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第八章 ポールの冒険

141話 すれ違う相棒

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 一方、ルフレヴェの一行は……。

「ポールー!?」
「ポールどこだー!?」
「おーい、ポール?」

 一旦酒場で食事を取った後、迷子の我が子を捜す様に、ポールの名前を呼び掛けながら王都中を歩き回っていた。

「もう、ポールったら一体どこ行っちゃったのよ!?」
 地の聖霊ティニーはぷんすかと怒っている。
「まぁ、歩き回って向こうに気付いてもらうしか見つける方法はねぇなぁ……」
 と、クロノ。
「先にアルバウスに行ったらダメなの? こんなの日が暮れるわよ?」
「ダメだよティニー。ポールは僕らの仲間だから」
 と、チャド。

「ポール? どこー?」
 ミオがキョロキョロと辺りを見回すと、丁度彼女らがドロシーの屋敷の前を通りかかったようで、アマリスが2階の窓から顔を出した。

「そこのマキナ様! もしかしてルフスレーヴェさんですか?」
「え、そうです!」
「ポールの事なのですが……良かったら屋敷へ……!」

 アマリスはそう言って顔を引っ込めたので、ルフレヴェ一行は藁にもすがる思いで屋敷の敷地内へと足を踏み入れた。

 アマリスがすぐに屋敷の扉を開けてくれて、一行は中へと招かれる。
 そして1階のリビングで一部始終を聞かされるのであった。

⸺⸺

「ポールが魔法生物たちを連れてニンファ王国へ……!? 勝手な事してすみません」
 と、ミオ。それに対しアマリスは慌ててフォローをする。
「いえ、良いんです。私もお嬢様も彼の気持ちがとても嬉しくて……。ニンファ王国までは魔物も出ないので安全だとは思いますが、世界樹の輝きを持ってきてもらっても、お嬢様の病気を治す事は出来なくて、彼らには申し訳ないと思っています……」

「つーか、ポールが人の忠告も聞かないで突っ走って行っちまうなんて珍しいよな」
 と、ケヴィン。ミオが答える。
「ポール、落ち着かないんだと思う。この島に来たらもしかしたら自分の事が何か分かるんじゃないかって……。だからいつもは冷静なポールでも視野が狭くなっちゃってるんだ」

「それで死期の近いお嬢様を見て焦っちゃったみたいだね」
 と、クライヴ。その言葉にミオが反応する。
「あの、アマリスさん。ドロシーさんに会うことは出来ますか?」
「はい、今は比較的落ち着いているので……。お嬢様も喜ぶと思います。2階へどうぞ」

⸺⸺

 一行はアマリスに連れられて2階のドロシーの部屋を訪ね、彼女と面会をする。
 ミオは回復魔法や浄化等、容態が少しでも良くなりそうなことを色々と試したが、少し気分が楽になった程度で病気の治る気配はなかった。

「やっぱダメかぁ……」
 落ち込むミオ。
「良いんです。気分はすごく楽になりました。ありがとうございます」
 ドロシーは身体を起こしてニッコリと微笑む。

「それにしても絶対に治る秘薬でも治らんとは……その秘薬は嘘吐きじゃのう」
 と、国綱。それに対しドロシーが答える。
「妖精王オベロン様は、この病気が先天的なものだからかもしれないと、仰っていました」

「生まれつきだから、かぁ……」
 と、エルヴィス。
「あくまでも世界樹の輝きは、その者を元の状態に戻すものらしいのです」
 アマリスがそう言うと、皆「なるほど」と納得をしていた。

「ねぇ、ポールは世界樹に向かったんでしょ? アルバウスも世界樹の側にある神殿にあるのよ。ポールを迎えに行くがてらアルバウスに寄っていかない?」
 と、ティニー。クロノが反応する。
「まぁ、そうだな。俺らの足で行けばすぐ追いつけるかもしんねぇしな」

「じゃぁ、ドロシーさん。ポールとみんなを連れてすぐ戻って来ますので、ゆっくり寝て待っていて下さい」
 と、ミオ。
「はい、ありがとうございます。皆さんが戻って来るの、楽しみに待っていますね」
 ドロシーがそう嬉しそうに笑うのを見て、アマリスも思わずはにかんだ。

 そしてルフレヴェの一行もポールを追ってラルーカ街道へと向かうのであった。
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