神速艦隊

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新八八艦隊計画

ユンカース誘致

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欧州派遣艦隊が日本に帰還してきたとき、日本海軍の戦力はかなり強化されていた。


扶桑型戦艦:扶桑、山城
金剛型巡洋戦艦:比叡、榛名、霧島
天城型巡洋戦艦:天城、赤城、愛鷹あしたか、愛宕
古鷹型巡洋艦(大型巡洋艦):古鷹、加古、青葉、衣笠


これらの艦隊はすでに訓練を完了しており一時は欧州への派遣も検討された。
だが大戦争が終わってしまいついにその機会は無かった。
「八八艦隊計画は滞りなく進んでいるようだな」
山本権兵衛は自らの邸宅で東郷からの報告を満足そうに聞いていた。
「それで、今日は何の用だ。これを言いに来たわけではないだろう」
東郷は敵わないと言わんばかりに首を振り口を開く。
「はい、実は宮様から山本閣下に進言がございまして」
「ほう、宮様からか」
「宮様はどうやら欧州で航空機の実力を目の当たりにされたようで帰国してから開口一番に”やはり時代は航空機でした”とおっしゃたほどです。そこで日本にドイツの航空機会社を誘致して我が国の工業技術を底上げしつつ航空機の開発を進めていただきたいだそうです」
山本はすぐに頷いた。
「私は総理を辞めた身だができるだけ力になる。宮様にはこうお伝えしてくれ」
「分かりました」
東郷はそうとだけ言って邸宅を後にした。


山本の力は今だ衰えていなかった。
彼は海軍の重鎮という立場を生かし多方面に働きかけた。
当時の海軍大臣は加藤友三郎であり彼は東郷からもこの話を聞いていたこともありすぐに議会に提出。
これには大蔵大臣である高橋是清も積極的に賛成し議会はこれを可決。
また外相である内田康哉は英国などに理解を得るためすぐに外国を飛び回ることになる。


日本政府によるドイツ航空産業の抱き込みはすぐに成果を出した。
ヴェルサイユ条約の影響で市場の縮小が必至となっていたユンカースなどは喜んで日本に生産工場などを建設。
初めての工場は東北の会津に置かれた。
ここでは航空機の生産の他に日本人技術者の教育や日本軍の新型機の開発などを行った。
これには伏見宮や山本も満足し頷いた。


「フューリアスのような航空機を運用できる軍艦が必要になるでしょう」
東郷はこの伏見宮の言葉に覚えがあった。
それは今は亡き秋山が言っていた”航空機を運用できる艦”であろうと思った。
「それはそうだ。だがやはり最初は一から建造するのでなく既存の艦艇を改装するのがよいだろう」
「ですが改装すると言ってもかなり大型で、なおかつそこまで価値のない艦艇などそうありません」
東郷はその言葉を聞いてニヤリと笑った。
「1隻当てがある」
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