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第2話 アゲート領の白檀
7.ジャンバラヤ族
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「リリアスこいっ」
アゲートに出立の合図をかけると、ムハンマドは直ぐにリリアスを自分の隣に寄せる。
親衛隊は皆、駱駝でなく馬に乗る。
リリアスも乗れるようになっていた。
「あれがアゲート領。
バラモン最大の財力と権力を握る。
バラモンは一枚岩の国ではない。
複数の領主が土地を納め、彼らが後ろ楯になっているからこそ、我がバラモン国が成り立っている。
中でもアゲートは最大の勢力だ。
財力に人、そして最近は独自の自衛団を組織し、あなどれないようになってきている」
砂漠に盛り上がるような丘に、ぐるりと取り囲む城壁の内側には街が広がっていて、建物群が遠方からもうかがえる。
この辺りは平坦な道ではなく、ゴツゴツした岩肌に、こんもりとした薮など、雨も多いため豊富な動植物など多様な植生をしているゆたかな土地だ。
リリアスは、まっすぐ先のアゲートを見ていると、落ち着かない気分になった。
「アゲートは、最近、不可解な動きがある。
作物の収穫高が落ち、バラモンの特産物のひとつ、アゲート産の白檀も品質や生産が落ちている。それを今回は独自に調査する」
「白檀?」
ムハンマドはウィンクした。
「昨晩たいていただろう?官能を高める魅惑の香りだ。瞑想にも使われるがな」
そういえば、よい香りだったと思い出したとたん、昨晩を思い出し、リリアスは真っ赤になった。
など、これから向かうアゲートの概要を道中で話している時、パスンと先頭をいくバラーの前に矢が落ちた。
一瞬の間ののち、バラーの怒号がとぶ。
「襲撃だ~構えろ!」
との声に長い隊列が丸く、ムハンマドを中心に囲うように陣を組もうと動く。
相手は馬上の覆面団で、手には遊牧民が使う狩猟用の弓矢をもっていた。
14、5人と敵数が多く、とたんに取り囲まれる。
「お前たちはバラモン国の王族の者か!」
リーダー格のフードの男はいった。
「そうだとしたら何だ」
と、ムハンマドは男の前に進みでる。
その手には抜刀された剣がぎらりと握られている。
「我々の言葉を王に伝えてほしい!」
「ふん。これは人に物を頼む態度ではないな。聴いて欲しければ、もっとやりようがあるだろう?」
ムハンマドがいうと、男は弓をきりっと構えた。
「お前の大事なものの命と引き換えだったらどうだ?」
リーダーは迷わずリリアスに狙いをつける。
リリアスはヒヤリとした。
バードも身構える。
風を起こして流せるかもしれない。
しかし、他の覆面団も四方八方からリリアスを針ネズミにすべく全身を狙う。
ムハンマドはリリアスの前にでて庇う。
後ろにはバードが立つ。
「、、、やり方は気に入らんが、話は聞こう」
それを聞くと弓矢が降ろされ、ムハンマドの親衛隊も構えていた剣を鞘に納めた。
覆面の男は馬を降り、顔をさらす。
きりっとした表情の好青年だ。
他の者も後につづいた。
フードをとれば荒ぶれた様子を感じさせない、好青年たちの一団だ。
「大変失礼をいたしました。私はジャンバラヤ族の族長の息子ジャン。聖なる森を守護しております。
アゲートの横暴な振る舞いを知ってかつ正していただきたく、そちら様が王族の第六王子ムハンマド様とお見受けして、お力を貸していただきたいと思いまして、このようなご無礼を働いた次第です。
アゲートに入られる前に是非、当方の原状を見て、助けてください」
ムハンマド王子一行は、ジャンバラヤ族の族長の息子の案内で、寄り道をすることになったのだった。
アゲートに出立の合図をかけると、ムハンマドは直ぐにリリアスを自分の隣に寄せる。
親衛隊は皆、駱駝でなく馬に乗る。
リリアスも乗れるようになっていた。
「あれがアゲート領。
バラモン最大の財力と権力を握る。
バラモンは一枚岩の国ではない。
複数の領主が土地を納め、彼らが後ろ楯になっているからこそ、我がバラモン国が成り立っている。
中でもアゲートは最大の勢力だ。
財力に人、そして最近は独自の自衛団を組織し、あなどれないようになってきている」
砂漠に盛り上がるような丘に、ぐるりと取り囲む城壁の内側には街が広がっていて、建物群が遠方からもうかがえる。
この辺りは平坦な道ではなく、ゴツゴツした岩肌に、こんもりとした薮など、雨も多いため豊富な動植物など多様な植生をしているゆたかな土地だ。
リリアスは、まっすぐ先のアゲートを見ていると、落ち着かない気分になった。
「アゲートは、最近、不可解な動きがある。
作物の収穫高が落ち、バラモンの特産物のひとつ、アゲート産の白檀も品質や生産が落ちている。それを今回は独自に調査する」
「白檀?」
ムハンマドはウィンクした。
「昨晩たいていただろう?官能を高める魅惑の香りだ。瞑想にも使われるがな」
そういえば、よい香りだったと思い出したとたん、昨晩を思い出し、リリアスは真っ赤になった。
など、これから向かうアゲートの概要を道中で話している時、パスンと先頭をいくバラーの前に矢が落ちた。
一瞬の間ののち、バラーの怒号がとぶ。
「襲撃だ~構えろ!」
との声に長い隊列が丸く、ムハンマドを中心に囲うように陣を組もうと動く。
相手は馬上の覆面団で、手には遊牧民が使う狩猟用の弓矢をもっていた。
14、5人と敵数が多く、とたんに取り囲まれる。
「お前たちはバラモン国の王族の者か!」
リーダー格のフードの男はいった。
「そうだとしたら何だ」
と、ムハンマドは男の前に進みでる。
その手には抜刀された剣がぎらりと握られている。
「我々の言葉を王に伝えてほしい!」
「ふん。これは人に物を頼む態度ではないな。聴いて欲しければ、もっとやりようがあるだろう?」
ムハンマドがいうと、男は弓をきりっと構えた。
「お前の大事なものの命と引き換えだったらどうだ?」
リーダーは迷わずリリアスに狙いをつける。
リリアスはヒヤリとした。
バードも身構える。
風を起こして流せるかもしれない。
しかし、他の覆面団も四方八方からリリアスを針ネズミにすべく全身を狙う。
ムハンマドはリリアスの前にでて庇う。
後ろにはバードが立つ。
「、、、やり方は気に入らんが、話は聞こう」
それを聞くと弓矢が降ろされ、ムハンマドの親衛隊も構えていた剣を鞘に納めた。
覆面の男は馬を降り、顔をさらす。
きりっとした表情の好青年だ。
他の者も後につづいた。
フードをとれば荒ぶれた様子を感じさせない、好青年たちの一団だ。
「大変失礼をいたしました。私はジャンバラヤ族の族長の息子ジャン。聖なる森を守護しております。
アゲートの横暴な振る舞いを知ってかつ正していただきたく、そちら様が王族の第六王子ムハンマド様とお見受けして、お力を貸していただきたいと思いまして、このようなご無礼を働いた次第です。
アゲートに入られる前に是非、当方の原状を見て、助けてください」
ムハンマド王子一行は、ジャンバラヤ族の族長の息子の案内で、寄り道をすることになったのだった。
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