皇国の栄光

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1920年の再来と英雄の死

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10月10日。
ポーランド大統領のスクワトコフスキは悩んでいた。
独ソ両軍の攻勢は一旦落ち着いてはいるものの、再攻勢をかけられたときには恐らく無理だろう。
いくら日本の支援があるといっても無理がある。
だが幸いなことに、いま戦線が膠着したことで国民が次々に中立国に避難できた。
それでも受け入れてくれる国がいない。
1920年の時と一緒だ。
早く見つけなければ。
その時彼に朗報が届いた。
「大統領!日本がポーランド難民を受け入れてくれるそうです!」
側近が駆け込んできた。
「そうか!」
スクワトコフスキは少し明るい顔をした。

10月12日、犬養は思案していた。
ポーランド難民の扱いについてだった。
ユダヤ人の時は植民地に送ることで解決できた。
だが今は植民地も発展し、他が入り込む余地がなかった。
すると石原が訪ねてきた。
「首相。ポーランド難民についてなのですが。」
石原は席に着くなり言う。
「なんだ?」
「彼らを中華に送り込んだらどうでしょう。」
犬養にとってそれは予想外だった。
「なぜだ?それならば日本が受け入れた意味がないだろう。」
石原はまってましたと言わんばかりに言った。
「中華はドイツからの支援を受けており、ポーランド難民を受け入れればその支援を切られる可能性があります。ですが我が国からの要請で受け入れたのならば表面上は問題ありません。」
「なるほど。やはりきみは面白いな。そうしよう。助かった。ありがとう。」
こうして中華の政府や工場にポーランド人が見られるようになった。
こっれにより中華は力強く発展していった。

10月24日。
ついに独ソ両軍が攻勢を再開したのだ。
ポーランド軍は頑強に抵抗したもののずるずると撤退していった。
そしてワルシャワにも独ソ空軍が進出してきた。
これに対してポーランド空軍と日本義勇航空隊が出撃。
ただあまりにも数が違い過ぎた。
『敵機、左より3機接近!』
『数が多すぎます!樫出隊長!』
樫出は周りをみた。
味方はよく戦っているがそれでも数にはかなわない。
すると無線が入った。
『樫出、君は帰れ。』
スカルスキだだった。
スカルスキの戦闘機には桜が書いてあった。
先日樫出たちが書いたものだった。
「なにを言っている!我々は君たちを助けに来たのだ!最期まで戦う!」
するとスカルスキは言い放った。
『我々こそ。客人たちを死なせるためにはいかない。』
そう言い終わった後、樫出の反応を聞く前に離れて行った。
呆然と操縦桿を握っていた。
そして後ろに敵機がいることに気づく。
樫出は避けようとするが避けきれない。
彼は覚悟を決めて、その時を待っていた。
だがなかなか来ない。
後ろを振り返る。
そこには今まで後ろにいた敵機が落ちていくのが見えた。
『陸さん。大丈夫かい?』
その機体は隼ではなかった。
「あんたは、だれだ?」
『俺は岩本だ。それはそうと、陸さん。はやくここから抜け出すぞ。』
「わかった。あと俺の名前は樫出だ。」
『じゃあ樫出。陸さんの方の誘導を頼む。俺は少し暴れてくる。』
そういって岩本は敵機に向かっていく。
その時の戦闘は芸術だった。
その後、何とか撤退に成功した義勇航空隊は補給を受けた後リトアニアに飛び立った。
岩本も遅れながらも合流した。
そこには政府要人の輸送機とポーランド残存空軍がいたが桜が書かれた戦闘機はいなかった。
その後、10月31日にワルシャワが陥落。
スクワトコフスキは最後までワルシャワに残り国民を鼓舞し続けを続け、ついにドイツ軍の爆撃によって行方不明となった。
そして11月12日にポーランドは降伏した。
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