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第二章 リリアーヌ

校長先生

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「失礼します」

ノックをして、扉をあける。

応接セットのある部屋だった。

「リリアーヌ嬢をお連れしました。」

マーベル先生が礼をした先には、
先ほど演台で挨拶した校長がいた。

「校長先生、お会いできで光栄です。
リリアーヌ・フランドルンと申します。
この度は、私たちの我が儘にお付き合いいただき、ありがとうございます。」

私も校長先生にご挨拶をする。

「これはこれは、私は校長を勤める
イグシル・ヴァレンチです。
君のことは父上のアランと教皇猊下から、よく伺っているの。
さぁ、とりあえず掛けてくれ。
学院の食堂から昼食を運ばせたから、食べよう。
マーベル君、そっちのポットに紅茶が入ってるから、いれてくれ」

あら、すでに食事を用意してくれてるなんて素敵だわ。
ソファに腰掛けると、マーベル先生がお茶を出してくれる。

「さて、とりあえず腹ごしらえしてしまうか。」

3人で食事をする。
初日の学院の印象などを話ながら、
ある程度食事を終わらせ本題に戻る。

「実は、私は君の父上の指導をしていたんだよ。
黒魔法を教えられるのは、私しかいなかったのでな。
今はマーベル君が黒魔法を教えられる。
ただ、白魔法を尊ぶこの国で、あえて黒魔法を学ぼうとする者がいないのもあって、最近は、学科として設けてないんだがね」

へー。お父様の先生だったんですね。

「その関係で、君のことは父上から聞いている。
2代続けての『愛し子』だってね」

あら、話してくれてたんですね。

「マーベル君は、心配はいらない。
彼に担任を任せるにあたって、
君の事情を話すことは、父上と猊下にも許可を獲ている。
彼は元々猊下の近衛で、黒白赤魔法を使える稀有な存在なんだよ」

あっ、そうなんですね。
では昔にお会いしているのかもしれません。

「この学院は身分に左右されない。という教育理念があるんだが、私の先代が権力に負けて専科、特に1組に関しては身分の上下が如実に現れてしまって………
だから君のやろうとしていることは全面的にバックアップしたいとおもっているんだ。」

あら嬉しいですわ。
でも、その割りにはポーションの新レシピを献上したような気がしますが
まぁ、些細な事だから良いですけど。

「ありがとうございます。
でも、そんな大層な事を考えている訳ではないのですよ。
ただ私の顔は知られていないので、
楽しい事が出来ると思いまして………」

期待されても困ります。
楽しそうだから、やってるだけです。

「そうだ。リリアーヌ!!
さっきの社交の補習希望は却下だ。
殿下が泣くぞ。例え授業でも他の者にエスコートさせるなぞ。」

泣きますかね??泣きますね。

「そういえば、マーベル先生は殿下とも交友があるのですか??」

さっきも、婚約者が……とか言ってましたが。

「あ、あー。俺の姉が殿下の母親だ。
しがない子爵家の人間が側室なんて、
おおっぴらに言えないが、殿下は甥に当たる。
小さい頃には、剣や魔法を教えてた」

「なるほど。でも母も社交をしないので、本当にお茶会など殿下との婚約の顔合わせの時に1回だけしか出たことありません。
お茶会の補習だけでも許可をお願いします。」

これ本当に困る。
たぶん来月には、身分がバレるはずだから、その前には学んでおきたい!!

「まぁ、お茶会なら女性限定だからよいか。
……クラスとかオリジン君とか気を付けてくれよ。俺は泣かれたくないぞ。両方とも」

殿下は、そんなに泣き虫なのでしょうか?
両方って、私も??
たしかに絡まれていましたね。ハンスに

「気を付けますわ」

「本当に。頼むからな………」

「ヒャヒャヒャ。確かにリリアーヌ嬢は、可愛らしいからな。
殿下も心配が尽きぬよの」

校長が口を挟んできた。

「で、これは学院からのお願いなんだが、黒魔法を公表してくれんかの??
一応、父上と猊下の許可は受けてる。
それと殿下にも『愛し子』の事を知らせたい。
もちろん王家には話すつもりはないが、殿下は知っていた方が良い気がするのだが」

「黒魔法の件は、了解しました。
『愛し子』に関しては、父上と教皇様は、どのようにお考えか伺ってますか?」

殿下に話して良いなら、屋敷での行動が酪なるので嬉しいが……

「お二方からは、私の勘を信じると。
セリーヌ様からは、リリアーヌ嬢に任せる。と、言われた」

「では、私には問題ありません。
ただ、話し合いの席には、校長様、教皇様、父上の3者でお願いします。
殿下がご心配でしたら、マーベル先生もご一緒にお願いします。
難しい事は私や母にはわかりませんから、私たちの代わりに白龍様の同席も頼んでみます。」

うん。難しい事は、大人たちに丸投げしちゃいましょ。

「おー!!白龍様にお会いできるなんて!!
この世に未練がなくなるわ」


いやいや、死なれては困りますけどね。

「俺も良いのか??」

「はい。殿下の付き添いとして、お願いします。」

一人だけ逃げる。なんて、許しませんよ。

それぞれの予定を確認する事で、長い一日が終了した。

すでに屋敷の馬車は、私以外の2人を送り、戻ってきてくれていた。

はぁー。疲れた。
帰ったら、お風呂に入って寝てしまいましょ。

もう、考えるのもイヤです。

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