薔薇紳士の興じ事

世万江生紬

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まるで四季のように

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 カランカラン

 「いらっしゃいませ。」

「いらっしゃいませ~って、あ、百合さん!」

「こんにちは。」

 ここは悩みを抱えるお客様が来店される喫茶店。本日のお客様はこの店の常連さん、三人の子どもを育てるお母さんの百合です。

「百合様、いつもの紅茶でよろしいですか?」

「えぇ、お願いします。」

「百合さん、お子さん元気ですか?」

「とっても元気よー。毎日すごくにぎやかでね。」

「元気な証拠ですね!」

百合といちごはにぎやかに話します。百合は子どもを育てる中で疲れた時やリフレッシュしたいときにこの喫茶店に来ては息抜きをしています。

「それにしても、一年ってあっという間ね~。こないだ誕生会やったと思ったらもうすぐ次の誕生会なの。あっという間に過ぎていくわ。」

「つい最近まで春だと思ってたのにもう冬!?ってことはありますね。」

「でしょう?もっともっと季節ごとに色々楽しみたかったんだけどね。」

「春はお花見とかですか?」

「そうそう。夏に海行って、秋は紅葉狩りとか、冬はイルミネーションも綺麗だし。全部楽しもうと思っても時間がある時ねーって後回しにして、結局何もしないの。」

「あるあるですね。」

2人で楽しく会話をしていると、薔薇紳士が淹れたての紅茶を百合の前にコトリと置きました。

「盛り上がっているところすみません、こちらどうぞ。」

「あらあら。ありがとう。」

「一年、まるで四季のように季節は巡りますね。子どものお世話をしていればまずますそう感じるでしょう。」

「うふふ、そうね。でもそんな一瞬で終わる勢いが育児よ。」

 
 その後も百合は笑いながら他愛もない話をすると、夕飯の支度をするからと帰っていきました。すぐに帰ってはしまったけれど、帰る時の百合の顔はとてもリフレッシュ出来たようでした。
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