42 / 67
束の間の休息
しおりを挟む
阿部は双眼鏡で敵機の接近を確認した。
「対空射撃開始!」
駆逐艦隊の主砲がきらりと光ってその砲身を接近してくる敵機に向けた。
砲撃音と共に一斉に光の弾が敵機に向かっていく。
電探により命中率が格段に上がったのは敵機が教えてくれた。
榴弾が敵機のプロペラを破壊し、翼端を破壊し、機体そのものを破壊した。
ただそれをすり抜けてくる敵機もいる。
「急降下爆撃を行うものと思われる編隊発見!」
中曽根が報告すると阿部はすぐに命令を下した。
「噴進砲、発射!」
すぐに各大型艦に取り付けられていた噴進砲が火を噴く。
一時よりかは命中精度は改善していたがいまだ敵機を撃破するには至らなかった。
だが、撃破はできないにしても威嚇はできた。
急降下を行おうとしていた編隊は混乱し、動きが緩慢になったところに対空砲が到達する。
もう爆撃を行う余裕はなかった。
「なんとか第1派は跳ね返しましたね。」
中曽根は着艦する紫電改を見守りながら言った。
「あぁそうだな。おそらく今日はこれで終わりだろう。」
「なぜです?」
「もうすでに日が沈みかけている。夜間着艦覚悟なら攻撃してくるだろうが奴らの目標は我々をできるだけこの海域に引きとどめることだ。どれくらい時間がかかってもいいのだろう。」
「それでは、我々が攻撃すべきでは?」
中曽根の言葉を阿部は否定する。
「直掩隊の疲労が見え始めている。それに夜間はこちらも敵空母をそれてしまうかもしれない。なら今は休養に努めるべきだ。」
「なるほど。」
中曽根は手を叩いて納得した。
「全員、生き残ったな?」
坂井は甲板上で中隊員の安否を確認した。
「どうやら無事なようです。」
柳谷のその言葉に坂井は胸を撫でおろした。
「これからもこのような戦いが幾度となく起こるだろう。気を引き締めて挑め。ただ今日はしっかり休んで明日に備えろ。」
「「「はっ!」」」
中隊員は敬礼して艦内に入っていった。
ミッチャーは攻撃をするか悩んでいた。
「夜間着艦覚悟で攻撃隊を送り出すべきだろうか…。」
バークはコーヒーをミッチャーに渡した。
「我々が決めることではありませんが、今回の作戦の主目標は日本機動部隊の殲滅です。ですが副目標は日本海軍をここに引き付けている間にインドネシアなどを解放し、日本の継戦能力を奪うことです。我々の勝利条件は例え我が艦隊が全滅してでも1週間ここに引き留めることです。勝利を急ぐ必要はありません。」
さすがはバークだな。
ミッチャーは人知れず感嘆した。
「中隊は全員無事か!」
カールの声は明るかった。
「はい!逆に各機1機は撃墜しています!」
サザーランドの報告はさらにカールを喜ばせた。
「対空射撃開始!」
駆逐艦隊の主砲がきらりと光ってその砲身を接近してくる敵機に向けた。
砲撃音と共に一斉に光の弾が敵機に向かっていく。
電探により命中率が格段に上がったのは敵機が教えてくれた。
榴弾が敵機のプロペラを破壊し、翼端を破壊し、機体そのものを破壊した。
ただそれをすり抜けてくる敵機もいる。
「急降下爆撃を行うものと思われる編隊発見!」
中曽根が報告すると阿部はすぐに命令を下した。
「噴進砲、発射!」
すぐに各大型艦に取り付けられていた噴進砲が火を噴く。
一時よりかは命中精度は改善していたがいまだ敵機を撃破するには至らなかった。
だが、撃破はできないにしても威嚇はできた。
急降下を行おうとしていた編隊は混乱し、動きが緩慢になったところに対空砲が到達する。
もう爆撃を行う余裕はなかった。
「なんとか第1派は跳ね返しましたね。」
中曽根は着艦する紫電改を見守りながら言った。
「あぁそうだな。おそらく今日はこれで終わりだろう。」
「なぜです?」
「もうすでに日が沈みかけている。夜間着艦覚悟なら攻撃してくるだろうが奴らの目標は我々をできるだけこの海域に引きとどめることだ。どれくらい時間がかかってもいいのだろう。」
「それでは、我々が攻撃すべきでは?」
中曽根の言葉を阿部は否定する。
「直掩隊の疲労が見え始めている。それに夜間はこちらも敵空母をそれてしまうかもしれない。なら今は休養に努めるべきだ。」
「なるほど。」
中曽根は手を叩いて納得した。
「全員、生き残ったな?」
坂井は甲板上で中隊員の安否を確認した。
「どうやら無事なようです。」
柳谷のその言葉に坂井は胸を撫でおろした。
「これからもこのような戦いが幾度となく起こるだろう。気を引き締めて挑め。ただ今日はしっかり休んで明日に備えろ。」
「「「はっ!」」」
中隊員は敬礼して艦内に入っていった。
ミッチャーは攻撃をするか悩んでいた。
「夜間着艦覚悟で攻撃隊を送り出すべきだろうか…。」
バークはコーヒーをミッチャーに渡した。
「我々が決めることではありませんが、今回の作戦の主目標は日本機動部隊の殲滅です。ですが副目標は日本海軍をここに引き付けている間にインドネシアなどを解放し、日本の継戦能力を奪うことです。我々の勝利条件は例え我が艦隊が全滅してでも1週間ここに引き留めることです。勝利を急ぐ必要はありません。」
さすがはバークだな。
ミッチャーは人知れず感嘆した。
「中隊は全員無事か!」
