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第六章 白鳥の姫と7人の小人

109話 天空の国の異変

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⸺⸺カーラー兄弟のシェアハウス⸺⸺

 コーヒーを飲み終えたシスネが再び口を開く。
「女王陛下の厄介な状態とは……彼女から“暗黒”の気配を感じることです」
「『暗黒!』」
 ルフレヴェの皆が声を揃えて復唱する。
「暗黒とは?」
 一方で首を傾げる小人たち。

「うーん、黒い気の強化版的な?」
 と、ミオ。クロノもそれに続く。
「正直俺らも詳しいことは分かんねぇが、黒い気よりも危険なものだ」

「ということは、黒魔症なのか? しかし、意識はあるのだから、それとはまた別モノか」
 と、ホワイト。それに対しシスネが答える。
「全くの別物です。見た目も黒魔症のように変化したりしていません。一見、普通の人間と全く変わらないのです。ですが、確かに女王陛下から暗黒の気配を感じるのです。女王陛下がおかしくなってしまったのは、その気配を感じるようになってからです」

「黒いローブの人たちの仕業かな?」
 ミオがそう言うと、シスネは「あっ!」と声を上げた。
「黒いローブ、見かけました! 数日前から女王陛下の客人としてもてなしをされてました。その方からも、暗黒の気配を感じました」

 彼女の言葉に衝撃を受ける一同。
「黒いローブ自身も暗黒なのか……」
「暗黒の力を持っていると、黒い気を操れるってことなのかな」
「今その黒いローブがこの島の上空にいるってことだな……」
『女王陛下は黒いローブの仲間になったってことかな……』

「興味深い言葉のオンパレードデス!」
 グリーンは彼らの口々に言うセリフを聞いて、なぜかテンションが上がっていた。

「女王は黒魔症のように人を襲ったりはしてねぇんだな?」
 と、クロノ。
「はい、今のところは。あくまでも意識はあるようなので」
「なら、そのアウィス王国に行く前に鬼丸をなんとかしなきゃだな……」
 クロノがそう言って落胆した。

 すると、ルフレヴェの皆はシェアハウスの外に良く知る気配を感じ取る。
「あ、クライヴ来たね」
 チャドがそう言って入り口まで彼を出迎えに行く。

 が、チャドだけですぐに戻って来るのであった。
「なんかアウィス王国の王子様も一緒なんだけど……」
「何っ!?」
「追手か!」
「シスネを連れ戻しに来たデス」
 小人たちが次々に不安の声を上げる。

 しかしシスネはチャドのその言葉を聞いた瞬間入り口へと走った。
「フラリス王子!」
「シスネ! 良かった君もここに居たんだね!」
 2人は熱い抱擁を交わす。

「はいはい、感動の再会のところ申し訳ないけど、俺早く中入りたいから君たちも入った入った」
 クライヴはそう言って2人を押して、シェアハウスの中へと押し入った。

「クライヴ君遅かったね~」
 と、エルヴィス。
「なんかそうみたいだね。みんな当たり前のようにここに居るんだもんね……シスネちゃんが聖霊だってのは……」
「知ってる」
 と、一同。

「うーん、じゃ、女王様がおかしくなったってのも……」
「知ってる」
 と、一同。

「じゃぁほぼ擦り合わせるような事もないね。一応言っておくと、このフラリス王子はシスネちゃんに恋をしてて、女王である母親を裏切る覚悟でここまで探しに来たって訳。で、鬼丸どうなった?」

「まだだ。俺らもその話をずっとしてたところだ」
 クロノが答える。
「そっか、じゃぁ俺もちょっと休憩~」
 クライヴはそう言って皆と同じようにラグへと腰を下ろした。

「シスネ……無事で良かった……」
「フラリス王子……来て下さってありがとうございます。わたくし幸せです」
「シスネ……」
「フラリス王子……」
 2人は再び強く抱きしめ合った。

「えっと、とりあえずあれは放置でいい?」
 と、チャド。
「だな。真面目に見てると痒くなってくる」
 ケヴィンはそう言って腕を掻きむしる。

「ならば、ひとまずその鬼丸とやらの話に移ろうか」

 ホワイトの提案でクロノは鬼丸をカーラー兄弟へと差し出し、7人の小人による大調査が始まった。

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