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3章
24.帰省の終わりは突然に
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大原さんがなぜか電話をしながら外に出ていってしまった。
それにより結局私のタイプはスキンヘッドの爽やか系イケメン外国人ということに落ち着き、先輩のお父さんの「愚息には無理難題だな」という一言で終わった。
爽やかなスキンヘッドって爽やかなの頭だけな気もするけど、どうなんだろう。
我ながら無茶な事言ったと思う。まあ結果オーライかななんて思ったけど、戻ってきた大原さんが目の笑っていない笑顔でちらっと私を見た。
さっき途中で切られた昌治さんからの電話のタイミングとか考えると、嫌な予感しかしない。
少し遅れてタクシー呼んでおいたからそれで帰るようにというメールが大原さんから届いていたのに気付いたので、私はその場から逃げるようにしてお店を出た。
少ししてタクシーがお店の駐車場に入ってきたので、そちらに少し近付こうとしたときだった。
手首を掴まれて、私は思わず振り返る。
「待てよ、山野」
「藤沢先輩……」
慌てた様子で店から出てきた先輩は、私の手首を強く握った。
「本当にスキンヘッドの外国人がいいのか?」
「ええと、それはいいなってことで……」
「俺がそうしたら、考えてくれるのか?」
それは、先輩がスキンヘッドになるってこと……?いやいや、絶対やめてください!似合う似合わないの問題じゃないと思う!
「先輩は、先輩のままでいいと思います。高校の頃、確かに私は先輩に憧れてました。今も尊敬する先輩です」
「じゃあ、少しは脈も……」
「ごめんなさい」
私は頭を下げた。ちゃんと言わないと、失礼だ。
「結婚を前提に付き合ってる人がいるんです」
「え、結婚……?」
先輩は目を見開く。私は頷いて続けた。
「卒業したら、その人と結婚します。だから、私は先輩の気持ちには答えられません」
「まさかそいつ、爽やかスキンヘッドなのか?」
先輩の中での私の彼氏のイメージがどうなってるのか気になるところだけど、それをどうこう言ったところで仕方ない。
「……見た目はちょっと怖いですけど、いい人です」
私は先輩に軽く頭を下げて、やってきたタクシーに乗り込んだ。
そうして家に帰ったところで、鞄に入れていたスマホが鳴った。大原さんからだ。嫌な予感しかしない。
「……はい」
『楓様、今すぐ屋敷に戻るか、今日の夜にこちらに若頭が突撃してくるか、どちらがお好みですか?』
開口一番がそれだった。え、何その2択。
「他に選択肢は……」
『ありません』
取りつく島もなかった。
『もちろん何事も無ければ若頭には黙っておこうと思っていましたよ。俺だって命は惜しいので。ですが、藤沢の息子が余計なことを……』
「そういえば、大原さんは先輩のお父さんとどういう関係なんですか」
『それについては後で車の中でお話しします。問題は、若頭に楓様が帰省中に他の男と会っていたことがバレた事です』
「会ってたって、そういう事じゃないんですけど……」
バレたって、人聞きが悪い。先輩とは一切そういう関係じゃないし、そもそもああなるってわかってたら絶対行かなかった。
『わかってますよ。ですが楓様、俺が理解してても仕方ないでしょう』
「大原さんからも説明していただければ……」
『嫌ですよ。俺が楓様と他の男が会っていた弁明なんてしたら、俺が殺されます』
「でも、先輩と二人きりになるつもりはこれっぽっちもなかったんです」
『ええ、楓様がそんな真似をするなんて思っていません。ですが……ウチの若頭は楓様の事になるとちょいと面倒くさいので』
面倒くさいと言い切られてしまった。怒られるのはもちろん嫌だけど、これが原因で嫌われたりしたくない。説明したらわかってくれると信じたいよ……
『とりあえず、楓様は準備なさってください。今から迎えに上がります。言い訳は車の中で考えましょう』
「え、ちょっと大原さん……」
2択どころか私に選択肢無いじゃないですか!
