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19話:紛争、JAL倒産と高校受験

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 世界保健機関「WHO」は、同月末、新型インフルエンザに対する6段階の警戒レベルを「フェーズ3」から「4」「5」に立て続けに引き上げた。さらに6月11日には世界的な大流行「パンデミック」)を意味する「フェーズ6」を宣言した。WHOの発表によれば、11月29日時点での世界全体の累計死者数は8768人。ただ、個別の感染件数算定作業を停止した国が多く、実際の死者数はもっと多いとみられる。

 今回の新型は、比較的症状の軽い弱毒型で、各国でのワクチン接種も10月ごろから本格化した。しかし、北半球が流行期の冬本番を迎え、感染者急増が、懸念される。厚生労働省は5月9日、カナダから米国経由で帰国した大阪府立高生ら3人が新型インフルエンザに感染したと発表。同16日に神戸市の高校生8人の国内感染が確認され、8月には沖縄県で初の死者が出た。国立感染症研究所は12月4日、累積推計患者数が1264万人に上ると発表。

 感染者の死亡は疑い例も含め100人を超えた。治療薬タミフルに耐性を示すウイルスが検出されたり、ワクチン接種後に感染し死亡したりするケースも見られた。政府は当初、水際対策に重点を置いた。しかし感染拡大に伴い運用指針を改定、重症化の恐れがある患者を除いては自宅療養を原則とした。ワクチン接種を原則1回とし、接種スケジュールを前倒し手洗いの徹底などを呼び掛けた。

 20世紀の米産業界をリードしてきたビッグスリーのクライスラーが4月30日、ゼネラル・モーターズが6月1日、経営破綻。環境対応車など新時代への取り組みの遅れや金融危機とその後の景気後退に見舞われたことが原因。米国経済の地位低下を象徴する出来事となった。クライスラーはイタリアの自動車大手フィアットと包括提携して、6月10日、新会社クライスラーグループが誕生した。

 米製造業では資産規模で最大の倒産劇となったGMも7月10日、「シボレー」などの優良ブランドを引き継ぎ、政府が過半数株を握る「新生GM」として再出発を果たした。2008年秋に起きた世界規模の金融危機の直撃を受けた。そのため2008年10~12月期と09年1~3月期の実質GDP「国内総生産」は、前期に比べ年率換算でそれぞれ10.2%、11.9%の大幅減となった。

 2けた減は戦後最大の落ち込みを記録した第1次石油危機後の1974年1~3月期、13.1%減以来35年ぶり。2期連続の2けたマイナスは戦後最悪の状況と言える。主な要因は輸出と生産の急減。これによって企業収益が悪化し、雇用不安や賃金の低下で個人消費も冷え込んだ。輸出の回復や政府の景気対策による政策効果で今年4~6月期は年率2.7%増に持ち直し、その後もプラス成長が続いているが、内需主導の本格回復には程遠い様だ。

 政府は11月20日に発表した月例経済報告で、日本経済に関し「物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある」と表明し、物価が持続的に下落するデフレに陥っていることを宣言した。デフレ認定は2006年6月以来3年5カ月ぶりである。賃金の下落や失業率の上昇につながるデフレからの脱却は、鳩山政権の大きな課題となる。政府が宣言に踏み切ったのは、生鮮食品などを除いた消費者物価が下がり続けたからだ。

 それとともに、物価をそのまま反映した名目国内総生産の伸び率が物価変動を除いた実質GDPを下回る傾向が続いているため、政府は景気てこ入れへ7.2兆円の財政出動を実施を決めたが、日銀に対しても量的緩和を含めた追加金融政策を求める動きが強まりそうだ。大恐慌以来の深刻な景気後退に見舞われた米国で2月、過去最大となる7872億ドル約70兆円」規模の景気対策法が成立した。

 家計、企業向けの減税に加え、1200億ドルを投じてブロードバンドインターネットなどのインフラ整備を推進した。地球温暖化防止に向けて環境、エネルギー分野に重点投資する、いわゆる「緑のニューディール」の目玉事業も盛り込まれた。景気対策の効果もあり、米国経済は7~9月期にプラス成長に回復した。オバマ大統領は、景気対策を通じて2年間で350万人以上の雇用維持・創出を目指すとしたが、11月の失業率は10%と高止まりしたまま。

 二番底懸念がくすぶる中、経済の約7割を占める個人消費を中心とした本格的な景気回復への道のりは、険しい。2008年12月27日、イスラエル軍はイスラム原理主義組織ハマスのロケット弾攻撃阻止を目的にパレスチナ自治区のガザ地区で空爆を開始した。2009年1月3日から地上作戦を展開した。1月18日に停戦するまでにパレスチナ側の死者は1300人以上を数え、イスラエル側も兵士ら10人以上が死亡した。

 背景にはイスラエルのガザ地区経済封鎖とこれに対抗するハマス側がロケット弾攻撃を繰り返してきたことがある。ハマスが、ガザ支配を確立した07年6月以降、イスラエルは人の出入りや生活必需品搬入の制限を強化した。
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