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第三章 打倒、赤ずきん
37話 赤ずきんの突破口
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「赤ずきんが倒せるって……この石版でか?」
と、陽翔さん。
「いえ、正確には、この石版を集めてできるもの、です。確か北欧神話に登場する怪物“フェンリル”の像がありましたよね?」
瑠斗君がそう答えると、陽翔さんはすぐに手帳をペラペラと捲った。
「9階にあるな。けど9階はまだ全制覇してないからな……」
「じゃぁ、明日にするか?」
と、空悟さん。
「そうだね……今日はもう休まないと、明日ヘロヘロで活動できないと困るし……」
そう言う私に皆が賛同し、その日は部屋で休むことになった。
⸺⸺翌朝。
レストランで朝食を取る。ふと入り口の掲示板を見ると、きららの羊皮紙はまだ健在だ。でも、全く鉢合わせることがないため、きっと私たちが活動を終えた深夜に本館で時間を潰しているのだろうと予測ができた。
あんな思いをした後に、ずっと一人で……。それはなんて孤独で寂しいのだろう。
他の3人はその事を気に止める様子も全く無かったので、私も気にしない事にした。
⸺⸺本館9F⸺⸺
とりあえずフェンリルの像をよく調べるために、9階のヴィランを鎮魂させていく。
そしてお昼を挟んだ午後、ようやく皆の鎮魂が完了したため、私たちはフェンリルの像の前に集合した。
それは、大きな狼の像だった。
「でっかい狼だね……って、まさか……狼ってことは……」
と、陽翔さん。瑠斗君が大きく頷く。
「はい。フェンリルに赤ずきんを喰わせます」
「!」
驚く一同。
「確かに赤ずきんちゃんは狼に食べられるけど……」
「それで鎮魂できるとは思っていませんよ。ですが、動きを止めることは可能です。そのまま狼ごと、赤ずきんを刀で斬ります」
「げっ、なんか可哀想だな……」
と、空悟さん。うん、私もそう思うよ……。
「フェンリルはとても凶暴で、可哀想だなんて情をかけると自分が喰われますよ」
瑠斗君が呆れたようにそう言うと、私たちは揃って背筋をゾッとさせた。
「けどよ、んな凶暴な怪物、こんな9階から1階まで連れていけんのか?」
空悟さんがフェンリルの像を見上げながら言う。
「そこでこの石版ですよ」
瑠斗君はフェンリルの像の前でしゃがみ込むと、フェンリルの足元にあったくぼみに石版をはめていく。
石版はそのくぼみにピッタリとはまり、くぼみはあと3つあった。
「おぉ! 石版はフェンリルのためにあったのか!」
大興奮する陽翔さん。
「あと3つあるね。揃えるとどうなるのかな……?」
私の問に、瑠斗君が答える。
「凶暴なフェンリルを唯一縛っておけた紐があります。それは“グレイプニル”と言って、その紐の材料は、猫の足音、女の顎髭、山の根元、熊の神経、魚の吐息、鳥の唾液の6つです。つまり残りの“猫の足音”、“熊の神経”、“鳥の唾液”の石版を集めれば、グレイプニルを作成する事ができ、フェンリルを1階まで連れていけるはずです」
「おぉ! こんな大掛かりな仕掛けがあるくらいだからな、その方法が一番有効そうだ」
と、陽翔さん。
こうして私たちは、打倒赤ずきんちゃんを目指して、残り3つの石版を探すこととなった。
と、陽翔さん。
「いえ、正確には、この石版を集めてできるもの、です。確か北欧神話に登場する怪物“フェンリル”の像がありましたよね?」
瑠斗君がそう答えると、陽翔さんはすぐに手帳をペラペラと捲った。
「9階にあるな。けど9階はまだ全制覇してないからな……」
「じゃぁ、明日にするか?」
と、空悟さん。
「そうだね……今日はもう休まないと、明日ヘロヘロで活動できないと困るし……」
そう言う私に皆が賛同し、その日は部屋で休むことになった。
⸺⸺翌朝。
レストランで朝食を取る。ふと入り口の掲示板を見ると、きららの羊皮紙はまだ健在だ。でも、全く鉢合わせることがないため、きっと私たちが活動を終えた深夜に本館で時間を潰しているのだろうと予測ができた。
あんな思いをした後に、ずっと一人で……。それはなんて孤独で寂しいのだろう。
他の3人はその事を気に止める様子も全く無かったので、私も気にしない事にした。
⸺⸺本館9F⸺⸺
とりあえずフェンリルの像をよく調べるために、9階のヴィランを鎮魂させていく。
そしてお昼を挟んだ午後、ようやく皆の鎮魂が完了したため、私たちはフェンリルの像の前に集合した。
それは、大きな狼の像だった。
「でっかい狼だね……って、まさか……狼ってことは……」
と、陽翔さん。瑠斗君が大きく頷く。
「はい。フェンリルに赤ずきんを喰わせます」
「!」
驚く一同。
「確かに赤ずきんちゃんは狼に食べられるけど……」
「それで鎮魂できるとは思っていませんよ。ですが、動きを止めることは可能です。そのまま狼ごと、赤ずきんを刀で斬ります」
「げっ、なんか可哀想だな……」
と、空悟さん。うん、私もそう思うよ……。
「フェンリルはとても凶暴で、可哀想だなんて情をかけると自分が喰われますよ」
瑠斗君が呆れたようにそう言うと、私たちは揃って背筋をゾッとさせた。
「けどよ、んな凶暴な怪物、こんな9階から1階まで連れていけんのか?」
空悟さんがフェンリルの像を見上げながら言う。
「そこでこの石版ですよ」
瑠斗君はフェンリルの像の前でしゃがみ込むと、フェンリルの足元にあったくぼみに石版をはめていく。
石版はそのくぼみにピッタリとはまり、くぼみはあと3つあった。
「おぉ! 石版はフェンリルのためにあったのか!」
大興奮する陽翔さん。
「あと3つあるね。揃えるとどうなるのかな……?」
私の問に、瑠斗君が答える。
「凶暴なフェンリルを唯一縛っておけた紐があります。それは“グレイプニル”と言って、その紐の材料は、猫の足音、女の顎髭、山の根元、熊の神経、魚の吐息、鳥の唾液の6つです。つまり残りの“猫の足音”、“熊の神経”、“鳥の唾液”の石版を集めれば、グレイプニルを作成する事ができ、フェンリルを1階まで連れていけるはずです」
「おぉ! こんな大掛かりな仕掛けがあるくらいだからな、その方法が一番有効そうだ」
と、陽翔さん。
こうして私たちは、打倒赤ずきんちゃんを目指して、残り3つの石版を探すこととなった。
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