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2022.最高の『おたんじょうびおめでとう』を君に
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ここはとある町。この町にサヨという女の子が住んでおりました。そしてサヨには仲の良い友達がいました。
「サヨ~!はいこれ!サヨのために絵を描いたの!プレゼント!」
友達の名前はヨーク。ヨークはお絵描きが好きで、色んな絵を描いてはたまにサヨにプレゼントしてくれました。
「ありがと~!可愛い!大事にするね。」
サヨはヨークの事が大好きです。
そんなある日、サヨはカレンダーを見て「あっ」と呟きました。
「そういえば明日はヨークの誕生日だ…。」
サヨはヨークの誕生日を思い出し、明日プレゼントを買って渡しに行くことにしました。
そして次の日、サヨは意気揚々とプレゼント探しに出かけました。
「ヨーク、何をあげたら喜んでくれるだろう?お絵描きが好きだからクレヨンとか?美味しいお菓子もいいかも!」
サヨはプレゼントを渡して喜ぶヨークの顔を想像して、ワクワクしました。
文房具屋さん。ここはお絵描きに必要な道具が全部揃っているすごい文房具屋さんです。
「ここならいいもの見つかるかな~。」
サヨはヨークに喜んで貰えそうなものを探しました。
「お嬢さん、何をお探しですか?」
サヨがキョロキョロとお店の中を見渡しながら歩いていると、お店の人がサヨに話しかけました。
「えっと、友達の誕生日プレゼントを探してて…。」
「おぉ~、なるほど。じゃあこんなのはどうだい?」
お店の人はそう言うと、サヨにあるものを渡しました。
「これ…スケッチブック?あ、でも表紙が可愛い。」
「そうだよ。これでお友達と一緒にお絵描きをして、2人の思い出を絵に残す、なんてのはどうだい?」
お店の人は優しく笑いましたが、サヨは少し迷います。
「でもそれだとサヨも一緒に描くことになるから、ヨークのプレゼントにはならないんじゃ…。」
「それなら、これを1つ買うならもう1つオマケしてあげるよ。1つはそのお友達にプレゼント。もう1つを君とお友達の思い出作りに。どうだい?」
「じゃあそうする!おじさんありがとう!」
サヨは笑顔でそう言うと、スケッチブックを2つ買い、おじさんに元気に手を振りながらお店を出ました。
「スケッチブック以外にも何かいいものあるかなー。」
サヨはそういうと、お店通りを見渡しながら歩きます。すると、とてもいい匂いがしてきました。
「なにこれ、いいにおーい。」
サヨは匂いのする方へ引き付けられます。そしてお店の扉を開けました。
「いらっしゃい。」
サヨが入ったお店はパン屋さんでした。いい匂いは、出来たてのパンの匂いだったのです。
「あ、あの…すごくいい匂いがしたから…。」
「あらー、ありがとう。これね、さっき焼きあがったばかりのチョコブラウニーよ。チョコたっぷりで、ふわっと甘くてうちの自慢なの。」
「そうなんだ…。それ、友達の誕生日プレゼントで渡したら喜んでくれるかな?」
「もちろんよ!そのお友達、とっても美味しいってほっぺた落っことしちゃうわ。」
「じゃあサヨそれ買う!」
「ありがとう。じゃあ…お嬢ちゃんの分はオマケしてあげるね。」
「おばさんありがとう!」
サヨは文房具屋さんでスケッチブックを、パン屋でチョコブラウニーを買うと、ヨークの家へ向かいました。
「チョコブラウニー、出来たてだから急がなきゃ。」
サヨは出来たてのチョコブラウニーをヨークに届けるため、ヨークの家に向かって走ります。
「あれー?サヨ?どうしたのそんなに急いでー。」
ヨークの家の近くまで来た時、庭に出ているヨークの姿が見えました。ヨークの姿が見えた途端、サヨは嬉しくなり、ヨークに手を振りました。
