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9 社長令嬢でも意味がなかった
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私はお父さんからの爆弾発言を受けて、しばらく呆然としてしまった。
しかし私の頭の中に急に何かがひらめいた。大企業の会長や社長だって?!それなら我が家はお金持ちということになる。毎日こんなお料理が食べ放題じゃないか。それに外国にだって行き放題じゃないか。
私はぐっふっふっと笑いがこみあげてきた。
そんな頭の中が欲望にまみれた私を、父はちょっと目を細めてみていた。
「ことちゃん、なんか勘違いしていないかい?確かにお父さんは社長で会社は大企業だけど、会社には大勢の人が働いているんだよ。我が家だけが、豊かな生活を送るなんてできないんだよ。
あとね、ことちゃんやおかあさん、おばあちゃんがここで平和に暮らしていけるのは、企業からの利益を使ってるからなんだよ」
私が父の言葉の意味を理解できずについ母を見ると、母も父の言葉に強くうなづいていた。
「ことちゃん、うちの会社から市へ多額の寄付をしているんだ。それでことちゃんの行っている中学校は、小規模でもやっていけてるんだよ。
本当ならいくつかの小学校が集まって、中学校ができているところが多いんだけどね、少しでもことちゃんの事を世間に知られないようにしているんだ。
ここの小学校区は皆うちの会社の社員の子達なんだ。ことちゃんが通ってる中学校も、小学校の子達しかいないよね。なるべくことちゃんの事が世間に知られないように、市や県ましては国まで動かしているんだよ。それもこれもうちの企業収益を流用しているからなんだ。ちょっと難しいけどわかるかな」
私は、なんとなくわかった。いくら世間に疎い私でも、この市内に世界にも劣らない大企業の本社があることを知っている。まさかそれが自分にかかわっていることはつい今まで知らなかったけれど。けれどどうしても父の言葉に気になることがあった。
「ねえお父さん、じゃあ学校の子達、みんな私の変化の事知ってるの?みんな仲良くしてくれているのも私が社長の子どもだから?」
父にそう聞きながら、私は悲しくてたまらなくなってきた。今までみんなと仲良くやってきたつもりだったけど、みんなは違ったのだろうか。親に言われていやいや仲良くしてくれていたのだろうか。
父は私の半泣きの顔を見て、優しく言ってくれた。
「ことちゃんの事は、会社の人たちから報告はうけている。けれどその誰もが自分の子供に、ことちゃんが社長の子どもだといっている社員はいないよ。
これは機密事項だからね。会社の人たちもほんのごく一部の人しか、ことちゃんたちの変化の事は知らない。だからことちゃんがみんなと仲良くなったのは、ことちゃんの努力だよ。安心していいよ」
私は父の言葉を聞いてちょっとほっとした。ただ父の次の言葉にまたまた度肝を抜かれたのだった。
「ことちゃん、どうして会社が大企業にまでなったのかそれを話そうね。ことちゃんたち、変化ができるかぐや姫の子孫は、生まれるときにあるものをもって生まれてくるんだよ。それが今の会社の発展につながっているんだ」
「あるもの?何なのそれ?私も持って生まれてきたの?」
「そうだよ。かぐや姫の子孫は皆、手に何かしらの葉っぱをもって生まれてくるんだ」
「葉っぱ?ただの?」
「葉っぱだけれど、ただの葉っぱじゃないんだよ。その葉っぱはね、その子の産まれた時代には欠かせない薬のもとになるんだよ。例えばおばあちゃんが持っていた葉っぱは、突然発症して爆発的に流行した病気の特効薬になった。お母さんが持っていた葉っぱは、慢性の病気の特効薬になったんだよ。その特許と売り上げで会社は大きくなったんだ」
「じゃあ私の持っていた葉っぱは?」
「今解析をしているけど、すごいものができると思うよ」
「へえ~。一枚の葉っぱでそんなことできるんだね」
「それが不思議でね。その葉っぱを土に埋めておくだけで、木になるんだよ。不思議だね」
私はかぐや姫の物語を思い出した。確かかぐや姫が入っていた竹から、大判小判がざっくざっく出てきて翁たちがお金持ちになったと物語ではなっていたけれど、現実は葉っぱだったんだな。確かにお腹の中に金銀財宝は入らないもんなあと変に感心したのだった。
「それからね、かぐや姫の伝説で帝が、かぐや姫からもらった不老不死の薬を富士山で燃やしたというのがあったろう?あれは後に作られた作り話だけどね。
真相はかぐや姫が持っていた葉っぱの事なんだよ。もちろん不老不死の薬ではなかったけれど、当時とても役立ったそうなんだ。それからだよ、国としてもかぐや姫の事を国で守ることになったんだ。
私も何も知らずにお母さんに一目ぼれしたからね。真相を知った時にはびっくりして腰を抜かしたよ。実際ね」
そういって父は私に笑った。その横でおじいちゃんも、私もだよ!といって二人顔を見合わせて笑っていた。
「ふうん、大変だったんだね。そうだ!かぐや姫で思い出したんだけど、お披露目会の時、みんな言ってたよ。私が初代に似てるって。みんな見たことあるの?」
私の疑問に今度はなぜか私を除いた四人が顔を見合わせた。なんだかみんな複雑そうな顔をしている。
「お披露目会に来た人たちはね、みんなかぐや姫の絵を持ってるの。まるで教祖様のように思ってるのよ」
母はそういって笑った。
「私も見たい!」
私は父や母にねだった。絵を見たいと。自分に似てる初代のかぐや姫ってどんな人なんだろう。そういえばみんな口々に言っていた。こんなにかぐや姫に似ていて将来が楽しみ!って。
やっぱり見るしかないでしょう!
