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最終章 刻の軌跡
219話 開かれた扉
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「儀式とか言うのもう終わってたのか!? もっとかかるって話だったけど……」
と、ジン。
「まぁ、適当な嘘を吹き込まれたんだろうね、俺らは」
クライヴがため息を吐きながらそう答えた。
ルドガーが城の前へ戻って来たのを見て、孤児院の仲間のエディが彼らのもとへと駆け付けた。
「ルドガー兄!」
「エディ、どうした?」
「僕らあの扉、ずっと見てたんだ。そしたら数分前に扉がゆっくり開いてさ、人型の黒い気みたいなのがスーッと吸い込まれていったんだ!」
「人型の……?」
ルドガーは首を傾げ皆の方を向くが、皆同じように首を傾げた。
「あっ、扉から誰か出てきたです!」
メロディがそう声を上げたため皆で再び扉を見上げると、肌は薄紫で悪魔の角や翼を生やした男が黒い気の領域を広げて扉の前へと立っていた。
皆が不安そうに見ていると、城の中からクロノとウィリアムが飛び出し、2人同時に技を放つ。
⸺⸺黒風刃⸺⸺
⸺⸺中級闇魔法⸺⸺
「シャドウ!」
悪魔の男は目の前に暗黒障壁を展開するが、衝撃でそのまま吹っ飛び帝都のドラゴンの上へと飛ばされてくる。
「悪魔が飛んできたぞ! みんな逃げろ!」
ジンが戦っている本隊にそう叫ぶと、パーシヴァルや国綱らはすぐに飛び退いてドラゴンから距離を取った。
悪魔は笑みを浮かべながら真下のドラゴンへ手をかざすと、ドラゴンは彼の中へと吸収されていき、跡形もなく消え去る。
そして悪魔は何もなくなった帝都の地面に降り立つと、すぐに黒い気の領域を広げて行動範囲を確保した。そして城のバルコニーから飛び降りてくるクロノとウィリアムの攻撃に備え、暗黒障壁を展開した。
クロノとウィリアムも彼を追って城のバルコニーから帝都へと降り立つ。
「ユリウスが船長に味方してんのか?」
と、ケヴィン。
ミオがウィリアムの腕の中にいるポールを指差す。
「ポールを抱っこしてる! ウィリアムが元の身体に戻れたんだ! つまりあの魔族は……ユリウスの中にいた魔王プレイアデス……!」
一同は「なるほど」と相槌を打つ。
クロノとウィリアムはすぐにプレイアデスとの戦闘を再開するが、とてつもない量の暗黒に阻まれて全くダメージが通っていないようだった。
ハミルトン卿がミオらのもとへと退いてくる。
「あれが本物の魔族なのか……? クロノ君の攻撃すら全く通用していないようだ……。我々は一足遅かったと言うことなのか……」
そう落ち込む彼に対し、チャドの背中から降りたミオが彼を励まし、前へ出る。
「大丈夫です。これさえクロノに渡せれば……」
「? 何か秘策があるのか!?」
と、ハミルトン卿。そんな彼の肩をクライヴがポンポンと軽く叩いた。
「まぁまぁ、見ててよ父上」
ケヴィンにチャド、そしてエルヴィスにクライヴ。更にはゼノにレーンやメロディもプレイアデスの動きを止めるため戦闘に加わる。
チャドがクロノに耳打ちをすると、クロノはすぐに離れたところで待っていたミオのもとへと退いた。
「ミオ! 魔力は空っぽだけど元気そうだな」
クロノはふっと微笑みミオの頭をくしゃくしゃと撫でた。
「うん、みんなが助けてくれたから」
「そうか。で、渡したい物って?」
「うん。じっとしててね」
「ん」
クロノがリラックスして待っていると、ミオは自身の身体の中から光の球を取り出し、クロノの身体へと押し込んだ。
「次元の狭間の管理人さんからの贈り物。スキルの内容がスッと頭に入って来るはずだけど……」
「! これは……! あぁ、脳内に流れ込んでくる。そうか、前世の俺が望んだスキル……。前世の俺、ありがたく使わせてもらうぞ」
クロノが集中をすると彼の身体から魔力が溢れ出し、彼を包み込んでいく。
