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季節話
龍神様と恋文
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これはいつものように外で畑を耕し終えた龍平が屋敷に帰ってきた時のこと。ふと龍神様の寝室に目をやると、部屋の隅に置いてある机の上に文のようなものが置いてありました。
「ん、これは…?」
興味本位で覗いた龍平はそこに書かれていた内容をみて目を開きました。
「これ…恋文?」
そこに書いてあったのは紛れもなく恋文そのものでした。
『愛しい君へ。毎日貴方のことを考えると夜も眠れません。貴方を愛して愛して、この身を焦がしそうなほど。貴方は何をすれば私を愛してくれますか、私の腕に抱かれてくれますか。私はこの身全てを捧げて貴方を愛すると誓う。』
それはまだ書きかけのようでしたが、読んでいて恥ずかしくなるほど想いが溢れていました。龍平は読み進めるにつれて表情を失い、無心で恋文を眺めていました。
「ただいま…りゅ、龍平!?!?その文は!!」
龍平が無心で恋文を見つめているところに、龍神様が帰ってきました。見られたことへの羞恥から龍神様は顔を赤めて文を奪い取ります。
「龍神様、これ…。」
「ち、違うぞ!これは龍平に向けたものだぞ!たまには恋文でも書こうと思っただけで…!」
「いや、それは分かりますけど。」
「え。」
龍神様はてっきりこの恋文を読んだ龍平は、龍神様が別の者に色を上げていると勘違いしたのではと思っていましたが、見当違いでした。
「龍神様が俺以外にこんな手紙書くわけないでしょう。それくらい分かりますよ。それより、なんですかこの内容は!読んでいて顔から火が出るかと思うくらい恥ずかしいんですけど!」
「それは事実だからなぁ。仕方ない。それより私の愛を疑わなくなっていることに喜びを感じるぞぉ、龍平。」
「毎日毎日愛してると言われていれば自意識過剰にもなりますよ!もう!恥ずかしいんでその文は捨ててくださいね!」
「せっかく書いたのにかぁ!?」
結局この後、龍神様が書いた恋文は龍平の手によってビリビリに破かれ捨てられてしまいましたが、そんなことよりも龍平の口から出た言葉を嬉しく思う龍神様なのでした。
「ん、これは…?」
興味本位で覗いた龍平はそこに書かれていた内容をみて目を開きました。
「これ…恋文?」
そこに書いてあったのは紛れもなく恋文そのものでした。
『愛しい君へ。毎日貴方のことを考えると夜も眠れません。貴方を愛して愛して、この身を焦がしそうなほど。貴方は何をすれば私を愛してくれますか、私の腕に抱かれてくれますか。私はこの身全てを捧げて貴方を愛すると誓う。』
それはまだ書きかけのようでしたが、読んでいて恥ずかしくなるほど想いが溢れていました。龍平は読み進めるにつれて表情を失い、無心で恋文を眺めていました。
「ただいま…りゅ、龍平!?!?その文は!!」
龍平が無心で恋文を見つめているところに、龍神様が帰ってきました。見られたことへの羞恥から龍神様は顔を赤めて文を奪い取ります。
「龍神様、これ…。」
「ち、違うぞ!これは龍平に向けたものだぞ!たまには恋文でも書こうと思っただけで…!」
「いや、それは分かりますけど。」
「え。」
龍神様はてっきりこの恋文を読んだ龍平は、龍神様が別の者に色を上げていると勘違いしたのではと思っていましたが、見当違いでした。
「龍神様が俺以外にこんな手紙書くわけないでしょう。それくらい分かりますよ。それより、なんですかこの内容は!読んでいて顔から火が出るかと思うくらい恥ずかしいんですけど!」
「それは事実だからなぁ。仕方ない。それより私の愛を疑わなくなっていることに喜びを感じるぞぉ、龍平。」
「毎日毎日愛してると言われていれば自意識過剰にもなりますよ!もう!恥ずかしいんでその文は捨ててくださいね!」
「せっかく書いたのにかぁ!?」
結局この後、龍神様が書いた恋文は龍平の手によってビリビリに破かれ捨てられてしまいましたが、そんなことよりも龍平の口から出た言葉を嬉しく思う龍神様なのでした。
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