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12話:自給自足の生活とサブプライム問題

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 しかし質屋は不況に強いビジネスと言われているが、収入が減った東京の会社の経営者風の人達や富裕層も高価な品物を質屋に持ち込む事が、最近増え、清水質店の景気は、良くなった。そのため、清水憲一の店は,繁盛しているので上機嫌。やがて,2006年が終わり2007年となった。それもあって、息子の清水浩一は、投資の利益と自分の貯金で1億円を超え、東京郊外に引っ越して、太陽光発電付きの1戸建ての家を建てようと考えた。

 そして自給自足の生活を夢見ていた。そのため、休みの日を見つけては、山梨、千葉、神奈川、埼玉の広い土地付き中古住宅を見に行く様になった。4月には、公的年金を個人ごとに一元管理するための基礎年金番号に統合されていない加入記録が、厚生・国民年金で約5千万件に上るとの事実を社会保険庁が4月に発表。安倍首相は来年3月までに照合作業を終わらせるなどとした対策を発表したが、この問題は参院選で争点化し与党大敗につながった。 

 年金記録ミスは1964年以前からあった。その、原因究明に当たった総務省の年金記録問題検証委員会は、問題を長期間放置した歴代社保庁長官らの責任が最も重いと糾弾。約1975万件はコンピューター上での本人特定が困難とみられ、「最後の1人、最後の1円まで年金を支払う」とした政府公約の達成は事実上不可能になった。

 一方、清水浩一の投資の方では、2007年5月24日、早朝、証券会社の担当者から日本ビルファンドの価格が200万円で売りとの助言を受け、30株、成り行き売りを指示。税引き後利益4993万円となり残金が、5571万円となった。そこで、新居の夢が現実に近づいた。安倍政権下で初の本格的な国政選挙、第21回参院選は7月29日に投開票された。

 自民党は、年金記録漏れや閣僚の不透明な事務所費・失言で逆風にさらされ、64議席を大きく下回る37議席と、過去最低だった1989年の36議席に次ぐ大敗を喫した。非改選と合わせても83議席で、保守合同の56年の参院選以降、最低であった。連立を組む公明党も議席が減少。民主党は、60議席を獲得し参院で第1党になった。この結果、与党は参院で過半数を失い、衆院と参院とで多数派が異なる「ねじれ」となった。

 安倍首相は「政治の空白は許されない」などとして続投し8月27日に内閣改造を断行。態勢の立て直しを図ったが、上手くいかなかった。その後、政権運営に行き詰まった安倍首相は9月12日、国会での各党代表質問の直前に突如退陣を表明。記者会見で、自らの辞任による「局面の打開」を強調したが、その後、健康の悪化が最大の理由であることを明かし陳謝。総理大臣選挙で、福田首相の誕生となった。

 2008年となって、アメリカでは,昨年から低所得者向け高金利型「サブプライム」住宅ローンの焦げ付きが多発し警戒感が、高まった。そのため夏頃から信用の収縮、株価急落、ドル安などが一気に加速。ローン債権を証券化した金融商品に投資していたヘッジファンドや金融機関は相場の急落で巨額の損失を計上、資金繰り難に直面。その中の一部は、破たんした。その影響で、アメリカやヨーロッパの中央銀行は市場に巨額の資金を供給。

 米国は利下げ、英国は住宅ローン会社への緊急融資に踏み込み、事態の沈静化を図った。これまでのところ実体経済に大きな影響はないもののサブプライム問題を発端とし2008年の景気見通しは、世界中で下方修正された。この頃、証券会社の担当者からアメリカで1980年から各国政府や機関投資家、金融プロフェッショナルの資産運用サービスをしているETF運用会社のステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが、評判だった。

 その会社のETFブランド、SPDR「スパイダー」シリーズへの投資が、リスク・リターンに優れてると言われ、資料を送ってもらった。特にSPDR「スパイダー」シリーズの特徴は、経費率が、年率で0.05%と低く抑られている事だと書いてあった。

 日本での第一段としてSPDRゴールドという金価格の上昇、下落により変動するSPDRゴールド・シェアが、日本では、2008年6月発売と発表された。急に大きな価格変動がなく、一般の株よりもリスクとリターンの面で、優れていると説明を受け、興味を持った。
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