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8話 魔道士としての実力

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 翌日から、私も騎士団の一員として、訓練に参加することになった。

 その模擬戦闘で、私は自分の意外な実力を知ることとなる。


「そこまで、勝者、シェリー様!」

「わぁ、また私の勝ち……?」

「つ、強すぎる……まるで歯が立たない……お手合わせありがとうございました!」
 私の対戦相手の魔道士さんは、そう言って深く礼をして去っていた。

「次、俺いいですか?」
「次は私とお願いします!」

「ええ、もちろんみんなとお手合わせしたいわ。えっと……順番に並んでくれる?」

「はい!」


 そして私は、その列に並んだ魔道士さんたちを次々に魔法で吹きとばしていく。

 すると、クラウスが様子を見に魔道士の訓練場へと顔を出した。

「……シェリー……やるな……」
 クラウスはそう言って呆気にとられていた。

⸺⸺

「ふぅ、ちょっと休憩いいかしら? 残りのみんなは30分後に再開するわ」

「はい、お願いします!」

 私は魔法杖を背に収めながら、見ていたクラウスの元へと駆け寄る。

「シェリー、見ていたぞ。お前すごいじゃないか!」
 クラウスが満面の笑みで迎えてくれる。

「そう、なのかしら……私ちょっと思っちゃったんだけど、一応王族だから、手を抜かれているんじゃないかしら……」
 私がそう不安を打ち明けると、クラウスは首を大きく横に振った。

「俺が見ている限りでは皆手など抜いていない。むしろ、この強者つわもの一矢いっし報いたいという気迫が伝わってきているけどな……」

「ほ、本当に? 実はリーテン王国にいる時、あんまりジョン王子と話したくなくてずっと魔法の訓練をしていたのよ。いつの間にかこんな実力がついていたなんて、自分でもビックリよ」

「なっ……ジョン王子と話したくないなんて……あまり言わないほうがいいぞ……」
 クラウスは苦い顔をする。

「だってぇ……」
 私はぷくーっと頬を膨らませて不満をあらわにする。


 そんな私たちのやり取りを遠くで見守っていた魔道士さんたちは、口々に「美男美女だ……」とか「あのヴェルマー団長が女性とあんなに楽しそうに……」等々、好き勝手言いまくっていた。

⸺⸺

 そして休憩を終えて残りの魔道士さんたちと全員手合わせをして、見事全員に打ち勝った私は、その場で騎士団長様から急遽きゅうきょ『魔道将軍』の称号を得ることとなった。

「え、これって……魔道士のトップってことでしょ? 他にもここにいない魔道士さんたちとお手合わせしなくていいの?」

「実は、彼がこの騎士団の魔道士の中のトップだったんだ」
 クラウスが1人の男性を指差してそう言う。彼も私が例外なく吹き飛ばしたうちの1人だ。

 その指差された彼は申し訳なさそうにペコペコしていた。

「この国は魔法の力が少し低く、将軍に値する実力の者がまだいなかったんだ。そこへお前が来てくれて、皆の士気もグッと上がった。お前は『魔道将軍』にふさわしいよ」
 と、クラウス。彼がそう言うと、その場にいた皆から拍手が送られる。

「そ、そうなのね……。それなら、これから皆で頑張ってレベルアップしていきましょう」

 私がそう言うと、大歓声が上がった。


 そして魔道士さんの1人の何気ない一言から大変なことに……。

「ヴェルマー団長とディアノーグ将軍はどっちが強いんですかね?」

「えっ?」

 私たちは顔を見合わせ固まった。




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