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チェニジア夜襲
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1943年1月28日。
地中海担当の遣欧第1艦隊は早々に出撃の命令が下った。
目標はエルアラメインからおよそ2200㎞を横断してきた、ロンメル率いるドイツ北アフリカ軍団を撃破する事。
「草鹿参謀、敵艦隊が出てくると思うか?」
小沢は出撃前に草鹿に問う。
「おそらくですが、敵艦隊は出てこないでしょう。敵艦隊の主軸はイタリア海軍ですが、イタリア海軍の主力はヴィットリオ・ヴェネト級戦艦3隻からなります。ですがこの3戦艦は燃料不足で思うような活躍ができません。それに地中海には我々の他に英国艦隊も存在します。」
小沢は後顧の憂いが無くなったと言わんばかりに晴れやかな顔で全艦に出撃を命令した。
「日本艦隊が地中海まで進出してきているのか。」
ロンメルはなんとも憂鬱な気分だった。
流石に日本の全艦隊が地中海に来ているわけではないだろうが、彼らはハワイ要塞を半年ほどで陥落させている。
対して我々はエル・アラメインの攻略に失敗している。
陸軍と海軍の違いと言えばそれまでだが無視はできない。
ロンメルは腕を組みながらそう考えていた。
その時、副官が飛び込んで来た。
「元帥!レーダーが多数の航空機を捉えたと言っています。」
「戦闘機隊に出撃を命じろ!」
その20分後にFw190とBf109合わせて52機が発進した。
「どうやら、敵さんはかなり少ないな。」
岩本は電探を見ながら言った。
多くても60機しかいない。
対して俺たちは零戦41機に一式局戦22機、そして零式艦攻32機と零式艦爆32機。
「これは勝てるな。」
日は沈みあたりは暗くなっている。
『そろそろ接敵か。全機、攻撃準備。』
隊長の通信に気を引き締める。
彼が乗っているのはFw190だ。
Bf109よりかは高高度性能には劣るもののその他の性能は勝っていた。
武装は20㎜4挺と13㎜2挺で零戦どころか一式局戦をも上回っていた。
だが彼、いや彼の隊は地上のレーダーから送られてくる情報しか頼りになるものが無かった。
いきなり後方にいたBf109が2機火達磨になる。
「うしろ!?」
急いで旋回しようとするが前からの銃声が聞こえてくる。
「ぐっ…!」
もろに20㎜を喰らい彼の意識は途切れた。
日本航空隊は零戦3機と一式局戦2機を失うだけでなんとか切り抜けた。
そして空襲が始まる。
街は明るいもののドイツ軍がどこに居るか分からない。
だがそれは杞憂だった。
ドイツ軍側からサーチライトと高射砲を撃ってきたのだ。
「あそこだ!」
江草は無線で他の隊に位置を教えると急降下態勢に入る。
そして250㎏陸用爆弾2発を投下した。
陸攻も3発の爆弾を水平爆撃で敵がいると思われるところや、港、飛行場を攻撃。
空が白みかけてきたころ、攻撃隊は撤退した。
損失機は艦攻2機、艦爆1機だった。
地中海担当の遣欧第1艦隊は早々に出撃の命令が下った。
目標はエルアラメインからおよそ2200㎞を横断してきた、ロンメル率いるドイツ北アフリカ軍団を撃破する事。
「草鹿参謀、敵艦隊が出てくると思うか?」
小沢は出撃前に草鹿に問う。
「おそらくですが、敵艦隊は出てこないでしょう。敵艦隊の主軸はイタリア海軍ですが、イタリア海軍の主力はヴィットリオ・ヴェネト級戦艦3隻からなります。ですがこの3戦艦は燃料不足で思うような活躍ができません。それに地中海には我々の他に英国艦隊も存在します。」
小沢は後顧の憂いが無くなったと言わんばかりに晴れやかな顔で全艦に出撃を命令した。
「日本艦隊が地中海まで進出してきているのか。」
ロンメルはなんとも憂鬱な気分だった。
流石に日本の全艦隊が地中海に来ているわけではないだろうが、彼らはハワイ要塞を半年ほどで陥落させている。
対して我々はエル・アラメインの攻略に失敗している。
陸軍と海軍の違いと言えばそれまでだが無視はできない。
ロンメルは腕を組みながらそう考えていた。
その時、副官が飛び込んで来た。
「元帥!レーダーが多数の航空機を捉えたと言っています。」
「戦闘機隊に出撃を命じろ!」
その20分後にFw190とBf109合わせて52機が発進した。
「どうやら、敵さんはかなり少ないな。」
岩本は電探を見ながら言った。
多くても60機しかいない。
対して俺たちは零戦41機に一式局戦22機、そして零式艦攻32機と零式艦爆32機。
「これは勝てるな。」
日は沈みあたりは暗くなっている。
『そろそろ接敵か。全機、攻撃準備。』
隊長の通信に気を引き締める。
彼が乗っているのはFw190だ。
Bf109よりかは高高度性能には劣るもののその他の性能は勝っていた。
武装は20㎜4挺と13㎜2挺で零戦どころか一式局戦をも上回っていた。
だが彼、いや彼の隊は地上のレーダーから送られてくる情報しか頼りになるものが無かった。
いきなり後方にいたBf109が2機火達磨になる。
「うしろ!?」
急いで旋回しようとするが前からの銃声が聞こえてくる。
「ぐっ…!」
もろに20㎜を喰らい彼の意識は途切れた。
日本航空隊は零戦3機と一式局戦2機を失うだけでなんとか切り抜けた。
そして空襲が始まる。
街は明るいもののドイツ軍がどこに居るか分からない。
だがそれは杞憂だった。
ドイツ軍側からサーチライトと高射砲を撃ってきたのだ。
「あそこだ!」
江草は無線で他の隊に位置を教えると急降下態勢に入る。
そして250㎏陸用爆弾2発を投下した。
陸攻も3発の爆弾を水平爆撃で敵がいると思われるところや、港、飛行場を攻撃。
空が白みかけてきたころ、攻撃隊は撤退した。
損失機は艦攻2機、艦爆1機だった。
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