カールの声は明るかった。
「はい!逆に各機1機は撃墜しています!」
サザーランドの報告はさらにカールを喜ばせた。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
小沢機動部隊
ypaaaaaaa
歴史・時代
1941年4月10日に世界初の本格的な機動部隊である第1航空艦隊の司令長官が任命された。
名は小沢治三郎。
年功序列で任命予定だった南雲忠一中将は”自分には不適任”として望んで第2艦隊司令長官に就いた。
ただ時局は引き返すことが出来ないほど悪化しており、小沢は戦いに身を投じていくことになる。
毎度同じようにこんなことがあったらなという願望を書き綴ったものです。
楽しんで頂ければ幸いです!
連合航空艦隊
ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年のロンドン海軍軍縮条約を機に海軍内では新時代の軍備についての議論が活発に行われるようになった。その中で生れたのが”航空艦隊主義”だった。この考えは当初、一部の中堅将校や青年将校が唱えていたものだが途中からいわゆる海軍左派である山本五十六や米内光政がこの考えを支持し始めて実現のためにの政治力を駆使し始めた。この航空艦隊主義と言うものは”重巡以上の大型艦を全て空母に改装する”というかなり極端なものだった。それでも1936年の条約失効を持って日本海軍は航空艦隊主義に傾注していくことになる。
デモ版と言っては何ですが、こんなものも書く予定があるんだなぁ程度に思ってい頂けると幸いです。
皇国の栄光
ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。
日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。
激動の昭和時代。
皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか?
それとも47の星が照らす夜だろうか?
趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。
こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです
風を翔る
ypaaaaaaa
歴史・時代
彼の大戦争から80年近くが経ち、ミニオタであった高萩蒼(たかはぎ あおい)はある戦闘機について興味本位で調べることになる。二式艦上戦闘機、またの名を風翔。調べていく過程で、当時の凄惨な戦争についても知り高萩は現状を深く考えていくことになる。
大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜
雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。
そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。
これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。
主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美
※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。
※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。
※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。
【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。
これからどうかよろしくお願い致します!
ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。
暁のミッドウェー
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。
真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。
一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。
そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。
ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。
日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。
その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
(※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる