」
「これは、魔具や魔導具のコアになるもので、唯一我々普通の鉱石職人には扱えません」
ベルトランは残念そうな表情をする。
「魔具や魔導具?」
「はい、魔具は魔力の込められた道具で、魔導具は空気中のマナを燃料にした器具になります」
「ふぅん、例えば?」
「例えば魔具は……指輪なんかが簡単ですかね。指輪にパワー増加の魔力を込めて“パワーリング”にすると、それを身に着けたもののパワーが上がるといったものです」
「なるほど、んじゃ魔導具は?」
「こちらは例えば、家の照明、風呂の湯沸かし、洗濯、掃除等々、今手動でやっているものを、この魔導具さえあればワンタッチで行うことができるようになります」
「わぁ、便利アイテムだ」
「はい、魔具も魔導具も非常にたくさんの種類があって、作成できれば見違えるほど暮らしが便利になります」
「それは是非とも取り入れたいね。さっき鉱石職人じゃ扱えないって言ってたけど、誰が扱えるの?」
「はい、魔具であれば魔具職人、魔導具であれば魔導技師です。彼らは原石の加工からアイテムの作成まで全て1人で行います」
「おぉ、この集落にいそう?」
「そうですね、1人か2人ならいたと思います。魔具職人はドワーフ族が、魔導技師はマキナ族が向いていることが多いです。後で探してきましょうか?」
「いや、後でまとめて掲示板で知らせるからいいよ」
「承知しました」
⸺⸺
「よし、次だ。次は素材職人のジョンにダンジョンの戦利品を教えてもらいたい」
「はい、お任せ下さい!」
ジョンはそう元気に返事をしてボクの前に出てくる。
「まずこれは? 壁のあっちこっちに張り付いてたからいっぱい持ってきた」
「クエの蔦です。革に加工することができます。革は布よりもずっと丈夫なので、防具や衣類、家具等も布からグレードアップできますね」
「革って動物から取るんじゃないんだ……。んじゃ次はこのモコモコの草。これもダンジョンの隅にいっぱいあった」
「これはダグニア草です。モコモコして暖かい上に耐久力にも優れているので、コートやローブ、毛布なんかも作れます」
「なるほど。ちょっと寒いなって日でも大丈夫だし、エルフの魔道隊も強くなりそうだね」
「はい、おっしゃる通りです。最後のこの大きな葉はカッ葉と言う植物で、防水性に優れています。ですので雨具や水分を入れるような袋が作れます」
「おぉ、意味あるのか分からなかったけど持ってきて良かった。これで雨の日も大丈夫だね」
あと少しだけ花を詰んできたんだけど、それは全部染料になるらしく、花壇で栽培するのがいいとのことだった。
⸺⸺
一通り説明を受けて、ボクは早速、城前の掲示板に倉庫の素材リストを張り出した。
そしてこの素材を加工できる職人さんたちを翌日城に集め、役割分担をした。
問題は、魔具職人さんと魔導技師さんはドワーフ族のカリータさんとマキナ族のコリー君の1人ずつしかいなくて、圧倒的な人材不足だった。
そのため魔具と魔導具は生活必需品のみに絞って、頑張って作ってもらうことにした。
少し課題は残ったけど、これでこの集落も格段に住みやすくなるはずだ。
ボクはこの鉱石たちの活躍を夢見ながら、次は国境からの街道だ、と気合を入れた。
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