「ヨークー!あのね!」
「あっ!サヨ!」
ヨークが思わず叫んだその瞬間、サヨは足元にあった大きな石に躓き、思いっきり転んでしまいました。転んだ拍子に持っていた真っ白なスケッチブックは砂で汚れ、出来たてのチョコブラウニーはサヨの体で潰れてしまいました。
「あ…。」
「サヨ…これは?」
「これ…ヨーク今日誕生日だからプレゼントだったのに…う゛、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
サヨは、ヨークに喜んでもらおうと思って用意したプレゼントを自分でぐちゃぐちゃにしてしまった罪悪感と、ヨークへのプレゼントがなくなってしまったショックで大泣きしました。止めようと思っても涙が止まりません。
すると、そんなサヨの様子を見て、ヨークが優しく声をかけます。
「サヨ。これサヨがヨークのために用意してくれたんだよね。すごく嬉しいよ。ありがとう。」
「うっ…でも、スケッチブック汚れちゃったし、チョコブラウニー潰れちゃった…。」
「そうだね…。ね、なんでこの2つをプレゼントしてくれようと思ったの?」
「…スケッチブックは、2人で一緒に絵とか描いて、思い出作ろうって。チョコブラウニー、すごく美味しいから、ほっぺた落っこちちゃうって、だから…」
「そっか。でもさ、スケッチブック汚れちゃったのは1ページだから、まだ描けるよ。それに汚れたページも、ヨークにとっては大事な思い出だよ。チョコブラウニーは食べられないけど、すごく美味しいんだよね?そのお店、今度連れて行ってよ。今度一緒に買いに行って、一緒に食べよう。その約束ができたと思えば、嬉しいプレゼントだよ。」
「うっ…ヨーク…。」
サヨはヨークの言葉を聞いて、涙をぐしっと拭いました。そして飛び切りの笑顔で伝えました。
「ヨーク!お誕生日おめでとう!!!」
「うん!ありがとう!」
そしてサヨとヨークはぎゅっと抱きしめ合って、最高の誕生日の思い出になりました。
「サヨ~!はいこれ!サヨのために絵を描いたの!プレゼント!」
友達の名前はヨーク。ヨークはお絵描きが好きで、色んな絵を描いてはたまにサヨにプレゼントしてくれました。
「ありがと~!可愛い!大事にするね。」
サヨはヨークの事が大好きです。
そんなある日、サヨはカレンダーを見て「あっ」と呟きました。
「そういえば明日はヨークの誕生日だ…。」
サヨはヨークの誕生日を思い出し、明日プレゼントを買って渡しに行くことにしました。
そして次の日、サヨは意気揚々とプレゼント探しに出かけました。
「ヨーク、何をあげたら喜んでくれるだろう?お絵描きが好きだからクレヨンとか?美味しいお菓子もいいかも!」
サヨはプレゼントを渡して喜ぶヨークの顔を想像して、ワクワクしました。
文房具屋さん。ここはお絵描きに必要な道具が全部揃っているすごい文房具屋さんです。
「ここならいいもの見つかるかな~。」
サヨはヨークに喜んで貰えそうなものを探しました。
「お嬢さん、何をお探しですか?」
サヨがキョロキョロとお店の中を見渡しながら歩いていると、お店の人がサヨに話しかけました。
「えっと、友達の誕生日プレゼントを探してて…。」
「おぉ~、なるほど。じゃあこんなのはどうだい?」
お店の人はそう言うと、サヨにあるものを渡しました。
「これ…スケッチブック?あ、でも表紙が可愛い。」
「そうだよ。これでお友達と一緒にお絵描きをして、2人の思い出を絵に残す、なんてのはどうだい?」
お店の人は優しく笑いましたが、サヨは少し迷います。
「でもそれだとサヨも一緒に描くことになるから、ヨークのプレゼントにはならないんじゃ…。」
