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季節話
龍神様と歯
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ある日、いつものように食事をしていた時でした。
「痛っ。」
いつもと変わり映えの無い朝餉を食べていた龍平が突然声を上げ、頬を押さえました。
「龍平?どうしたぁ。」
「あ、何か歯がずきんっと痛くなりまして...。」
「むぅ、見せてみろぉ。」
そう言うと龍神様は爪で龍平の顔を傷つけないように注意しながら龍平の頬に手を添え、口の中を見ます。龍平はほんの少し、龍神様に向かって口を大きく開けることに恥じらいを感じましたが、龍神様が本気で心配している風だったので、気にすることなく口を開けました。
「むぅ...虫歯、にはなっていないようだが油断は禁物だなぁ。」
「虫歯ではないのですね、良かったです。虫歯になっていたら抜かなければならないところでした。」
「安心せい、仮に虫歯になっても私が治してやるぅ。神の力を使えば容易い。」
「神の力便利ですね...。」
虫歯になった場合、抜くしか対処法がないので龍平も身構えていました。軽口を言っているようで、内心は神の力にとても感謝している龍平です。
「ところで...いつまで頬を触っているのでしょうか?」
龍神様は龍平の口の中を診終わった後もどさくさに紛れてずっと龍平の頬に手を添えていました。合法的に龍平の顔を触れるこの機会、可能な限り楽しみます。
「愛い頬だぁ。」
「龍神様の皮膚はガサガサして少し痛いです。」
「うっ、そうかぁ...。」
龍平の言葉に、残念そうに龍神様は手を離します。
「とにかく龍平、歯は大切にしなくてはぁ。歯磨きを怠らないようになぁ。あ、私が磨いてやるぞぉ。」
「そうですね、確かに自分でやるより他人にやってもらった方が確実...って、言う訳がないでしょう。自分でやります。」
「龍平...ノリツッコミなんてものを身につけおって...。」
「のりつっこみ?」
「何でもない、気にするなぁ。」
後日、歯磨きを丁寧にしていた龍平の歯は治りましたが、時々龍神様が歯磨きをさせてくれと求めてくるようになりました。
「痛っ。」
いつもと変わり映えの無い朝餉を食べていた龍平が突然声を上げ、頬を押さえました。
「龍平?どうしたぁ。」
「あ、何か歯がずきんっと痛くなりまして...。」
「むぅ、見せてみろぉ。」
そう言うと龍神様は爪で龍平の顔を傷つけないように注意しながら龍平の頬に手を添え、口の中を見ます。龍平はほんの少し、龍神様に向かって口を大きく開けることに恥じらいを感じましたが、龍神様が本気で心配している風だったので、気にすることなく口を開けました。
「むぅ...虫歯、にはなっていないようだが油断は禁物だなぁ。」
「虫歯ではないのですね、良かったです。虫歯になっていたら抜かなければならないところでした。」
「安心せい、仮に虫歯になっても私が治してやるぅ。神の力を使えば容易い。」
「神の力便利ですね...。」
虫歯になった場合、抜くしか対処法がないので龍平も身構えていました。軽口を言っているようで、内心は神の力にとても感謝している龍平です。
「ところで...いつまで頬を触っているのでしょうか?」
龍神様は龍平の口の中を診終わった後もどさくさに紛れてずっと龍平の頬に手を添えていました。合法的に龍平の顔を触れるこの機会、可能な限り楽しみます。
「愛い頬だぁ。」
「龍神様の皮膚はガサガサして少し痛いです。」
「うっ、そうかぁ...。」
龍平の言葉に、残念そうに龍神様は手を離します。
「とにかく龍平、歯は大切にしなくてはぁ。歯磨きを怠らないようになぁ。あ、私が磨いてやるぞぉ。」
「そうですね、確かに自分でやるより他人にやってもらった方が確実...って、言う訳がないでしょう。自分でやります。」
「龍平...ノリツッコミなんてものを身につけおって...。」
「のりつっこみ?」
「何でもない、気にするなぁ。」
後日、歯磨きを丁寧にしていた龍平の歯は治りましたが、時々龍神様が歯磨きをさせてくれと求めてくるようになりました。
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