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3.仲間ができました。

魚23:天女じゃないですぅ!

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(画像:いらすとや様。)

天女。
天の世界に住む女性。
なんとなく中華風な髪型やら着物やらで、透き通った布を羽織って空を飛んじゃう、あの天女ですか?
まじすか。
いや待って、まってー!?

「てんにょってなんだ?」
「知らないわねぇ?」
「え、天女…なんで天女? って、ええ?!」

鬼さんがボロボロ泣き出した!

「鬼さん!ど、どうしたんですか!」
「う、うぅ…天女様、ありがとうございます…俺は大丈夫です、いつかこんな日が来るのは、ギルドに登録した日に覚悟しておりました。分かっておりました。もう、大丈夫です。」
「??」
「最期に二人の元気な姿が見れたのは僥倖でございます。ですが、ちゃんと今の二人を見ない事には納得できないとも思うのです。それとも、もう残ってもいない状態ですか…?」
「えーっと?」
「シシィ、ジュドー…ごめん、ごめんなさい…う、ずびーっ… お願いです、天女様。天のお国で裁きを受ける前に、二人を見せてください。ぐずっ 幻じゃない二人を、ちゃんと見たいです…!」

覚悟。
最期。
天のお国。
えー、つまり。

「てんにょって、天使的なものか? みんな死んじゃったって思いこんでるのか!」
「ああー、そりゃそうよね。あの異常なほどでっかいリーフベアー、このうっすーい装備で倒せるなんて思わないわ普通。」

い、いーやーあー!

「おおおおお鬼さん、しっかりして!生きてるから!死んでないよ!連れて行かないから!」
「天女様…」
「ほら、生きてるって!ちゃんと脈あるでしょ!」
「アビー、お嬢ちゃん困ってるからしっかりしろー、俺らも生きてるぞ。」



(カラス的なモンスターが森の上空を飛んでいく光景。 鳴き声は「アホー、アホー」)


「えっと…じゃあ俺、本当に生きてるんですね。」
「あー、やっと納得してもらえた…ええ、生きてます。」
「やっとかぁ、さすがに疲れた…」
「自己紹介とかしたいところだけど、急いで荷物取りに行かなきゃ。夜になっちゃったら門しまっちゃうわ。」

そりゃそうだ。あんな化け物から逃げるのに必死だったんだ、荷物なんてどこに落としちゃってるか…
いや、そうでもないか。
森、めちゃくちゃだもん、これをたどれば見つけられそうだね。

「あの、もうばれてるだろうから言っちゃいますが、わたしのコレ、アイテムバックなんです。お荷物見つかったらお預かりします。みなさんもうくたくたでしょうから。お身体第一!ですよ。」
「ええっいやいや命の恩人にそこまでさせるのは!」
「させてください。詳細は後でお話しますけど、みなさん冒険者なんですよね?旅に同行させてほしいんです。国外に出たくって…だから、できるかぎり恩売っておきたいんです。」
「ええー…?」
「アイテムバックもちの仲間なんてありがたい限りだわ。で、そんな言い方するってことはよっぽど込み入った訳ありね。あのどう思い出してもおかしい威力の魔法といい、そうとうな厄介ごとよね。」
「ハイ…」
「わかった、荷物預かってもらいましょう。さ、とりにいくわよ!」
「いいのかよシシィ?」
「困ってる命の恩人ほったらかせないわよ。はいはい、急ぐわよー」
「ありがとうございます!」
「アビー、動けそうか?」
「問題ない、ありがとう。」
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