「それなら、これを1つ買うならもう1つオマケしてあげるよ。1つはそのお友達にプレゼント。もう1つを君とお友達の思い出作りに。どうだい?」
「じゃあそうする!おじさんありがとう!」
サヨは笑顔でそう言うと、スケッチブックを2つ買い、おじさんに元気に手を振りながらお店を出ました。
「スケッチブック以外にも何かいいものあるかなー。」
サヨはそういうと、お店通りを見渡しながら歩きます。すると、とてもいい匂いがしてきました。
「なにこれ、いいにおーい。」
サヨは匂いのする方へ引き付けられます。そしてお店の扉を開けました。
「いらっしゃい。」
サヨが入ったお店はパン屋さんでした。いい匂いは、出来たてのパンの匂いだったのです。
「あ、あの…すごくいい匂いがしたから…。」
「あらー、ありがとう。これね、さっき焼きあがったばかりのチョコブラウニーよ。チョコたっぷりで、ふわっと甘くてうちの自慢なの。」
「そうなんだ…。それ、友達の誕生日プレゼントで渡したら喜んでくれるかな?」
「もちろんよ!そのお友達、とっても美味しいってほっぺた落っことしちゃうわ。」
「じゃあサヨそれ買う!」
「ありがとう。じゃあ…お嬢ちゃんの分はオマケしてあげるね。」
「おばさんありがとう!」
サヨは文房具屋さんでスケッチブックを、パン屋でチョコブラウニーを買うと、ヨークの家へ向かいました。
「チョコブラウニー、出来たてだから急がなきゃ。」
サヨは出来たてのチョコブラウニーをヨークに届けるため、ヨークの家に向かって走ります。
「あれー?サヨ?どうしたのそんなに急いでー。」
ヨークの家の近くまで来た時、庭に出ているヨークの姿が見えました。ヨークの姿が見えた途端、サヨは嬉しくなり、ヨークに手を振りました。
「ヨークー!あのね!」
「あっ!サヨ!」
ヨークが思わず叫んだその瞬間、サヨは足元にあった大きな石に躓き、思いっきり転んでしまいました。転んだ拍子に持っていた真っ白なスケッチブックは砂で汚れ、出来たてのチョコブラウニーはサヨの体で潰れてしまいました。
「あ…。」
「サヨ…これは?」
「これ…ヨーク今日誕生日だからプレゼントだったのに…う゛、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
サヨは、ヨークに喜んでもらおうと思って用意したプレゼントを自分でぐちゃぐちゃにしてしまった罪悪感と、ヨークへのプレゼントがなくなってしまったショックで大泣きしました。止めようと思っても涙が止まりません。
すると、そんなサヨの様子を見て、ヨークが優しく声をかけます。
「サヨ。これサヨがヨークのために用意してくれたんだよね。すごく嬉しいよ。ありがとう。」
「うっ…でも、スケッチブック汚れちゃったし、チョコブラウニー潰れちゃった…。」
「そうだね…。ね、なんでこの2つをプレゼントしてくれようと思ったの?」
「…スケッチブックは、2人で一緒に絵とか描いて、思い出作ろうって。チョコブラウニー、すごく美味しいから、ほっぺた落っこちちゃうって、だから…」
「そっか。でもさ、スケッチブック汚れちゃったのは1ページだから、まだ描けるよ。それに汚れたページも、ヨークにとっては大事な思い出だよ。チョコブラウニーは食べられないけど、すごく美味しいんだよね?そのお店、今度連れて行ってよ。今度一緒に買いに行って、一緒に食べよう。その約束ができたと思えば、嬉しいプレゼントだよ。」
「うっ…ヨーク…。」
サヨはヨークの言葉を聞いて、涙をぐしっと拭いました。そして飛び切りの笑顔で伝えました。
「ヨーク!お誕生日おめでとう!!!」
「うん!ありがとう!」
そしてサヨとヨークはぎゅっと抱きしめ合って、最高の誕生日の思い出になりました。
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