明日は明日の夢がある

にいるず

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17 夏祭りは準備が必要です

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 お盆になってすぐ、美香ちゃんと会うことになった。夏祭りの事で話をするためだ。
 今日は出かける前、お母さん手作りの髪飾りを渡された。美香ちゃんの分も作ってくれたので、美香ちゃんの分は今日持っていくことにしたのだ。お母さんは、最近趣味でつまみ飾りを作っている。私もいくつかブローチや髪留めをもらったことがある。
 髪を伸ばしはじめたので、もうちょっと髪が伸びたら髪留めを付けることができる。今からすごく楽しみだ。

 今日も美香ちゃんが自転車で迎えに来てくれた。ふたりでショッピングセンターに向かう。

 「ことちゃん、今日何か買う?」
 
 「うん、ブラウスいいのあったらほしいかも。あとスカートも」

 「今確か夏物バーゲンやってるよね。私も今日買おうかな。いいのあるといいよね」

 ふたりでワクワクしながら向かった。今日は私もワンピースを着ている。この前お母さんとショッピングに言って買ってもらったものだ。最近は少しずつだが、スカートも穿くようになった。
 
 「ことちゃんそのワンピいいね」

 「そう?美香ちゃんもそのブラウスかわいいね」

 私が着ているワンピースは、夏らしい青と白のストライプ柄だ。甘すぎずかといってあまりクール過ぎず私の日焼けした健康的な肌にぴったりだという店員さんに押され買ったものだ。
 ちなみに美香ちゃんは、色白の肌が部活でちょっとだけ焼けて、黄色のひまわり柄のブラウスがとても似合いまさしく夏の乙女という感じだ。下はひだがあるスカートでこれまたブラウスとよく合っている。
 私にはとても似合わないものだ。本当は着てみたいけど。
 
 ショッピングセンターについた私たちはさっそく洋服を見に行った。私はちょっとおしゃれなTシャツを、美香ちゃんはこれまたかわいらしいブラウスを買った。バーゲンだったので、だいぶ安くなっていてふたりほくほくだった。
 そして雑貨屋さんでは、ふたりでちょっとだけ色がつくリップを見た。

 「ねえことちゃん、これ買っちゃう?」

 美香ちゃんは、桜色のきれいな色のリップを見ている。ちょっとだけ色が付くようだが、美香ちゃんは肌の色が白いのできれいにつきそうだ。私はといえばこの健康的な肌の唇では、薄い桜色ではあんまり目立たないので、香りがよくてちょっとだけつやがでるものを選ぶことにした。

 「このリップ、夏祭りの時つけようね」

 美香ちゃんと決めた。ただのリップだけれど、少しだけ大人の気分でウキウキする。
 それからフードコートに行く。食事をとった後、私は今日の朝、母が持たせてくれた浴衣用の髪飾りを美香ちゃんに渡した。

 「これお母さんが作ったんだけど、よかったら夏祭りの時に使って。あとね私もお母さんの浴衣だけど直して着ることにしたよ」

 「わあ~よかったね。私も浴衣着よう。あとこの髪飾りかわいい!ありがとう。これお母さんが作ったの?」

 「うん、いまはまっててね」

 「うれしい~。夏祭りにつけていくね。そういえばことちゃんも髪ずいぶん伸びたね」

 美香ちゃんに指摘された通り、私の髪はずいぶん伸びた。ベリーショートから肩につくぐらいまでになった。まだ髪は結えないけれど、髪飾りを挿すにはおかしくない程度までにはなった。

 「美香ちゃんは髪結っていくの?」

 「うん、そうしようかなと思ってる。この髪飾りもあるしね」

 そうなのだ、美香ちゃんの髪は肩の下まである。だから学校には縛っていっているのだが。結い上げたらさぞかわいくなるだろう、私は想像してしまいついにまにましてしまった。

 「どうしたの?ことちゃん。岡本君と夏祭りいけるのがうれしい?」

 私が急ににやにやしだしたので、いぶかしく思った美香ちゃんが聞いてきた。

 「違うよ。美香ちゃんが髪を結いあげて浴衣着たらかわいいだろうなと思って。でも行けるのもやっぱりうれしいかな」

 私は岡本君の名前が出たので、急に顔が赤くなってしまった。なるべく考えないようにしているのだが、やっぱり好きな人と夏祭りに行けるのはうれしいと思う。いつも漫画の世界でしか見たことないものが、自分に当てはまるのかもと思うとたまらなくうれしいのだ。

 「そうよかった。そういえば夏祭りの日、一緒に行こうね。迎えに行くから」

 「ありがとう。でもいいの?ちょっと遠くなっちゃうよ」

 「いいの、いいの。遠いって言っても近いから」

 実は少し心配していたのだ。美香ちゃんの家はうちより神社のほうがちょっとだけ近い。もし神社で待ち合わせなんてことになったら、恥ずかしくて一人ではとても待っていられない。美香ちゃんの話を聞いて安心した。
 
 そうなのだ。この夏祭りが行われる神社は、かぐや姫を祭っているといわれている神社なのだ。だから本当ならうちのほうが神社からは近いんだけど、それは表通りからではなく裏道からの話である。
 神社の裏はうちが所有している山で、その小道が家に続いているのだ。

 正直かぐや姫の話を聞いてから、あんまり神社にはいっていない。あのザ地味顔の人が、神様になっているなんてあんまりご利益がなさそうだからというのが私の心の中の声だ。でもそのことをそのまま母やおばあちゃんに話したらすごく怒られてしまったので、もう誰にも言う気はない。
 おばあちゃん曰く、かぐや姫様はみんなの病気を治してくださって、みんなに幸せをもたらせた方だから霊験あらたかなんだといっていた。病気を治したのは葉っぱだけどね。かぐや姫は持ってただけだし。
 
 本当にそんなご利益があるのなら、私のこの地味顔を満月の時の顔と足して二で割ってほしいと切に願っている。いまだかなえられてはいないが。


 
 
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