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第十一章 精神世界
199話 肉じゃが
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「お、おおおお、おばあちゃん!? 帰ってきたなら『ただいま』とか言ってよ!」
ミオはそう言って慌てて俺の着ていたトレーナーで涙を拭う。
『クロノ君の服で拭いちゃうの可愛いな』
「言ったんだけどねぇ……」
と、おばあちゃん。ミオが拭き終わったのを確認すると、俺はそっとミオから離れておばあちゃんの方を向いた。
「えっと、お邪魔してます……」
おばあちゃんは俺の目を見るなり目を真ん丸にする。
「あんたもしかして……れお君かい?」
『これは今思い出したやつね』
「そうです。心配かけていたみたいで、すみません……」
「そうだよぉ! あの時気付いたらいなくなってて、警察の人と一緒に探したけどどこにもいなくてねぇ……。なんだ、やっぱり家に帰っただけだったのかい」
「はい……すみません……」
「無事ならそれで良いよ。あっ、そうだ。それならせっかくだし、れお君もうちで晩御飯食べていきなさいな」
おばあちゃんにそう言われミオの方をチラッと向くと、ミオはうんうんと何度も首を立てに振っていたので、俺は「じゃぁ、お言葉に甘えて……」と返事を返した。
⸺⸺
ミオとおばあちゃんがキッチンにいる間、リビングでテレビと言うものを見ていると、そこに出てきた名前に俺は思わず声を上げた。
「朝霧仁!?」
「ど、どうしたの黒野さん……知ってる人?」
ミオがキッチンから顔を出し、テレビを見てそう尋ねてくる。
「あ、あぁ……ちょっとした知り合いだ……」
「そうなんだ……交通事故で、亡くなっちゃったんだね……」
「みてぇだな……」
36歳……顔は全然違うが間違いねぇ。ジンは今この瞬間、ハイアットへと旅立ったんだ。
『……マジか。知り合いって、そう言う事な……』
その後、知り合いが亡くなってショックを受けていると思われた俺はミオに散々励まされて、逆に泣き出したミオを慰めるはめになった。
⸺⸺
そして夕食時。
懐かしい匂いにど肝を抜かれた俺がダイニングテーブルへと向かうと、そこにはやはり肉じゃがが並べられていた。
『肉じゃがっていうんだ? 確かに美味しそうな匂いだな』
やべぇ……俺はこれを食って、正気でいられる気がしねぇ……。
『えっ!? 肉じゃがってどんな食べ物なの!?』
そして3人席に着き、いただきますをして肉じゃがを口に含むと、その懐かしい美味さに案の定俺の目からは涙がこぼれ落ちた。
「えっ、黒野さん!? やっぱりまだあの朝霧さんて人の事ショックだったよね……」
と、ミオ。違う、そっちじゃねぇ。
「いや、違う……肉じゃが、一番の好物なんだ……最近食ってなかったから……」
俺がそう言うと、おばあちゃんは嬉しそうな表情を浮かべる。
「泣くほど美味しいってことかい?」
俺は黙ってこくんと頷く。
するとおばあちゃんは気分良くなったのか、残っていた肉じゃがを鍋ごとテーブルへと持ってきた。
「好きなだけお食べ!」
「ありがとう……ございます……」
俺は遠慮なくその鍋に残っていた肉じゃがを全て平らげてしまった。
「す、すごい……本当に肉じゃが大好きなんだね……」
ミオは空の鍋の中を珍しそうに覗き込みながら、キッチンへと運んでいった。
ミオはそう言って慌てて俺の着ていたトレーナーで涙を拭う。
『クロノ君の服で拭いちゃうの可愛いな』
「言ったんだけどねぇ……」
と、おばあちゃん。ミオが拭き終わったのを確認すると、俺はそっとミオから離れておばあちゃんの方を向いた。
「えっと、お邪魔してます……」
おばあちゃんは俺の目を見るなり目を真ん丸にする。
「あんたもしかして……れお君かい?」
『これは今思い出したやつね』
「そうです。心配かけていたみたいで、すみません……」
「そうだよぉ! あの時気付いたらいなくなってて、警察の人と一緒に探したけどどこにもいなくてねぇ……。なんだ、やっぱり家に帰っただけだったのかい」
「はい……すみません……」
「無事ならそれで良いよ。あっ、そうだ。それならせっかくだし、れお君もうちで晩御飯食べていきなさいな」
おばあちゃんにそう言われミオの方をチラッと向くと、ミオはうんうんと何度も首を立てに振っていたので、俺は「じゃぁ、お言葉に甘えて……」と返事を返した。
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ミオとおばあちゃんがキッチンにいる間、リビングでテレビと言うものを見ていると、そこに出てきた名前に俺は思わず声を上げた。
「朝霧仁!?」
「ど、どうしたの黒野さん……知ってる人?」
ミオがキッチンから顔を出し、テレビを見てそう尋ねてくる。
「あ、あぁ……ちょっとした知り合いだ……」
「そうなんだ……交通事故で、亡くなっちゃったんだね……」
「みてぇだな……」
36歳……顔は全然違うが間違いねぇ。ジンは今この瞬間、ハイアットへと旅立ったんだ。
『……マジか。知り合いって、そう言う事な……』
その後、知り合いが亡くなってショックを受けていると思われた俺はミオに散々励まされて、逆に泣き出したミオを慰めるはめになった。
⸺⸺
そして夕食時。
懐かしい匂いにど肝を抜かれた俺がダイニングテーブルへと向かうと、そこにはやはり肉じゃがが並べられていた。
『肉じゃがっていうんだ? 確かに美味しそうな匂いだな』
やべぇ……俺はこれを食って、正気でいられる気がしねぇ……。
『えっ!? 肉じゃがってどんな食べ物なの!?』
そして3人席に着き、いただきますをして肉じゃがを口に含むと、その懐かしい美味さに案の定俺の目からは涙がこぼれ落ちた。
「えっ、黒野さん!? やっぱりまだあの朝霧さんて人の事ショックだったよね……」
と、ミオ。違う、そっちじゃねぇ。
「いや、違う……肉じゃが、一番の好物なんだ……最近食ってなかったから……」
俺がそう言うと、おばあちゃんは嬉しそうな表情を浮かべる。
「泣くほど美味しいってことかい?」
俺は黙ってこくんと頷く。
するとおばあちゃんは気分良くなったのか、残っていた肉じゃがを鍋ごとテーブルへと持ってきた。
「好きなだけお食べ!」
「ありがとう……ございます……」
俺は遠慮なくその鍋に残っていた肉じゃがを全て平らげてしまった。
「す、すごい……本当に肉じゃが大好きなんだね……」
ミオは空の鍋の中を珍しそうに覗き込みながら、キッチンへと運んでいった。
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