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第六章 白鳥の姫と7人の小人
103話 鬼丸の悲劇
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⸺⸺テレニア火山洞窟⸺⸺
『ねぇ、ミオ。鬼丸の話聞いてからよく鬼丸に話しかけてるよね?』
ポールがリュックから顔を出し、ミオへと尋ねる。
「うん、でも最近はおはようとか、挨拶程度だよ」
「最初鬼丸の前で正座して超長ったらしく自己紹介を始めた時は笑ったな」
ケヴィンはゲラゲラと笑う。
「ミオはホント見てて飽きないよね~」
と、チャド。ついでに現れた魔物を一刀両断する。
『ねね、なんか返事的なものあったの?』
ポールのその問いに、クロノも思わず気になりミオの方を向く。
「うーん、あったような気もする。でも、返事って言うより、向こうから何かを伝えようとしてくれているような、そんな感じ」
「何か伝えようと……?」
クロノは鬼丸を鞘から引き抜き、刀身をじっくりと眺める。しかし、彼にはその感じがよく分からなかった。
『クロノさ、最近鬼丸が気配ちょっと変わったなって思わない? ロスカ王国を出たあたりくらいからかな……』
「……そう言われてみればそんな気もするが……コイツは魔物を斬れば斬るほど黒い気を吸うから、元々気配は変わってくんだよ。国綱の気配だけはそのままに、それに上乗せされていく感じだな」
『ふぅん、それで何か変わったなって思ったのか……じゃぁオイラの思い過ごしかも。気にしないで』
ポールはそう言い残して再びリュックの中へとポスッと収まった。
「アイツは鬼丸の気配の変化に気付いていたのか……」
クロノは気にしないでと言われたにも関わらず、なぜだかポールの言葉がずっと頭に残っていた。
⸺⸺
一行は洞窟の奥へと進み、ドンドンと魔物を討伐していく。
「はははっ、ミオがポンコツだ!」
ケヴィンに大笑いされて、ミオはずーんと落胆する。
「ここの魔物、炎も緑も効かないんだけど……」
「俺は絶好調!」
クライヴは槍に水をまとい、滑るように魔物を殲滅していく。
「ま、笑ってる俺も威力半減なんだけどな……」
ケヴィンはそう苦い顔をすると、ミオの守りに徹することにした。
「エルヴィスだいぶ撃てるようになったね!」
チャドはエルヴィスと連携をしながら魔物を切り裂く。
「まぁねー。弾詰めなくていいのはすんごい楽かも」
皆が楽しく討伐を進める中、クロノはまだポールの言葉を脳内で繰り返していた。
「ロスカを出たあたりから……か……」
彼は鬼丸をひと振りし、魔物を討伐する。その度に刀身を確認し、何か変化がないかチェックしていた。
「なんか船長もポンコツだな……」
と、ケヴィン。
「ポールの言ったこと気にしてるみたい。鬼丸、すごく大事にしてるもんね……」
ミオも心配そうにクロノを見つめる。
「妖刀は魔力のない船長にとって、かけがえのない存在となったんだ。諸刃の剣の良いとこしか作用されねぇからな。それに、そんな刀をくれた国綱との絆もある」
「そうだよねぇ……何事もないといいけど……」
「な……」
⸺⸺しかし、事は起こる。
クロノが背中から炎を噴き出している亀のような魔物と対峙した時だった。
⸺⸺黒曜斬り⸺⸺
彼が鬼丸を振り切ったその瞬間、バキッと鈍い音を立てて、鬼丸の刀身が真っ二つに折れ、刃先がカランコロンと地面へと着陸した。
「!?」
「船長、危ない……!」
「え、あ、嘘……」
「なっ!?」
クロノは目を見開いてその場に固まり、仕留めきれなかった魔物をすぐにチャドが斬り抜ける。
ミオとケヴィンも顔を真っ青にしてクロノと鬼丸の刃先を交互に見る。
すぐにエルヴィスとクライヴも駆けつけ、ポールもリュックから顔を出した。
『うわぁ……思い過ごしじゃなかった……』
「国綱……」
クロノは静かに飛んでいった刃先を拾うと、ただ呆然と眺めていた。
「と、とりあえずパドヴァリアに帰ろ。もう時間も遅くなってきたし……」
「あぁ、そうだな……」
チャドの提案にクロノは空返事をして、折れた刃先と残った刀身を鞘に収める。
