自己満足

世万江生紬

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地獄のブラック企業

地獄のブラック企業

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 「せんぱ~い!もう無理です~!もう辞めたいこの仕事!」

 こんにちは、私の名前は一角と言います。2年ほど前に今の職場についてからというもの、毎日毎日過酷な業務に追われてろくに休めもしない、まさにブラックブラック!泣きごとのひとつも言いたくなります。

「一角~、分かる、分かるよ?確かに俺たちの業務は結構辛い。でもさ、ほら見てみろよ、赤先輩。俺たちより過酷な業務でハードワークだぜ?俺たちまだマシな方なんだって。」

「そんなこと言ったって~、自分は自分です!もう辞めたい~。」

「お前な~、ここ人手不足なんだから、頼むから辞めないでくれよ。お前が辞めたら俺の仕事量が大変なことになる。」

もうっ、私のことじゃなくて仕事の心配!先輩は愚痴に付き合ってくれるだけ優しいのかもしれないですが、言ってることは冷たいです。

「ほらほら、お前のやってる仕事も、世のため人のためだ。頑張ろーぜ。」

「人のため~?」

先輩の言葉に私、ついにキレました。

「な~にが人のためですか!!人間が自分で!罪を犯すから!私たち地獄の鬼が大変な思いしなきゃいけないんじゃないですか!」

そう、何を隠そうここは地獄。私は地獄に落ちてきた罰を与えられるべき存在のはずなのに、それすら逃げようとする人間を捕まえては金棒で殴り、元の地獄に連れ戻す仕事をしています。

「そもそも人間が!悪いことしてこんな場所にくるのがいけないんでしょう!百歩譲ってそれは良しとしても、罰を受けるべきなのに逃げようとするとはどういうことですか!」

「まあ、人間ってそういうやつ多いから、俺たちみたいな部署のやつが存在するもんな。」

「な~んでひたすらお馬鹿な人間のために私たち鬼がこんなブラック環境で働かなきゃいけないんですか!」

「まあまあ…さっきも言ったが俺たちはまだマシだぜ?ほら、赤鬼先輩、もうあーやってめちゃめちゃ重い金棒で人間を殴り続ける地獄を5000年続けてるんだぜ?」

「確かにあれ、めちゃめちゃしんどそうですけど~。」

「まー、地獄に落ちてくる人間が少なくなってくれればって願うしかないわな。」

「ぐぅぁぅぁぁぁぁぁぁ!!!」


 地獄で働き続けてはや2年!人間のためにこんなブラックな思いするなんて!
地獄に落ちる人間が1人でも減りますよーに!!!!!!
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