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『恋人だったらお風呂にいっしょに入るのぐらい普通じゃない?』

 相談した友達はそう言って笑っていたけど。

(でも、本当にこれってみんなやってることなの……?)

 下から掬われた胸を洗われて、思わず身体を動かしてしまう。武司さんとは、もう何回も一緒にお風呂に入っているけれど、男の人に身体を洗ってもらうのは、まだ慣れなくて恥ずかしい。しかもこの後、どんな風に身体を洗われてしまうのか。思い出しただけで、身体の奥がきゅんと疼いてしまった。

「葵《あおい》、そんなにもぞもぞしてたら洗いにくいよ」
「ごめん……」
「ふふ、葵は恥ずかしがり屋だからな。でも彼氏にこうやって洗ってもらうのは、当たり前なんだから、葵も早く慣れて欲しいな」
「う、ん……がんばる……」
「じゃあ、今日もきれいにしてあげるから、ちゃんと最後までじっとしているんだよ」
「あっ……よろしく、おねがい、します……」

 ちゃんと初めに教えてもらった通りに挨拶をしたら、武司《たけし》さんが、ちゅっておでこにキスをしてくれた。五歳も年上の武司さんは、いつも色々な事を教えてくれるし、ちょっとした事でも褒めてくれる。たまには叱られることもあるけれど、甘やかされる事がほとんどだから、喧嘩なんかは全くなかった。

(ちょっと子ども扱いされてる気もするけど、すごく大切にしてもらってる……)

 おでこのキスにそんなことまで思って、照れくさくなって目を伏せる。

「くすっ。これからもっとすごいことをするのに、葵はいつまでも可愛いな」
「……?」

 そんな私を後から抱き締めていた武司さんが、小さな声で何かを言ったから、後ろを見上げて問いかけた。だけど大したことじゃなかったのかもしれない。

「何でもないよ、じゃあ、まず乳首から洗っていこうな」

 楽しそうにそう言って、追加したボディーソープを泡立てた後に、ゆっくりと乳首の周りを洗い始めた。もこもこの泡に隠れて、見えない武司さんの指が、撫でるみたいに胸と乳首の境界線を触れてくる。

「乳首は敏感なところだから、この後に身体がびっくりしないように、ゆっくり感覚に慣らしていこうな」
「っ、うん……っ」

 石鹸のぬめりのおかげで、ほとんど刺激はなかったから、初めの数分は平気だった。でも、ずっと武司さんに洗われている内に、触れていないはずの乳首がじんじんと痺れだす。動く泡の感触や、少し武司さんの指がかすめるだけで、身体が緊張してしまう。

「た、たけし、さん……も、う、なれた、から……」
「もう平気? あぁ、本当だ。ちゃんと乳首が、洗いやすいようになってる」
「っ、っぅ、う、ん……っ」
 
 くるくる撫で洗いをしていた指で、武司さんがつうっと乳首をたどって、立ち上がった形を確認した。胸を触られたはずなのに、なぜかおかしな感覚が、ぞわっと腰の辺りから上がってくる。

「ちゃんと自分から伝えきれて、葵はえらいな」

 頭を撫でて褒めてくれる時みたいに、固くなった乳首の先を、武司さんの指がすりすりと何度も優しく撫でてくる。

「っ、……、ぅっ……」
「あれ、葵?」
「っぁっ、ぁぁ……っん、ぁっ」

 乳輪を洗われていた時よりも強い刺激に、たったそれだけで声が口から出てしまう。洗われている時には相応しくない声に、慌てて口を閉じたけど、遅かったみたいで、武司さんが動きを止めてしまった。

「こーら、いつも言っているだろう。いまは洗っていてエッチじゃないんだから、感じたりしたらダメだって」
「ご、ごめんなさい……」
「まぁ、葵はまだ慣れてないから、また間違えて感じちゃったんだろうけど、ちゃんと堪えるように頑張らないと」
「は、い……」
「じゃあ、この洗いやすくなった乳首を、今度はキレイにしていくから。手は身体の横に真っ直ぐ下ろして。そう、このまま動いちゃだめだからな」

 返事を確認した武司さんが、なぞるだけだった指先で、今度は乳首を軽く摘まむ。そして、立った乳首の表面だけを、さっきのように、ゆっくりと撫で洗い始めた。

「っ、っ……ぅっ、……ん、ぅっ」

 上に下にすりすりされて洗われる以外にも、乳首の根元や先端を、摘まんだ指を回してくるくると洗われる。武司さんに洗われているだけで感じちゃうような、いやらしい子って思われたくないのに、ますます声が出てしまいそうだった。
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