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新八八艦隊計画
高速艦隊への一歩
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東郷平八郎海軍大将は先日のことを思い出す。
『我々海軍は一度創成期に立ち返らなければならない』
尊敬していた山本権兵衛からこういわれた時の衝撃は言葉に出来ないほどだった。
つまり八八艦隊は廃案にするということだった。
『ですがっ!それでは国防が成り立たなくなります!』
すると山本はこういった。
『私は戦艦を一切建造しないと言っているわけではない。純粋な建艦競争では各列強に工業力で劣る我が国は必ず劣勢に立たされる』
それは東郷にも分かっていた。
だがそれならどうすればいいのか?
その答えは山本がすぐに言った。
『であるからこそ、新兵器や新戦術で欧米列強の一歩先を行くのだ』
山本はその後にこれから海軍はどうなるべきかを語った。
『日清戦争の黄海海戦では三景艦の巨砲より浪速などの速射砲の方が戦果を挙げたのは覚えているだろう。それと同じことを今もやれば良いのだ。あと航空機からも目を離すな。あれは化けるぞ』
東郷は山本には敵わないと感じた。
ここまでの事を考えられる海軍軍人が他にいようか。
「八八艦隊は立ち消えだな」
東郷はそうつぶやいた。
東郷は海軍省に来ていた。
秋山真之に八八艦隊に代わる建造計画を立案してもらうためだ。
「…なるほど。山本閣下がそう言うのであればそうなのでしょう。1週間ほど時間をください」
秋山の言葉に東郷も力強さを感じた。
そして1週間後に再度秋山を訪ねた。
「我が国の国力も勘案いたしまして、1年に改金剛型1隻、大型巡洋艦1隻を起工する8年越しの計画を立案いたしました。その後は航空機にかんする艦種が建造されると思われます」
「思われます?」
「今の航空機の性能では艦艇など撃破できないでしょう。ですが10年後も同じ状況とは限りません。それに山本閣下もおっしゃったと1週間前にお聞きしました」
「そうだったな。あと、大型巡洋艦というのはなんだ?」
まってましたと言わんばかりに秋山は解説を始めた。
「いってしまえば金剛型の小型版です。河内型の主砲と同等の50口径30.5㎝を4基8門搭載し速度も金剛型と同等の代物です。また、技術が進んだ際に主機や兵装の換装を容易にする工夫もしておき10年、20年先も通用する艦を目指します」
東郷は終始秋山の言葉に頷き続けた。
この新八八艦隊というべき建造計画は前の八八艦隊よりも断然財政の圧迫は少なく、またこの計画自体が経済の活性化につながるとして帝国議会を速やかに通過。
ただその2日後の4月16日に山本がシーメンス事件で失脚してしまった。
『我々海軍は一度創成期に立ち返らなければならない』
尊敬していた山本権兵衛からこういわれた時の衝撃は言葉に出来ないほどだった。
つまり八八艦隊は廃案にするということだった。
『ですがっ!それでは国防が成り立たなくなります!』
すると山本はこういった。
『私は戦艦を一切建造しないと言っているわけではない。純粋な建艦競争では各列強に工業力で劣る我が国は必ず劣勢に立たされる』
それは東郷にも分かっていた。
だがそれならどうすればいいのか?
その答えは山本がすぐに言った。
『であるからこそ、新兵器や新戦術で欧米列強の一歩先を行くのだ』
山本はその後にこれから海軍はどうなるべきかを語った。
『日清戦争の黄海海戦では三景艦の巨砲より浪速などの速射砲の方が戦果を挙げたのは覚えているだろう。それと同じことを今もやれば良いのだ。あと航空機からも目を離すな。あれは化けるぞ』
東郷は山本には敵わないと感じた。
ここまでの事を考えられる海軍軍人が他にいようか。
「八八艦隊は立ち消えだな」
東郷はそうつぶやいた。
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秋山真之に八八艦隊に代わる建造計画を立案してもらうためだ。
「…なるほど。山本閣下がそう言うのであればそうなのでしょう。1週間ほど時間をください」
秋山の言葉に東郷も力強さを感じた。
そして1週間後に再度秋山を訪ねた。
「我が国の国力も勘案いたしまして、1年に改金剛型1隻、大型巡洋艦1隻を起工する8年越しの計画を立案いたしました。その後は航空機にかんする艦種が建造されると思われます」
「思われます?」
「今の航空機の性能では艦艇など撃破できないでしょう。ですが10年後も同じ状況とは限りません。それに山本閣下もおっしゃったと1週間前にお聞きしました」
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東郷は終始秋山の言葉に頷き続けた。
この新八八艦隊というべき建造計画は前の八八艦隊よりも断然財政の圧迫は少なく、またこの計画自体が経済の活性化につながるとして帝国議会を速やかに通過。
ただその2日後の4月16日に山本がシーメンス事件で失脚してしまった。
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