神速艦隊

ypaaaaaaa

文字の大きさ
上 下
50 / 58
対米戦に向けて

出港

しおりを挟む
海軍は堀達の決意を受けてすぐに動き始めた。
まずは”真珠湾強襲作戦”のための深度調整板付き魚雷の大増産、そして真珠湾上陸を行う陸軍師団の要請だった。
前者はただ工廠に働きかければよいのだが、問題は陸軍師団の調達だった。
知っての通り、日本の海軍と陸軍は明治期はそれほどであったが大正から昭和にかけて幾度も対立していた。
海軍の担当者は最初から”厳しい交渉となるだろう”と考えていた。
だが実際は違った。
陸軍は第1次欧州大戦が終結してからは中支事変しか戦いに参加しておらず、力は有り余っていた。
その証拠に陸軍はイギリスからライセンス生産しているチャーチル歩兵戦車やクルセイダー巡航戦車を各師団に配備しており機械化を推し進めていた。
また陸軍の中でも”開戦劈頭にハワイを占領できないだろうか”という考えがあった。
なので陸軍は海軍から求められた時、すぐに了承した。


着々と真珠湾強襲作戦の準備が整うなか、フィリピンの攻略作戦も同時に立案されていた。
海軍からは高雄航空隊から陸攻56機と比遣艦隊を出すことになっていた。


比遣艦隊
司令長官:小沢治三郎中将
参謀長:宇垣纏少将
旗艦:愛鷹
戦艦:愛鷹、愛宕、榛名、霧島
大型巡洋艦:古鷹:加古
空母:薩摩、安芸
直掩空母:敷島、三笠、朝日、初瀬
軽巡:阿武隈、木曽
駆逐艦以下11隻
航空戦力:艦戦180機、艦爆42機、艦攻44機


これらの戦力はフィリピンに存在するアメリカ極東艦隊を攻撃する任務も与えられていた。


11月3日。
日米交渉は暗礁に乗り上げた。
これを受け、11月15日には御前会議が開かれ”日本時間1941年12月8日の開戦”を決定した。


11月22日に単冠湾に第1航空艦隊、タンカー、そして陸軍の第2、3師団を乗せた輸送船だっが所せましと停泊していた。
「塩沢、必ず生きて帰ってこい」
堀と山本は天城の司令長官室で塩沢にそう嘆願した。
「死ぬ気はない。行ってくる」
塩沢はにこりと笑いそれだけ言った。


11月26日。
総勢50隻を超える大艦隊が25ノットを維持してハワイに向けて出撃した。
第2、3師団を乗せた輸送船団は速度が遅いため、2日前に軽巡球磨、多摩以下駆逐艦6隻の護衛の元出港していた。
「これでもう後戻りは出来んな」
塩沢のつぶやきに大西も頷く。
「山本(権兵衛)閣下からはじまった我が艦隊の高速化、航空主兵化20年の成果を目に焼き付けてやりましょう」
そして12月2日に最後の日米交渉が決裂し海軍省から”ニイタカヤマノボレ一二〇八”が打電された。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

皇国の栄光

ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。 日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。 激動の昭和時代。 皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか? それとも47の星が照らす夜だろうか? 趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。 こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです

空母鳳炎奮戦記

ypaaaaaaa
歴史・時代
1942年、世界初の装甲空母である鳳炎はトラック泊地に停泊していた。すでに戦時下であり、鳳炎は南洋艦隊の要とされていた。この物語はそんな鳳炎の4年に及ぶ奮戦記である。 というわけで、今回は山本双六さんの帝国の海に登場する装甲空母鳳炎の物語です!二次創作のようなものになると思うので原作と違うところも出てくると思います。(極力、なくしたいですが…。)ともかく、皆さまが楽しめたら幸いです!

出撃!特殊戦略潜水艦隊

ノデミチ
歴史・時代
海の狩人、潜水艦。 大国アメリカと短期決戦を挑む為に、連合艦隊司令山本五十六の肝入りで創設された秘匿潜水艦。 戦略潜水戦艦 伊号第500型潜水艦〜2隻。 潜水空母   伊号第400型潜水艦〜4隻。 広大な太平洋を舞台に大暴れする連合艦隊の秘密兵器。 一度書いてみたかったIF戦記物。 この機会に挑戦してみます。

小沢機動部隊

ypaaaaaaa
歴史・時代
1941年4月10日に世界初の本格的な機動部隊である第1航空艦隊の司令長官が任命された。 名は小沢治三郎。 年功序列で任命予定だった南雲忠一中将は”自分には不適任”として望んで第2艦隊司令長官に就いた。 ただ時局は引き返すことが出来ないほど悪化しており、小沢は戦いに身を投じていくことになる。 毎度同じようにこんなことがあったらなという願望を書き綴ったものです。 楽しんで頂ければ幸いです!

連合艦隊司令長官、井上成美

ypaaaaaaa
歴史・時代
2・26事件に端を発する国内の動乱や、日中両国の緊張状態の最中にある1937年1月16日、内々に海軍大臣就任が決定していた米内光政中将が高血圧で倒れた。命には別状がなかったものの、少しの間の病養が必要となった。これを受け、米内は信頼のおける部下として山本五十六を自分の代替として海軍大臣に推薦。そして空席になった連合艦隊司令長官には…。 毎度毎度こんなことがあったらいいな読んで、楽しんで頂いたら幸いです!

帝国夜襲艦隊

ypaaaaaaa
歴史・時代
1921年。すべての始まりはこの会議だった。伏見宮博恭王軍事参議官が将来の日本海軍は夜襲を基本戦術とすべきであるという結論を出したのだ。ここを起点に日本海軍は徐々に変革していく…。 今回もいつものようにこんなことがあれば良いなぁと思いながら書いています。皆さまに楽しくお読みいただければ幸いです!

日は沈まず

ミリタリー好きの人
歴史・時代
1929年世界恐慌により大日本帝國も含め世界は大恐慌に陥る。これに対し大日本帝國は満州事変で満州を勢力圏に置き、積極的に工場や造船所などを建造し、経済再建と大幅な軍備拡張に成功する。そして1937年大日本帝國は志那事変をきっかけに戦争の道に走っていくことになる。当初、帝國軍は順調に進撃していたが、英米の援蔣ルートによる援助と和平の断念により戦争は泥沼化していくことになった。さらに1941年には英米とも戦争は避けられなくなっていた・・・あくまでも趣味の範囲での制作です。なので文章がおかしい場合もあります。 また参考資料も乏しいので設定がおかしい場合がありますがご了承ください。また、おかしな部分を次々に直していくので最初見た時から内容がかなり変わっている場合がありますので何か前の話と一致していないところがあった場合前の話を見直して見てください。おかしなところがあったら感想でお伝えしてもらえると幸いです。表紙は自作です。

日本が日露戦争後大陸利権を売却していたら? ~ノートが繋ぐ歴史改変~

うみ
SF
ロシアと戦争がはじまる。 突如、現代日本の少年のノートにこのような落書きが成された。少年はいたずらと思いつつ、ノートに冗談で返信を書き込むと、また相手から書き込みが成される。 なんとノートに書き込んだ人物は日露戦争中だということだったのだ! ずっと冗談と思っている少年は、日露戦争の経緯を書き込んだ結果、相手から今後の日本について助言を求められる。こうして少年による思わぬ歴史改変がはじまったのだった。 ※地名、話し方など全て現代基準で記載しています。違和感があることと思いますが、なるべく分かりやすくをテーマとしているため、ご了承ください。 ※この小説はなろうとカクヨムへも投稿しております。

処理中です...