22 / 23
22話 ステリア軍の凱旋
しおりを挟む
クラウス率いるステリア軍は制圧したリーテン城を拠点に次はアンカード王国の攻略を目指した。
「暗駆の情報では、既にアンカード王国は滅んでいるんだったな」
と、クラウス。
「そうね。そのミラ教のアンカードに在住する戦力もおよそ1000。1時間もしないうちに制圧できると思うけど……」
「まだあの伝承の悪魔のような力を使う輩が残っているとも限らん。ここは慎重に全部隊を投入する」
「分かったわ。騎士団長の指示に従います」
そしてステリア軍がリーテン城を出発してアンカード王国へたどり着く頃には、ミラ教の信者たちは船に乗って次々とアンカードを脱出していくところであった。
クラウスは全軍に深追いすることを禁じ、ミラ教の信者たちは私たちが堂々とアンカードを制圧していく中、あっという間に国から姿を消した。
1人部隊に置いていた暗駆の情報によると、どうやらエイダ王女を名乗る女が“ミラ様”本人らしく、それが散った今ミラ教は既に機能しておらず、元信者らは母国へと帰って行ったのではないかとのことであった。
そのため1滴を血を流すこともなくアンカードの攻略に成功したステリア軍は、意気揚々と母国ステリアの王都ステリディアへと凱旋を果たした。
⸺⸺
その後のアンカードは、近辺諸国との同盟国会議でその土地の処遇に対する議論が行われた。
死者の魂が多数眠る廃墟であることから、どの国の所有にもせずに“中立廃都市”として、各々の国で毎年お祈りが行われることとなった。
そしてリーテン国王は、その同盟会議の中でリーテン王政の廃止を宣言した。
これにはリーテン王家の復興を支援しようとしていたステリア王国一同も皆驚きを顕にしたが、ジョン王子が既に廃人の抜け殻になってしまった以上、この先の王家の維持は難しいというリーテン国王の判断であった。
リーテン元国王はリーテン領土をステリア王国へと献上した。
すると驚くことに、ステリア王国のヨゼフ国王は、その地の統治を自国の騎士団長であるクラウス・ヴェルマーへと一任すると宣言したのである。
そしてクラウスに王族以外では初となる“公爵”の爵位が与えられたのである。
私とクラウスは、アンカード攻略の当事者であったため、本来国王のみが出席するこの同盟会議に顔を出していたが、思わぬ発表に2人とも度肝を抜かれた。
クラウスは咄嗟のことではあったが、“ヴェルマー公爵”として、元リーテンの地を“ヴェルマー領”と定め立派に統治していくと宣言した。
「暗駆の情報では、既にアンカード王国は滅んでいるんだったな」
と、クラウス。
「そうね。そのミラ教のアンカードに在住する戦力もおよそ1000。1時間もしないうちに制圧できると思うけど……」
「まだあの伝承の悪魔のような力を使う輩が残っているとも限らん。ここは慎重に全部隊を投入する」
「分かったわ。騎士団長の指示に従います」
そしてステリア軍がリーテン城を出発してアンカード王国へたどり着く頃には、ミラ教の信者たちは船に乗って次々とアンカードを脱出していくところであった。
クラウスは全軍に深追いすることを禁じ、ミラ教の信者たちは私たちが堂々とアンカードを制圧していく中、あっという間に国から姿を消した。
1人部隊に置いていた暗駆の情報によると、どうやらエイダ王女を名乗る女が“ミラ様”本人らしく、それが散った今ミラ教は既に機能しておらず、元信者らは母国へと帰って行ったのではないかとのことであった。
そのため1滴を血を流すこともなくアンカードの攻略に成功したステリア軍は、意気揚々と母国ステリアの王都ステリディアへと凱旋を果たした。
⸺⸺
その後のアンカードは、近辺諸国との同盟国会議でその土地の処遇に対する議論が行われた。
死者の魂が多数眠る廃墟であることから、どの国の所有にもせずに“中立廃都市”として、各々の国で毎年お祈りが行われることとなった。
そしてリーテン国王は、その同盟会議の中でリーテン王政の廃止を宣言した。
これにはリーテン王家の復興を支援しようとしていたステリア王国一同も皆驚きを顕にしたが、ジョン王子が既に廃人の抜け殻になってしまった以上、この先の王家の維持は難しいというリーテン国王の判断であった。
リーテン元国王はリーテン領土をステリア王国へと献上した。
すると驚くことに、ステリア王国のヨゼフ国王は、その地の統治を自国の騎士団長であるクラウス・ヴェルマーへと一任すると宣言したのである。
そしてクラウスに王族以外では初となる“公爵”の爵位が与えられたのである。
私とクラウスは、アンカード攻略の当事者であったため、本来国王のみが出席するこの同盟会議に顔を出していたが、思わぬ発表に2人とも度肝を抜かれた。
クラウスは咄嗟のことではあったが、“ヴェルマー公爵”として、元リーテンの地を“ヴェルマー領”と定め立派に統治していくと宣言した。
30
お気に入りに追加
284
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~
藤原ライラ
ファンタジー
心を奪われた手紙の先には、運命の人が待っていた――
子爵令嬢のキャロラインは、両親を早くに亡くし、年の離れた弟の面倒を見ているうちにすっかり婚期を逃しつつあった。夜会でも誰からも相手にされない彼女は、新しい出会いを求めて文通を始めることに。届いた美しい字で洗練された内容の手紙に、相手はきっとうんと年上の素敵なおじ様のはずだとキャロラインは予想する。
彼とのやり取りにときめく毎日だがそれに難癖をつける者がいた。幼馴染で侯爵家の嫡男、クリストファーである。
「理想の相手なんかに巡り合えるわけないだろう。現実を見た方がいい」
四つ年下の彼はいつも辛辣で彼女には冷たい。
そんな時キャロラインは、夜会で想像した文通相手とそっくりな人物に出会ってしまう……。
文通相手の正体は一体誰なのか。そしてキャロラインの恋の行方は!?
じれじれ両片思いです。
※他サイトでも掲載しています。
イラスト:ひろ様(https://xfolio.jp/portfolio/hiro_foxtail)
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜
梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。
そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。
実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。
悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。
しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。
そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる