恵美子の波瀾万丈

ハリマオ65

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17話:金融機関の不祥事と倒産

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 当時、証券会社が顧客である企業や金融機関から資金の運用を一任された取引・営業特金と呼ばれた。それで利益を約束したというか損失が出た場合は、証券会社が補填する約束が横行していた。これが異常な出来高を生み、市場が過熱する原因になっていた。この営業特金が株価対策の標的にされた。

 官庁が御用納めとなる1989年12月26日に事後的な損失の補填を禁ずる内容の大蔵省証券局長通達・局長名から角谷通達と呼ばれるが出された。通達は法律ではないが規制下にある金融業界にあっては絶対的な命令に等しい。国会を通す必要がないので機動的に行政指導ができるメリットもある。

 とくに大手4社、野村証券、山一証券、日興証券、大和証券は売買手数料欲しがった。なにしろ証券会社が自ら売買の指示ができ、その手数料が収入源となるのだから答えられない。それを営業特金と呼ばれた。巨額の営業特金と損失補填の約束を抱えていたから、その影響は甚大だった。

 ちなみに損失補填の禁止は1992年には法制化され刑事罰も規定された。大手、準大手はこぞってこの損失補填に手を染めており、国会で各社の社長が追及を受けた。特に準大手は経営危機から廃業や救済合併が相次ぐなど、証券スキャンダルはバブル崩壊を象徴する言葉となった。

 1995年6月15日、ソニー株下げてるから買いと言われ買い値3800円と言われ、直感で年末に株価が上げるのを知っていたので世紀末も上げると踏んで4800株1824万円の買いを入れた。すると数日後買えたと連絡が入った。そして投資証券残金が3346万円となった。

 1997年7月22日に路子さんから恵美子への電話で今後有望な業種のインターネット関連株・ソフトバンクが上場したと言い、この株の下値を買おうと言い、買い値は、また連絡すると言った。

 1997年11月3日三洋証券破綻。証券会社の倒産は戦後初。11月17日に北海道拓殖銀行が経営破綻・戦後初の都市銀行の破綻だった。11月22日山一證券破綻。11月26日 徳陽シティ銀行破綻。やがて1998年があけた。今年も恵美子は箕島巌男と2人で初詣でに出かけ家内安全、健康、繁栄と株投資が成功しますようにと祈願して来た。

 1月3日に路子さんが1999年末でN証券を退社する決心したと伝えられ、ソフトバンク株を買いたいので600万円を渡すから買ってと依頼され、恵美子は了解した。その後、路子さんの弟の箕島巌男の病状と回復度合いを話して、午後5時過ぎに別れた。翌日1月4日に恵美子の口座に路子さんから600万円が振り込まれて、投資口座残金が増えた。

 その後、1998年1月16日、朝、ソフトバンクを成り行きで2千株を買い、1株3700円で総額2220万円で買え残高が1125万円となった。1999年月3日日本銀行、ゼロ金利政策実施。1999年2月、日本銀行は、短期金利の指標である無担保コール翌日物金利を史上最低の0.15 %に誘導することを決定した。

 この時、当時の速水優日本銀行総裁が「ゼロでも良い」と発言したことからゼロ金利政策と呼ばれた。1999年5月4日東邦生命保険が経営破綻、自力再建を断念。8月20日第一勧業銀行と富士銀行、日本興業銀行の3行が持株会社を設立・現在のみずほフィナンシャルグループ、2002年の春を目途に事業統合することを発表。これが、現在の「みずほ銀行」である。 
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