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”明治の頭”からの脱却

妥協案

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「航空機の優位性は認めざるを得ません…。」
福留は悔しそうに負けを認めた。
「分かったならいい。」
井上はそう受け流す。
「ですが、やはり新型戦艦は建造すべきです!」
福留の言葉に井上は驚愕する。
「この結果を見てもなお、今だ戦艦が航空機に勝ると考えている者は少なくないと考えます。それは特に上層部が顕著です。」
井上はこれに同意を示す。
いくら航空機の優位性を説いて、結果をだしてもそれを認めない海軍将校がすぐに浮かんだからだ。
「長官はいくら宮様や永野さんの後押しをもらっているとしても、このまま突き進めば衝突は必至で長官の職を辞めざるを得なくなるかもしれません。それでは長官が言った”明治の頭”のままで戦争を始めることになるでしょう。そうなるとこの国は十中八九敗北します。」
井上は深く考え込む。
そして口を開いた。
「確かにそうだ。ではこうしよう。」


「A140-F6計画を変更するだと!?」
艦政本部の中村良三大将は驚き交じりに聞き返した。
「はい。その通りです。」
井上の飄々とした態度がまた中村をいらつかせる。
「これはすでに決定していることだ!それに2隻から1隻に減らすというのは納得できん!」
それに対すして井上はある書付を渡す。
「なんだ、これは。」
「福留少将と話しあって決めた新型戦艦の大まかな性能です。」


基準排水量:8万8000トン
満載排水量:10万5000トン
全長:263m
全幅:40m
速力:27ノットないし28ノット
主砲:50口径46㎝3連装砲4基ないし45口径51㎝連装砲4基
副砲:20.3㎝3連装砲2基
高角砲:65口径10cm連装砲6基
機銃:25㎜3連装機銃16基
搭載機:8機
最大装甲:舷側430㎜、甲板210㎜
艦底防御壁:3層
1941年までに習熟訓練完了


これには中村も驚いた。
「これを造るのか?」
「造れないのなら、諦めてください。」
中村は考えこむがすぐに答えた。
「分かった。やってやろうじゃないか!」
井上はにやりと笑った。
こうして計画は修正され架空計上していた駆逐艦が建造可能になり、さらに1個航空隊も創設可能になった。


「あいつはうまくまとめたようだな。」
米内は自室でまたも見舞いに来ていた山本に話しかける。
「見込んだ通りでした。さすがは宮様に意見したまでのことはありますね。」
「それはそうと、そろそろお前の方で何かあると聞いたが?」
山本はいきなり言われたがすぐに答えた。
「はい、陸軍の航空推進派との会合です。」
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