太一の決心

ハリマオ65

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7話:子供達の成長とアイフォンで音楽を

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 やがて2009年となり、百合は小学校3年生となり、太郎と謙二は、来年小学校にあがる。父親はもう少しで定年となる、昨年、太一が、みなとみらいに引っ越す時、将来、こっちで住まないかと聞くと、新日鉄君津の社宅に長く住んでいて、会社の後輩、先輩も多く、気心の知れた人たちに囲まれて生活していた方が気が楽だと話していた。もう、あまり、にぎやかなところよりも静かな海辺の方が性に合っていると話していた。

 太一も、社宅で長く生活していて、その気持ちもわかるので、そっとしておいた。東京アクアラインの開通で、みなとみらいからも車で1時間以内に行ける距離なので、何かあれば、直ぐいけるので、それ程心配しないで済む。それに、君津は、何と言っても生活費が安いのが魅力だ。仕事を終えて、夜釣りに行けば、数日分の小魚が釣れるし、潮干狩りで、あさりなどの貝も手に入る。

一方、奥さんの由美子さんは、みなとみらいを満喫して、楽しんで生活していると、娘の百合も休みの日には、写生をしに、近くの海岸で、絵を描くのが大好きなようだった。最近は、母の持ってるデジタルカメラを借りて、多くの写真を撮るのが楽しいらしく、とった写真を両親に見せて、誉めてもらうのが楽しみなようだ。そして、撮りためた写真は、父のパソコンに移して保存していた。

 最近は、算数の九九を覚えて、数学も好きなようで、ソロバンを買ってといい、暇があると、ソロバンの練習をしていた。そして、来年から、近くのソロバン教室に通いたいというので両親が学校を終えた後、算盤教室に入るのを許可していた。弟の2人は、元気が余っているのか、海岸沿いを2人で、毎朝ランニングして、楽しんでいた。そして走り疲れると、芝生やベンチに座って、遠くの船を眺めていた。

 やがて、暑い夏になり、エアコンの効いた部屋でテレビを見たり、絵を描いたり、音楽を聴いたりして、子供達は、それぞれのスタイルで、生活していた。やがて、10月、少し涼しくなり、土日、たまに、子供達を連れて、映画を見に行ったり、橫浜駅まで片道、徒歩30分で出かけて、映画を見始めた。最初は、ア二メーション映画ばかりだったが、お姉ちゃんは、母の好きな映画を一緒に見ていた。

 11月になると、箱根、冨士五胡へ行き、美しい富士山、高原の紅葉、箱根仙石原のすすきを見たり、多くの写真を撮ったり、絵を描いたりして楽しんた。そして、富士吉田のあつあつの吉田うどんを食べて、体を温めた。そして箱根の温泉や熱海の温泉に入り、港の周りを散策して、多くの海の写真を撮ったり、熱海の昔懐かしい、お店屋めぐりをしてきた。12月を迎え、両親を呼んで、横浜中華街で温かい中華料理を食べながら昼間の忘年会をした。

 12月24日には、ケーキとフライドチキンを買ってきて、自宅で、クリスマスパーティーを開いた。今年も、大きな問題もなく、元気に過ごせた頃に感謝をして、年を終えて、2010年を迎えた。しかし、太一の家の収支決算は、毎月、16万円前後の赤字で年間200万円前後の減っていた。そのため、約10年で2千万円が減り、現在の残金が8億円となっていた。

 今年から、太郎と謙二が、小学校にあがるので、新しいランドセルや洋服、運動靴を買いに行き、彼らも今年から小学生になるんだと、うれしそうに語っていた。昨年から、風邪対策として、毎晩、寝る前にうがい薬でうがいして、きちんと歯磨き、手洗いをする事を子供達に義務づけ、学校や外から帰ってきたときも、手洗い、うがいを励行させた。その効果で、風邪を引きにくくなった。

 今年、母が、音楽を聴いたり電話をするのにアイフォンを購入したので長女の百合も一緒に使いたいと言い出し、今年と来年の2年分のお年玉として買ってあげた。特に、音楽プレイヤーとして使いたいと言い、使い方を母に習っていた。太一は、電話があまり好きではないので、スマートフォンは持たず、もっぱら自宅の電話機で電話していた。また、音楽などは、パソコンで十分だった。

 百合は、小学校を終え、その後、ソロバン塾に1時間行き、帰りが16時過ぎる事が多った。その後、勉強をしたり、音楽を聴いたりして、1人で忙しそうにしていて、弟たちと遊ぶことは、ほとんどなかった。しかし、弟の太郎と謙二は、たまに喧嘩もするが、一緒におやつを食べて、テレビを見て、宿題をして、散歩をして仲良くやっていた。2人とも数学、理科が好きな子だった。

 その後、百合は、たまに、母と一緒に横浜美術館を見学したり、映画を見たり、コンサートを聴いたりして、母と仲良く行動していた。そして、本を読むのが好きで、母も昔、文学少女だったようで、話があった。そこで、母が、この小説が面白いと教えたりして、土日にバスで図書館に行き数冊の本を借り、途中、2人でお茶して来る日があり、太一だけが、単独行動という日が増えた。

 やがて春になり、今年、初めて、東京湾フェリーで房総にわたり、美味しい魚を食べてこようという話になり、みなとみらいの自宅から、買い換えたばかりのエスティマを出発して本牧、根岸、金沢、横須賀を抜け、久里浜港へ行き、フェリーに車を乗せて、出かけた。フェリーは、思った程の揺れではなく、船酔いすることもなく、40分程で金谷港に到着し、お昼近かったの近くのレストランに入った。

 そこで母と娘は、刺身定食、男の子は、魚のフライ定食、太一は、煮魚定食を頼んだ。10分ほどで、煮魚以外の料理が出て来て、さっさと食べた。しかし、煮魚は30分して出て来た。他の人は、コーラや珈琲を飲んでいた。しかし、煮魚は、大きな皿に、いっぱいあり、奥さんと子供達にも、分けてやると、美味しいと好評だった、確かに、甘辛の味付けが上手でとても旨かった。

 その近くの店で、魚、干物、お菓子などのお土産を買い込んだ。その後、車で1時間、内房海岸線の国道を北上して、両親の住んでいる君津に、午後3時近くに到着。お土産を渡し、お茶を飲みながら雑談した。すると、両親が、子供達の成長を喜んでくれ、学校の話や百合のソロバン塾の話。男の子が、近くの海岸を走っている話などをゆっくり、聞いていた。

 そして、夕飯をいただいて、19時に君津を出て、東京湾アクアラインを走る頃には、奥さん以外は、爆睡していた。そして20時過ぎに、家について、風呂に入って、床についた。この時の様子を百合が4枚の絵に描いてくれた。1枚は、フェリーの絵、その他、煮魚定食の絵、おじいさんの似顔絵とおばあさんの似顔絵だった。この年の7月に、父が新日鉄・君津の会社を定年退職した。

 その後、その似顔絵を郵送すると、お礼の電話がかかり、百合が、うれしそうに祖父母と話をしていた。この年の秋にも、太一一家が、車で、祖父母の家を訪ねた時、家の壁に額縁入れた、祖父母の絵が飾られていた。そして、祖父母が、孫達と、うれしそうに、歓談してくれた。そして、12月には、君津から列車を乗り継いで、みなとみらいの家を訪ねて来てくれた。

 翌日、横浜中華街の店で、忘年会を楽しんで、太一のマンションに泊まっていった。帰りは、太一のエスティマで、アクアラインを抜けて、君津まで送って行った。そして、定年退職になったので、また、遊びに来るよと祖父母が良い、孫達が、待ってますので、お元気でというと、祖母は、涙ぐんで、百合、太郎、謙二を1人ずつ、抱きしめてくれた。やがて2011年を迎えた。
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