そしてエルヴィスがクロノの背中をグイグイと押しながら、皆でパドヴァリアへと引き返した。
『ねぇ、ミオ。鬼丸の話聞いてからよく鬼丸に話しかけてるよね?』
ポールがリュックから顔を出し、ミオへと尋ねる。
「うん、でも最近はおはようとか、挨拶程度だよ」
「最初鬼丸の前で正座して超長ったらしく自己紹介を始めた時は笑ったな」
ケヴィンはゲラゲラと笑う。
「ミオはホント見てて飽きないよね~」
と、チャド。ついでに現れた魔物を一刀両断する。
『ねね、なんか返事的なものあったの?』
ポールのその問いに、クロノも思わず気になりミオの方を向く。
「うーん、あったような気もする。でも、返事って言うより、向こうから何かを伝えようとしてくれているような、そんな感じ」
「何か伝えようと……?」
クロノは鬼丸を鞘から引き抜き、刀身をじっくりと眺める。しかし、彼にはその感じがよく分からなかった。
『クロノさ、最近鬼丸が気配ちょっと変わったなって思わない? ロスカ王国を出たあたりくらいからかな……』
「……そう言われてみればそんな気もするが……コイツは魔物を斬れば斬るほど黒い気を吸うから、元々気配は変わってくんだよ。国綱の気配だけはそのままに、それに上乗せされていく感じだな」
『ふぅん、それで何か変わったなって思ったのか……じゃぁオイラの思い過ごしかも。気にしないで』
ポールはそう言い残して再びリュックの中へとポスッと収まった。
「アイツは鬼丸の気配の変化に気付いていたのか……」
クロノは気にしないでと言われたにも関わらず、なぜだかポールの言葉がずっと頭に残っていた。
⸺⸺
一行は洞窟の奥へと進み、ドンドンと魔物を討伐していく。
「はははっ、ミオがポンコツだ!」
ケヴィンに大笑いされて、ミオはずーんと落胆する。
「ここの魔物、炎も緑も効かないんだけど……」
「俺は絶好調!」
クライヴは槍に水をまとい、滑るように魔物を殲滅していく。
「ま、笑ってる俺も威力半減なんだけどな……」
ケヴィンはそう苦い顔をすると、ミオの守りに徹することにした。
「エルヴィスだいぶ撃てるようになったね!」
チャドはエルヴィスと連携をしながら魔物を切り裂く。
「まぁねー。弾詰めなくていいのはすんごい楽かも」
皆が楽しく討伐を進める中、クロノはまだポールの言葉を脳内で繰り返していた。
「ロスカを出たあたりから……か……」
彼は鬼丸をひと振りし、魔物を討伐する。その度に刀身を確認し、何か変化がないかチェックしていた。
「なんか船長もポンコツだな……」
と、ケヴィン。
「ポールの言ったこと気にしてるみたい。鬼丸、すごく大事にしてるもんね……」
ミオも心配そうにクロノを見つめる。
「妖刀は魔力のない船長にとって、かけがえのない存在となったんだ。諸刃の剣の良いとこしか作用されねぇからな。それに、そんな刀をくれた国綱との絆もある」
「そうだよねぇ……何事もないといいけど……」
「な……」
⸺⸺しかし、事は起こる。
クロノが背中から炎を噴き出している亀のような魔物と対峙した時だった。
⸺⸺黒曜斬り⸺⸺
彼が鬼丸を振り切ったその瞬間、バキッと鈍い音を立てて、鬼丸の刀身が真っ二つに折れ、刃先がカランコロンと地面へと着陸した。
「!?」
「船長、危ない……!」
「え、あ、嘘……」
「なっ!?」
クロノは目を見開いてその場に固まり、仕留めきれなかった魔物をすぐにチャドが斬り抜ける。
ミオとケヴィンも顔を真っ青にしてクロノと鬼丸の刃先を交互に見る。
すぐにエルヴィスとクライヴも駆けつけ、ポールもリュックから顔を出した。
『うわぁ……思い過ごしじゃなかった……』
「国綱……」
クロノは静かに飛んでいった刃先を拾うと、ただ呆然と眺めていた。
「と、とりあえずパドヴァリアに帰ろ。もう時間も遅くなってきたし……」
「あぁ、そうだな……」
チャドの提案にクロノは空返事をして、折れた刃先と残った刀身を鞘に収める。
そしてエルヴィスがクロノの背中をグイグイと押しながら、皆でパドヴァリアへと引き返した。
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