そして魔力が収まっていくと、そこには竜の角に竜の翼を生やしたクロノが神々しいオーラを放って立っていた。
と、ジン。
「まぁ、適当な嘘を吹き込まれたんだろうね、俺らは」
クライヴがため息を吐きながらそう答えた。
ルドガーが城の前へ戻って来たのを見て、孤児院の仲間のエディが彼らのもとへと駆け付けた。
「ルドガー兄!」
「エディ、どうした?」
「僕らあの扉、ずっと見てたんだ。そしたら数分前に扉がゆっくり開いてさ、人型の黒い気みたいなのがスーッと吸い込まれていったんだ!」
「人型の……?」
ルドガーは首を傾げ皆の方を向くが、皆同じように首を傾げた。
「あっ、扉から誰か出てきたです!」
メロディがそう声を上げたため皆で再び扉を見上げると、肌は薄紫で悪魔の角や翼を生やした男が黒い気の領域を広げて扉の前へと立っていた。
皆が不安そうに見ていると、城の中からクロノとウィリアムが飛び出し、2人同時に技を放つ。
⸺⸺黒風刃⸺⸺
⸺⸺中級闇魔法⸺⸺
「シャドウ!」
悪魔の男は目の前に暗黒障壁を展開するが、衝撃でそのまま吹っ飛び帝都のドラゴンの上へと飛ばされてくる。
「悪魔が飛んできたぞ! みんな逃げろ!」
ジンが戦っている本隊にそう叫ぶと、パーシヴァルや国綱らはすぐに飛び退いてドラゴンから距離を取った。
悪魔は笑みを浮かべながら真下のドラゴンへ手をかざすと、ドラゴンは彼の中へと吸収されていき、跡形もなく消え去る。
そして悪魔は何もなくなった帝都の地面に降り立つと、すぐに黒い気の領域を広げて行動範囲を確保した。そして城のバルコニーから飛び降りてくるクロノとウィリアムの攻撃に備え、暗黒障壁を展開した。
クロノとウィリアムも彼を追って城のバルコニーから帝都へと降り立つ。
「ユリウスが船長に味方してんのか?」
と、ケヴィン。
ミオがウィリアムの腕の中にいるポールを指差す。
「ポールを抱っこしてる! ウィリアムが元の身体に戻れたんだ! つまりあの魔族は……ユリウスの中にいた魔王プレイアデス……!」
一同は「なるほど」と相槌を打つ。
クロノとウィリアムはすぐにプレイアデスとの戦闘を再開するが、とてつもない量の暗黒に阻まれて全くダメージが通っていないようだった。
ハミルトン卿がミオらのもとへと退いてくる。
「あれが本物の魔族なのか……? クロノ君の攻撃すら全く通用していないようだ……。我々は一足遅かったと言うことなのか……」
そう落ち込む彼に対し、チャドの背中から降りたミオが彼を励まし、前へ出る。
「大丈夫です。これさえクロノに渡せれば……」
「? 何か秘策があるのか!?」
と、ハミルトン卿。そんな彼の肩をクライヴがポンポンと軽く叩いた。
「まぁまぁ、見ててよ父上」
ケヴィンにチャド、そしてエルヴィスにクライヴ。更にはゼノにレーンやメロディもプレイアデスの動きを止めるため戦闘に加わる。
チャドがクロノに耳打ちをすると、クロノはすぐに離れたところで待っていたミオのもとへと退いた。
「ミオ! 魔力は空っぽだけど元気そうだな」
クロノはふっと微笑みミオの頭をくしゃくしゃと撫でた。
「うん、みんなが助けてくれたから」
「そうか。で、渡したい物って?」
「うん。じっとしててね」
「ん」
クロノがリラックスして待っていると、ミオは自身の身体の中から光の球を取り出し、クロノの身体へと押し込んだ。
「次元の狭間の管理人さんからの贈り物。スキルの内容がスッと頭に入って来るはずだけど……」
「! これは……! あぁ、脳内に流れ込んでくる。そうか、前世の俺が望んだスキル……。前世の俺、ありがたく使わせてもらうぞ」
クロノが集中をすると彼の身体から魔力が溢れ出し、彼を包み込んでいく。
そして魔力が収まっていくと、そこには竜の角に竜の翼を生やしたクロノが神々しいオーラを放って立っていた。
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