そう言う間もなく、電話は切られて私はしばらく呆然とその通話画面を見ていた。
「準備……?今から?」
あの感じだと、何を言っても問答無用で連れ戻される。なんとか回避しても、昌治さんがここに来る。
どっちにせよ、心の準備ができてない。
でも、どちらかといえばお屋敷に戻る方が害は少ないと思う。帰りの車の中での大原さんのお小言と、戻ってからの昌治さんに対し何をどうすればいいのかわからないという問題しかないけど、今の段階で家族に昌治さんを紹介なんて事になるよりマシだ。
久しぶりの帰省だったけど、まさか滞在時間1日もないなんて。
それにより結局私のタイプはスキンヘッドの爽やか系イケメン外国人ということに落ち着き、先輩のお父さんの「愚息には無理難題だな」という一言で終わった。
爽やかなスキンヘッドって爽やかなの頭だけな気もするけど、どうなんだろう。
我ながら無茶な事言ったと思う。まあ結果オーライかななんて思ったけど、戻ってきた大原さんが目の笑っていない笑顔でちらっと私を見た。
さっき途中で切られた昌治さんからの電話のタイミングとか考えると、嫌な予感しかしない。
少し遅れてタクシー呼んでおいたからそれで帰るようにというメールが大原さんから届いていたのに気付いたので、私はその場から逃げるようにしてお店を出た。
少ししてタクシーがお店の駐車場に入ってきたので、そちらに少し近付こうとしたときだった。
手首を掴まれて、私は思わず振り返る。
「待てよ、山野」
「藤沢先輩……」
慌てた様子で店から出てきた先輩は、私の手首を強く握った。
「本当にスキンヘッドの外国人がいいのか?」
「ええと、それはいいなってことで……」
「俺がそうしたら、考えてくれるのか?」
それは、先輩がスキンヘッドになるってこと……?いやいや、絶対やめてください!似合う似合わないの問題じゃないと思う!
「先輩は、先輩のままでいいと思います。高校の頃、確かに私は先輩に憧れてました。今も尊敬する先輩です」
「じゃあ、少しは脈も……」
「ごめんなさい」
私は頭を下げた。ちゃんと言わないと、失礼だ。
「結婚を前提に付き合ってる人がいるんです」
「え、結婚……?」
先輩は目を見開く。私は頷いて続けた。
「卒業したら、その人と結婚します。だから、私は先輩の気持ちには答えられません」
「まさかそいつ、爽やかスキンヘッドなのか?」
先輩の中での私の彼氏のイメージがどうなってるのか気になるところだけど、それをどうこう言ったところで仕方ない。
「……見た目はちょっと怖いですけど、いい人です」
私は先輩に軽く頭を下げて、やってきたタクシーに乗り込んだ。
そうして家に帰ったところで、鞄に入れていたスマホが鳴った。大原さんからだ。嫌な予感しかしない。
「……はい」
『楓様、今すぐ屋敷に戻るか、今日の夜にこちらに若頭が突撃してくるか、どちらがお好みですか?』
開口一番がそれだった。え、何その2択。
「他に選択肢は……」
『ありません』
取りつく島もなかった。
『もちろん何事も無ければ若頭には黙っておこうと思っていましたよ。俺だって命は惜しいので。ですが、藤沢の息子が余計なことを……』
「そういえば、大原さんは先輩のお父さんとどういう関係なんですか」
『それについては後で車の中でお話しします。問題は、若頭に楓様が帰省中に他の男と会っていたことがバレた事です』
「会ってたって、そういう事じゃないんですけど……」
バレたって、人聞きが悪い。先輩とは一切そういう関係じゃないし、そもそもああなるってわかってたら絶対行かなかった。
『わかってますよ。ですが楓様、俺が理解してても仕方ないでしょう』
「大原さんからも説明していただければ……」
『嫌ですよ。俺が楓様と他の男が会っていた弁明なんてしたら、俺が殺されます』
「でも、先輩と二人きりになるつもりはこれっぽっちもなかったんです」
『ええ、楓様がそんな真似をするなんて思っていません。ですが……ウチの若頭は楓様の事になるとちょいと面倒くさいので』
面倒くさいと言い切られてしまった。怒られるのはもちろん嫌だけど、これが原因で嫌われたりしたくない。説明したらわかってくれると信じたいよ……
『とりあえず、楓様は準備なさってください。今から迎えに上がります。言い訳は車の中で考えましょう』
「え、ちょっと大原さん……」
2択どころか私に選択肢無いじゃないですか!
そう言う間もなく、電話は切られて私はしばらく呆然とその通話画面を見ていた。
「準備……?今から?」
あの感じだと、何を言っても問答無用で連れ戻される。なんとか回避しても、昌治さんがここに来る。
どっちにせよ、心の準備ができてない。
でも、どちらかといえばお屋敷に戻る方が害は少ないと思う。帰りの車の中での大原さんのお小言と、戻ってからの昌治さんに対し何をどうすればいいのかわからないという問題しかないけど、今の段階で家族に昌治さんを紹介なんて事になるよりマシだ。
久しぶりの帰省だったけど、まさか滞在時間1日もないなんて。
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