信濃の大空

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護衛空母艦隊

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1945年2月10日。
信濃から発進した彩雲はビアク沖400キロを飛んでいた。
「いるとしたらこのあたりだな。」
双眼鏡であたりを見回す。
ビアクを空襲したの今から4時間前だ。
ならばそう遠くには行っていないはずだ。
すると、後ろの偵察手が叫ぶ。
「敵機直上!」
機体が急激に傾く。
そこに銃弾が掠め敵戦闘機が降下していく。
「あれは、空母艦載機だ!近くにいるぞ!」
すぐに、母艦に打電する。
『我、敵空母艦載機より攻撃を受けり』
それを打電した直後、彩雲はばらばらになって海に落下した。


彩雲の報告を受け、すぐに角田は攻撃隊の発艦を命令。
総計127機の攻撃隊が出撃した。
「中隊機、警戒を密にせよ。予測だとこのあたりに居る可能性が高い。」
坂井は無線越しに命令して自身もしきりに左右を見る。
すると、海の上に航跡がうっすらだが見えた。
「あれはかなりの大型艦だな。近いぞ!」


チャールズ・パウナルは護衛空母であるガダルカナル、マニラ・ベイ、ナトマ・ベイ、トリポリ、セント・ロー、ソロモンズを率いてビアク空襲を支援し、帰投途中だった。
「先行している空母艦隊はどうだ?」
「先ほど偵察機を撃墜したと報告が来ています。すでに直掩機を飛ばしているそうです。」
「我が艦隊も一応飛ばしておいた方がいいな。」
その時だった。
「敵航空隊が接近してきます!」


「全軍突撃!」
対空砲火すら激しくなく戦闘機は飛んでこない。
山口は新型の流星で急降下を行う。
彗星の比ではない速度と安定性を実感する。
所定の距離になったので爆弾を投下する。
爆弾は800キロ徹甲弾だ。
すぐに、巨大な爆発と共に空母は海の底に消えた。


坂井は上空から攻撃の全容を眺めていた。
雷撃隊は超低空で侵入し次々に魚雷を投下し、当てていく。
既に4隻の空母は傾いたり沈没している。
残る2隻の空母にも攻撃隊が向かっている。
護衛の艦隊にも持て余した機体が攻撃してかなり沈めている。
「そろそろ撤退か。」
『そうですね。敵艦隊はほぼ壊滅しましたし。』
柳谷も同意した。
結局、この戦いで空母6隻、軽巡2隻、駆逐艦5隻を撃沈した。
損害機は8機だけだった。


2航戦指令室は戦勝ムードなのではなく緊迫していた。
「敵艦隊は撃滅したようですが…。」
中曽根は言葉を濁す。
「明らかに、ビアクを攻撃した艦隊と別物だな。」
大きさが米海軍の正規空母とは違い小さかった。
「すると、もしかしたら。」
その時、警報が鳴り響いた。
『敵機直上!急降下!』
上をみると1機の急降下爆撃機が急降下を敢行していた。
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