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第九章 人魚姫と刻の解放
154話 城で待っていた者たち
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「コイツに打って付けのクエスト?」
と、クロノ。
「そうさ、クエストのタイトルは『集え! 我こそはというマキナ族!』だ」
マスターが元気にそう答えると、ルフレヴェの皆は呆れ気味に「は?」と顔をしかめた。
「このクエストは国王様直々の依頼にも関わらずランク制限や、受注クランの数にも制限がない。クランに属していなくてもマキナなら受注可能だ。まぁつまり、国王様がある条件のマキナを捜してるって事だな」
「国王がマキナを……? そんな不特定多数に?」
「悪いが俺にもこれ以上は分からんよ。詳しく聞きたければクエストを受注して国王様に直接聞いてくれ」
「……分かった。そのクエスト受注しよう」
「了解だ。ただ、クエストを受けても国王様がお目当てのマキナを見つけ次第、クエストは破棄されるから通知に気を付けな」
「了解」
クロノがクラン職員からクエストを受注すると、お腹いっぱいになった一行は早速クエストの目的地であるヴァルハイム城へと向かった。
⸺⸺ヴァルハイム城⸺⸺
城の前には、既にマキナを含む団体の長蛇の列ができていた。
「ま、こうなるよな」
と、クロノ。
「マキナ以外に特に制限のない国王からのクエストだからね~……もうお祭りだね」
チャドは渋い顔をして言う。
「それなら俺、暗黒の気配が誰のものなのか、確認してこようかな……」
と、クライヴ。それに双子も便乗する。
「あー、僕も行く。ジッとしてるよりそっちの方がいい」
「なら俺もー」
「確認してくるだけだぞ。とりあえず手は出すな」
「了解!」
クライヴがケヴィンとチャドを連れて離脱すると、残ったクロノらは素直にその列へと並んだ。
⸺⸺30分後。
ミオがエルヴィスの買ってきたジュースを飲み終わる頃、ルフレヴェが玉座の間へと案内された。長蛇の列であったにも関わらず、回転は早くすぐに番が回ってきたのであった。
⸺⸺玉座の間⸺⸺
玉座にはクラニオの王様が、そしてその両サイドにはクラニオの女性が2人、彼に付き添っていた。片方は王妃、そしてもう片方は……。
「あー! 国王陛下! お目当てのマキナよりも先にあたしの探してる子来ちゃった!」
「何!? ではあのマキナの女性が聖女と申すか!」
ミオの脳内も騒がしくなる。
『ミオ、聖霊の残りの一人、闇の聖霊ダリアですよ』
と、シスネ。しかしミシェルは疑問を投げかける。
『あれ、でもダリアって……あんなクラニオ族みたいな見た目になったんだったっけ?』
『ダリア、お魚さんになったはず!』
と、パウラ。
「お魚さんってなんだ……」
ミオの疑問にティニーが答える。
『ほら、あんたが会いたがってた人魚よ!』
「えっ、本当に!?」
「ミオっち~。一人で盛り上がらないで」
エルヴィスがミオの顔の前で手を振ると、ミオはハッと脳内の会話から玉座の間へと引き戻された。
「あ、ごめんごめん。えっとね、あのクラニオの女の子、残りの一人、闇の聖霊ダリアみたいなんだけど……見た目が違うらしい」
「うぎゃっ、もうバレてる!」
ダリアはそう言って玉座の後ろへと隠れて顔だけこちらへ覗かせていた。
「ふむ。どうやら聖女殿で間違いないようだ。一緒に来た殿方らは聖女殿の護衛かね?」
と、国王。クロノがクラン証を提示しながら口を開いた。
「俺らはS級クラン、ルフスレーヴェ。俺は船長のクロノ、このミオもクランの一員だ」
「S級クランルフスレーヴェ! 確かに先程入国したとクラン職員から報告がありましたわ! ええ、クラン証も間違いありませんわ」
と、王妃。
「なんと、それは誠か! S級クランであればこの件も何とかしてくれるであろう。聖女殿が来られる前に解決したかったが……腕の立つ者と一緒なのであれば、この件もお願いしよう。コルネリア、城の者にクエスト成立の報告をさせよ」
「はい、ただいま」
王妃は足早に玉座の間を後にする。
国王はルフレヴェの方へ向き直り、改めて口を開いた。
「聖女一行、ルフスレーヴェの諸君、この城へよく来てくれた。此度のクエストはそなたらに依頼する事とした故、余らの紹介をさせてもらうぞよ」
ルフレヴェの皆はうんと頷く。
「余はこの国の国王、アウグスト・ヴァルハイム。先程この部屋を出ていったのが我妻、王妃のコルネリアだ。そして余の背後に隠れてしまったのが“人魚姫”であり聖女殿を捜していたダリア。訳あってクラニオの姿になってしまっておる。最後に我が息子、王太子であるクリストフを紹介したいのだが……コルネリアが連れて来る故、しばし待たれよ」
ここでタイミング良く、コルネリアが玉座の間へと戻ってくるが……彼女は王子の衣装を身にまとった二足歩行の“カエル”を連れて帰ってきた。
「我が息子……クリストフだ」
「えっ、カエル!?」
一同は唖然とした。
と、クロノ。
「そうさ、クエストのタイトルは『集え! 我こそはというマキナ族!』だ」
マスターが元気にそう答えると、ルフレヴェの皆は呆れ気味に「は?」と顔をしかめた。
「このクエストは国王様直々の依頼にも関わらずランク制限や、受注クランの数にも制限がない。クランに属していなくてもマキナなら受注可能だ。まぁつまり、国王様がある条件のマキナを捜してるって事だな」
「国王がマキナを……? そんな不特定多数に?」
「悪いが俺にもこれ以上は分からんよ。詳しく聞きたければクエストを受注して国王様に直接聞いてくれ」
「……分かった。そのクエスト受注しよう」
「了解だ。ただ、クエストを受けても国王様がお目当てのマキナを見つけ次第、クエストは破棄されるから通知に気を付けな」
「了解」
クロノがクラン職員からクエストを受注すると、お腹いっぱいになった一行は早速クエストの目的地であるヴァルハイム城へと向かった。
⸺⸺ヴァルハイム城⸺⸺
城の前には、既にマキナを含む団体の長蛇の列ができていた。
「ま、こうなるよな」
と、クロノ。
「マキナ以外に特に制限のない国王からのクエストだからね~……もうお祭りだね」
チャドは渋い顔をして言う。
「それなら俺、暗黒の気配が誰のものなのか、確認してこようかな……」
と、クライヴ。それに双子も便乗する。
「あー、僕も行く。ジッとしてるよりそっちの方がいい」
「なら俺もー」
「確認してくるだけだぞ。とりあえず手は出すな」
「了解!」
クライヴがケヴィンとチャドを連れて離脱すると、残ったクロノらは素直にその列へと並んだ。
⸺⸺30分後。
ミオがエルヴィスの買ってきたジュースを飲み終わる頃、ルフレヴェが玉座の間へと案内された。長蛇の列であったにも関わらず、回転は早くすぐに番が回ってきたのであった。
⸺⸺玉座の間⸺⸺
玉座にはクラニオの王様が、そしてその両サイドにはクラニオの女性が2人、彼に付き添っていた。片方は王妃、そしてもう片方は……。
「あー! 国王陛下! お目当てのマキナよりも先にあたしの探してる子来ちゃった!」
「何!? ではあのマキナの女性が聖女と申すか!」
ミオの脳内も騒がしくなる。
『ミオ、聖霊の残りの一人、闇の聖霊ダリアですよ』
と、シスネ。しかしミシェルは疑問を投げかける。
『あれ、でもダリアって……あんなクラニオ族みたいな見た目になったんだったっけ?』
『ダリア、お魚さんになったはず!』
と、パウラ。
「お魚さんってなんだ……」
ミオの疑問にティニーが答える。
『ほら、あんたが会いたがってた人魚よ!』
「えっ、本当に!?」
「ミオっち~。一人で盛り上がらないで」
エルヴィスがミオの顔の前で手を振ると、ミオはハッと脳内の会話から玉座の間へと引き戻された。
「あ、ごめんごめん。えっとね、あのクラニオの女の子、残りの一人、闇の聖霊ダリアみたいなんだけど……見た目が違うらしい」
「うぎゃっ、もうバレてる!」
ダリアはそう言って玉座の後ろへと隠れて顔だけこちらへ覗かせていた。
「ふむ。どうやら聖女殿で間違いないようだ。一緒に来た殿方らは聖女殿の護衛かね?」
と、国王。クロノがクラン証を提示しながら口を開いた。
「俺らはS級クラン、ルフスレーヴェ。俺は船長のクロノ、このミオもクランの一員だ」
「S級クランルフスレーヴェ! 確かに先程入国したとクラン職員から報告がありましたわ! ええ、クラン証も間違いありませんわ」
と、王妃。
「なんと、それは誠か! S級クランであればこの件も何とかしてくれるであろう。聖女殿が来られる前に解決したかったが……腕の立つ者と一緒なのであれば、この件もお願いしよう。コルネリア、城の者にクエスト成立の報告をさせよ」
「はい、ただいま」
王妃は足早に玉座の間を後にする。
国王はルフレヴェの方へ向き直り、改めて口を開いた。
「聖女一行、ルフスレーヴェの諸君、この城へよく来てくれた。此度のクエストはそなたらに依頼する事とした故、余らの紹介をさせてもらうぞよ」
ルフレヴェの皆はうんと頷く。
「余はこの国の国王、アウグスト・ヴァルハイム。先程この部屋を出ていったのが我妻、王妃のコルネリアだ。そして余の背後に隠れてしまったのが“人魚姫”であり聖女殿を捜していたダリア。訳あってクラニオの姿になってしまっておる。最後に我が息子、王太子であるクリストフを紹介したいのだが……コルネリアが連れて来る故、しばし待たれよ」
ここでタイミング良く、コルネリアが玉座の間へと戻ってくるが……彼女は王子の衣装を身にまとった二足歩行の“カエル”を連れて帰ってきた。
「我が息子……クリストフだ」
「えっ、カエル!?」
一同は唖然とした。
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