帝国夜襲艦隊

ypaaaaaaa

文字の大きさ
上 下
31 / 38

チェニジア夜襲

しおりを挟む
1943年1月28日。
地中海担当の遣欧第1艦隊は早々に出撃の命令が下った。
目標はエルアラメインからおよそ2200㎞を横断してきた、ロンメル率いるドイツ北アフリカ軍団を撃破する事。
「草鹿参謀、敵艦隊が出てくると思うか?」
小沢は出撃前に草鹿に問う。
「おそらくですが、敵艦隊は出てこないでしょう。敵艦隊の主軸はイタリア海軍ですが、イタリア海軍の主力はヴィットリオ・ヴェネト級戦艦3隻からなります。ですがこの3戦艦は燃料不足で思うような活躍ができません。それに地中海には我々の他に英国艦隊も存在します。」
小沢は後顧の憂いが無くなったと言わんばかりに晴れやかな顔で全艦に出撃を命令した。


「日本艦隊が地中海まで進出してきているのか。」
ロンメルはなんとも憂鬱な気分だった。
流石に日本の全艦隊が地中海に来ているわけではないだろうが、彼らはハワイ要塞を半年ほどで陥落させている。
対して我々はエル・アラメインの攻略に失敗している。
陸軍と海軍の違いと言えばそれまでだが無視はできない。
ロンメルは腕を組みながらそう考えていた。
その時、副官が飛び込んで来た。
「元帥!レーダーが多数の航空機を捉えたと言っています。」
「戦闘機隊に出撃を命じろ!」
その20分後にFw190とBf109合わせて52機が発進した。


「どうやら、敵さんはかなり少ないな。」
岩本は電探を見ながら言った。
多くても60機しかいない。
対して俺たちは零戦41機に一式局戦22機、そして零式艦攻32機と零式艦爆32機。
「これは勝てるな。」


日は沈みあたりは暗くなっている。
『そろそろ接敵か。全機、攻撃準備。』
隊長の通信に気を引き締める。
彼が乗っているのはFw190だ。
Bf109よりかは高高度性能には劣るもののその他の性能は勝っていた。
武装は20㎜4挺と13㎜2挺で零戦どころか一式局戦をも上回っていた。
だが彼、いや彼の隊は地上のレーダーから送られてくる情報しか頼りになるものが無かった。
いきなり後方にいたBf109が2機火達磨になる。
「うしろ!?」
急いで旋回しようとするが前からの銃声が聞こえてくる。
「ぐっ…!」
もろに20㎜を喰らい彼の意識は途切れた。


日本航空隊は零戦3機と一式局戦2機を失うだけでなんとか切り抜けた。
そして空襲が始まる。
街は明るいもののドイツ軍がどこに居るか分からない。
だがそれは杞憂だった。
ドイツ軍側からサーチライトと高射砲を撃ってきたのだ。
「あそこだ!」
江草は無線で他の隊に位置を教えると急降下態勢に入る。
そして250㎏陸用爆弾2発を投下した。
陸攻も3発の爆弾を水平爆撃で敵がいると思われるところや、港、飛行場を攻撃。
空が白みかけてきたころ、攻撃隊は撤退した。
損失機は艦攻2機、艦爆1機だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

信濃の大空

ypaaaaaaa
歴史・時代
空母信濃、それは大和型3番艦として建造されたものの戦術の変化により空母に改装され、一度も戦わず沈んだ巨艦である。 そんな信濃がもし、マリアナ沖海戦に間に合っていたらその後はどうなっていただろう。 この小説はそんな妄想を書き綴ったものです! 前作同じく、こんなことがあったらいいなと思いながら読んでいただけると幸いです!

GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲

俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。 今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。 「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」 その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。 当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!? 姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。 共に 第8回歴史時代小説参加しました!

皇国の栄光

ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。 日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。 激動の昭和時代。 皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか? それとも47の星が照らす夜だろうか? 趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。 こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです

空母鳳炎奮戦記

ypaaaaaaa
歴史・時代
1942年、世界初の装甲空母である鳳炎はトラック泊地に停泊していた。すでに戦時下であり、鳳炎は南洋艦隊の要とされていた。この物語はそんな鳳炎の4年に及ぶ奮戦記である。 というわけで、今回は山本双六さんの帝国の海に登場する装甲空母鳳炎の物語です!二次創作のようなものになると思うので原作と違うところも出てくると思います。(極力、なくしたいですが…。)ともかく、皆さまが楽しめたら幸いです!

大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜

雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。 そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。 これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。 主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美 ※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。 ※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。 ※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。

暁のミッドウェー

三笠 陣
歴史・時代
 一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。  真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。  一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。  そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。  ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。  日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。  その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。 (※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)

re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ

俊也
ライト文芸
実際の歴史では日本本土空襲・原爆投下・沖縄戦・特攻隊などと様々な悲劇と犠牲者を生んだ太平洋戦争(大東亜戦争) しかし、タイムスリップとかチート新兵器とか、そういう要素なしでもう少しその悲劇を防ぐか薄めるかして、尚且つある程度自主的に戦後の日本が変わっていく道はないか…アメリカ等連合国に対し「勝ちすぎず、程よく負けて和平する」ルートはあったのでは? そういう思いで書きました。 歴史時代小説大賞に参戦。 ご支援ありがとうございましたm(_ _)m また同時に「新訳 零戦戦記」も参戦しております。 こちらも宜しければお願い致します。 他の作品も お手隙の時にお気に入り登録、時々の閲覧いただければ幸いです。m(_ _)m

日は沈まず

ミリタリー好きの人
歴史・時代
1929年世界恐慌により大日本帝國も含め世界は大恐慌に陥る。これに対し大日本帝國は満州事変で満州を勢力圏に置き、積極的に工場や造船所などを建造し、経済再建と大幅な軍備拡張に成功する。そして1937年大日本帝國は志那事変をきっかけに戦争の道に走っていくことになる。当初、帝國軍は順調に進撃していたが、英米の援蔣ルートによる援助と和平の断念により戦争は泥沼化していくことになった。さらに1941年には英米とも戦争は避けられなくなっていた・・・あくまでも趣味の範囲での制作です。なので文章がおかしい場合もあります。 また参考資料も乏しいので設定がおかしい場合がありますがご了承ください。また、おかしな部分を次々に直していくので最初見た時から内容がかなり変わっている場合がありますので何か前の話と一致していないところがあった場合前の話を見直して見てください。おかしなところがあったら感想でお伝えしてもらえると幸いです。表紙は自作です。

処理中です...