神速艦隊

第2次欧州大戦

追撃戦

6隻の空母の中で真っ先に狙われたのは最も攻撃隊に近かったアーク・ロイヤルだった。
対空砲火で2機のスツーカを撃墜されながらも残存するスツーカ7機は急降下態勢に入る。
7機のスツーカは一帯にジェリコのラッパを響かせる。
そして500㎏爆弾を次々と投下した。
命中率は3割程度、つまり2発が飛行甲板に命中した。
アークロイヤルの飛行甲板は直ちに大火災に見舞われそれは格納庫まで広がった。
この攻撃によるアークロイヤルの被害は甚大でありまもなく航行を停止した。
これを皮切りに残りのスツーカも攻撃をしていった。
制空権の無いイギリス艦隊は有効な反撃を繰り出すことが出来ず、ただただ攻撃されていった。
攻撃は30分で終了しドイツ攻撃隊は結果的に9機のスツーカを対空砲火で喪失した。
対してイギリス艦隊はグローリー、オーシャン、アークロイヤル、パイオニアが沈没、、ウォーリー、ハーミーズは飛行甲板が完全に破壊され航空機運用能力を失ってた。
また戦艦ネルソン、ロドニー、ジュピター、クイーンエリザベスに1発から3発の500㎏爆弾が命中。
沈没こそ免れたが機関室が壊滅していたり砲塔が破壊されていたりと戦力は着実に減っていた。
サマヴィルはここで撤退を決意した。
戦艦は航空機に撃沈されることはないかもしれない。
ただやはり何らかの損傷を負うのは間違いなくその状態で万全なドイツ艦隊に戦いを挑むのは得策ではなかった。


「敵艦隊は撤退する模様です」
報告を聞いたデーニッツはほくそ笑んだ。
「潜水艦部隊に足止めを命じろ、追撃を掛けるぞ！」
こうしてデーニッツ機動部隊は速度を30ノットに増速してイギリス艦隊の追撃に入った。


30ノットで迫るデーニッツ艦隊に対してサマヴィル艦隊は大破していた空母を連れている関係上12ノットで航行するしかなかった。
デーニッツ艦隊が最初にイギリス艦隊を発見したときは200海里の距離があったのがデーニッツ艦隊が攻撃隊を収容したときには100海里を切っていた。
デーニッツは戦艦数の差からまだ砲撃戦は仕掛けるべきでないとして第2次攻撃隊の準備を急がせた。


「敵潜水艦が魚雷を発射しました！」
「回避！」
サマヴィルは海面を走る白い航跡を注視する。
発射された4発の魚雷の内2発は回避したが残りの2発はあえなく旗艦たるフッドに命中してしまった。
すでに他の戦艦も被雷しておりサマヴィル艦隊は満身創痍となっていた。
もし海戦がイギリス本土に近ければすぐに港に退避できただろうがここは大西洋であった。
そしてこうして戦艦が徐々に弱体化していくところに追い打ちをかける情報がサマヴィルに飛び込んで来た。
「敵機が接近してきます！」
サマヴィルはもはや逃げられないと覚悟した。