帝国夜襲艦隊

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真③計画

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1937年7月7日。
ちょうど七夕のこの日、新型機の試作機が飛行試験に臨もうとしていた。
「これが新型陸攻か。」
山本は機体に触れる。
「エンジンは中島の栄と新型の過給機を搭載し、馬力は2800馬力程となります。また、小型電探も装備できており半径5㎞ほどが確認できるようになっています。」
設計主任の本所季郎の説明に山本は満足して言った。
「後は飛ぶかどうかだな。」
「必ず飛びます。」
本所は自信に満ち溢れた声で言った。


滑走路までけん引された試製陸攻に搭乗員が乗り込んでいく。
そして2発のエンジンが稼働し始めた。
徐々に加速していきついに地を蹴った。
そのまま高度6000mを目指す。
高度6000mに到達したころ電探を稼働させた。
すると4000m左に機影のようなものが見えた。
「友軍機みとむ。繰り返す友軍機みとむ。」
試製陸攻の通信士がそう地上で見守っていた山本達に通信を送った。
全ての試験が完了し滑走路に着陸した時、技術陣の歓声と共に試製陸攻、もとい九六式陸攻が産声をあげた。


九六式陸攻は早急に量産体制に入った。
③計画での調達予定は38年までに320機だったからだ。
もっとも海軍の高級将校以外はこのことを知らない。
彼らは③計画でも戦艦を重視するということを信じて疑わない。
だが真の③計画は全く逆だった。
40000トン級空母4隻、その他補助艦49隻、陸攻320機。
これが真③計画ともいえる物の実態だった。
40000トン級空母は全長247m、全幅36mの巨体を誇り、飛行甲板には58ミリの鋼板を張り巡らせていながらも格納庫は2層あり露天繋止も含めると艦載機数は脅威の103機だった。
またこの40000トン級空母建造には最新の建造手法であるブロック工法が用いられており、各造船所で同時並行で建造が始まっていた。
そのため工期は2年と蒼龍型の2倍弱程度に落ち着いた。


1938年3月31日。
古賀は山本の元を訪れていた。
「今日は何の御用で?古賀さん。」
山本はお茶を勧めながら聞いた。
「それはだな。できればでいいのだが戦艦隊にも1隻ほど空母を付けてほしい。」
「戦艦隊に…ですか?我々としては空母は航空戦隊として運用すると決まっているので難しいかと。」
「いや、別に大型空母を寄こせと言っているんじゃない。」
古賀は出されたお茶を一口飲むと話を続けた。
「模擬海戦で今後の海戦は航空戦力の有無によって決まることを痛感させられた。だが夜襲に関しては戦艦の活躍の場は十分にあると考えてる。ただ夜間はまだいいとしても昼間に敵艦隊、とりわけ空母艦隊に遭遇したらひとたまりもない。だから、小型で良い。戦闘機を40機ほど搭載できる空母を寄こしてくれないだろうか?」
現在、日本にはそのような空母は龍驤ぐらいしかしない。
ということは新規に建造しろということだ。
「…わかりました。おそらく商船を改造した空母などになるはずです。それでもよろしいですか?」
「それで構わない。」
古賀はきっぱりと言った。
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