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第一章 始まり
10話 出口のない図書館
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「やっぱり僕、グレーテルを追いかけます」
瑠斗君がそう言って階段を降りようとするのを、陽翔さんと私で必死に抑える。
「だめだよ瑠斗君危ないよ」
「そうだぞ、今日はもうこの宿泊館にいればいいんだから」
「ですが、どこに持っていくのか気になりませんか?」
瑠斗君は食い下がらない。
すると、再び連絡通路の方からカツ、カツ……と足音が聞こえてきて、グレーテルとは違う男の子が姿を現した。
「わっ、ビックリした……もしかしてヘンゼル?」
それにしてもこのヘンゼル、鎖鎌を背中に装備して、薄笑いを浮かべてモップを引きずっている。
「掃除、してるな……」
「血の跡が綺麗に消えていきますね……」
ヘンゼルも相変わらず私たちには興味がないようで、モップを引きずりながら目の前を通り過ぎていった。
「今グレーテルを追いかければ、本館の管理人も誰か分かるかもしれません。だって、本館も血で汚れているはずですから。そうすれば、その管理人は害がないということが分かります。それだけでもかなり有利になると思いませんか?」
瑠斗君は必死に訴えかけてくる。
「そう、だが……。まぁ、そうか……。なら、2人で行くか。紫音は先に部屋に戻っていてくれ」
と、陽翔さん。そんな……独りにはなりたくない。
「独りにはなりたくないから……私も行く」
「でも、グレーテルは首を持ち歩いてるぞ?」
「大丈夫……じゃないけど、でも、私も行く……」
「仕方がない……3人で行ってみるか……。だが瑠斗、何かヤバいと思ったらすぐに引き返すからな?」
「分かっています。さぁ、行きましょう!」
階段の2階の方で皆がざわつく中、私たちはヘンゼルが掃除をして綺麗になった廊下を通り、本館の1階へと向かった。
⸺⸺本館1F ロビー⸺⸺
「ここも暗いな……」
「やっぱり豆電球だけなんだね……」
「工事用のシートで覆われているので、月明かりも入りませんね」
恐る恐るロビーへ足を踏み入れると、朝は入れなかった大きな入り口を見つける。
「あ、あそこ開くかな」
私は入り口まで行って開けようとするが、当然開くはずもない。
「窓も全部開かない……錠を上げても、びくともしないんだ。これは……あの契約書の時のような変な力が働いてると思われる」
と、陽翔さん。まぁ、そうだよね……。
「あっ、お二人ともあちらを見てください!」
瑠斗君にそう言われて指差す先を見ると、黒いモヤモヤをまとい、片足だけにガラスの靴を履いてモップを引きずる女性の姿があった。
その横を、仕事を終えたグレーテルが通り過ぎていく。
なんだかすごい光景だ……。
「あれは……!」
「シンデレラだ……歩きにくそう……」
私は彼女の足元を見つめ、そう言う。
「なるほど、本館の管理人はシンデレラという事が分かりましたね」
瑠斗君はそう言いながらも奥の部屋へと入っていく。
「瑠斗、気をつけろよ!」
「大丈夫です……いや、大丈夫じゃないです!」
瑠斗君はそう言うと、奥の部屋からものすごい勢いで飛び出してきた。
「赤ずきんがいます! 気付かれました! 逃げましょう!」
瑠斗君がそう言って階段を降りようとするのを、陽翔さんと私で必死に抑える。
「だめだよ瑠斗君危ないよ」
「そうだぞ、今日はもうこの宿泊館にいればいいんだから」
「ですが、どこに持っていくのか気になりませんか?」
瑠斗君は食い下がらない。
すると、再び連絡通路の方からカツ、カツ……と足音が聞こえてきて、グレーテルとは違う男の子が姿を現した。
「わっ、ビックリした……もしかしてヘンゼル?」
それにしてもこのヘンゼル、鎖鎌を背中に装備して、薄笑いを浮かべてモップを引きずっている。
「掃除、してるな……」
「血の跡が綺麗に消えていきますね……」
ヘンゼルも相変わらず私たちには興味がないようで、モップを引きずりながら目の前を通り過ぎていった。
「今グレーテルを追いかければ、本館の管理人も誰か分かるかもしれません。だって、本館も血で汚れているはずですから。そうすれば、その管理人は害がないということが分かります。それだけでもかなり有利になると思いませんか?」
瑠斗君は必死に訴えかけてくる。
「そう、だが……。まぁ、そうか……。なら、2人で行くか。紫音は先に部屋に戻っていてくれ」
と、陽翔さん。そんな……独りにはなりたくない。
「独りにはなりたくないから……私も行く」
「でも、グレーテルは首を持ち歩いてるぞ?」
「大丈夫……じゃないけど、でも、私も行く……」
「仕方がない……3人で行ってみるか……。だが瑠斗、何かヤバいと思ったらすぐに引き返すからな?」
「分かっています。さぁ、行きましょう!」
階段の2階の方で皆がざわつく中、私たちはヘンゼルが掃除をして綺麗になった廊下を通り、本館の1階へと向かった。
⸺⸺本館1F ロビー⸺⸺
「ここも暗いな……」
「やっぱり豆電球だけなんだね……」
「工事用のシートで覆われているので、月明かりも入りませんね」
恐る恐るロビーへ足を踏み入れると、朝は入れなかった大きな入り口を見つける。
「あ、あそこ開くかな」
私は入り口まで行って開けようとするが、当然開くはずもない。
「窓も全部開かない……錠を上げても、びくともしないんだ。これは……あの契約書の時のような変な力が働いてると思われる」
と、陽翔さん。まぁ、そうだよね……。
「あっ、お二人ともあちらを見てください!」
瑠斗君にそう言われて指差す先を見ると、黒いモヤモヤをまとい、片足だけにガラスの靴を履いてモップを引きずる女性の姿があった。
その横を、仕事を終えたグレーテルが通り過ぎていく。
なんだかすごい光景だ……。
「あれは……!」
「シンデレラだ……歩きにくそう……」
私は彼女の足元を見つめ、そう言う。
「なるほど、本館の管理人はシンデレラという事が分かりましたね」
瑠斗君はそう言いながらも奥の部屋へと入っていく。
「瑠斗、気をつけろよ!」
「大丈夫です……いや、大丈夫じゃないです!」
瑠斗君はそう言うと、奥の部屋からものすごい勢いで飛び出してきた。
「赤ずきんがいます! 気付かれました! 逃げましょう!」
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