しかし私の頭の中に急に何かがひらめいた。大企業の会長や社長だって?!それなら我が家はお金持ちということになる。毎日こんなお料理が食べ放題じゃないか。それに外国にだって行き放題じゃないか。
私はぐっふっふっと笑いがこみあげてきた。
そんな頭の中が欲望にまみれた私を、父はちょっと目を細めてみていた。
「ことちゃん、なんか勘違いしていないかい?確かにお父さんは社長で会社は大企業だけど、会社には大勢の人が働いているんだよ。我が家だけが、豊かな生活を送るなんてできないんだよ。
あとね、ことちゃんやおかあさん、おばあちゃんがここで平和に暮らしていけるのは、企業からの利益を使ってるからなんだよ」
私が父の言葉の意味を理解できずについ母を見ると、母も父の言葉に強くうなづいていた。
「ことちゃん、うちの会社から市へ多額の寄付をしているんだ。それでことちゃんの行っている中学校は、小規模でもやっていけてるんだよ。
本当ならいくつかの小学校が集まって、中学校ができているところが多いんだけどね、少しでもことちゃんの事を世間に知られないようにしているんだ。
ここの小学校区は皆うちの会社の社員の子達なんだ。ことちゃんが通ってる中学校も、小学校の子達しかいないよね。なるべくことちゃんの事が世間に知られないように、市や県ましては国まで動かしているんだよ。それもこれもうちの企業収益を流用しているからなんだ。ちょっと難しいけどわかるかな」
私は、なんとなくわかった。いくら世間に疎い私でも、この市内に世界にも劣らない大企業の本社があることを知っている。まさかそれが自分にかかわっていることはつい今まで知らなかったけれど。けれどどうしても父の言葉に気になることがあった。
「ねえお父さん、じゃあ学校の子達、みんな私の変化の事知ってるの?みんな仲良くしてくれているのも私が社長の子どもだから?」
父にそう聞きながら、私は悲しくてたまらなくなってきた。今までみんなと仲良くやってきたつもりだったけど、みんなは違ったのだろうか。親に言われていやいや仲良くしてくれていたのだろうか。
父は私の半泣きの顔を見て、優しく言ってくれた。
「ことちゃんの事は、会社の人たちから報告はうけている。けれどその誰もが自分の子供に、ことちゃんが社長の子どもだといっている社員はいないよ。
これは機密事項だからね。会社の人たちもほんのごく一部の人しか、ことちゃんたちの変化の事は知らない。だからことちゃんがみんなと仲良くなったのは、ことちゃんの努力だよ。安心していいよ」
私は父の言葉を聞いてちょっとほっとした。ただ父の次の言葉にまたまた度肝を抜かれたのだった。
「ことちゃん、どうして会社が大企業にまでなったのかそれを話そうね。ことちゃんたち、変化ができるかぐや姫の子孫は、生まれるときにあるものをもって生まれてくるんだよ。それが今の会社の発展につながっているんだ」
「あるもの?何なのそれ?私も持って生まれてきたの?」
「そうだよ。かぐや姫の子孫は皆、手に何かしらの葉っぱをもって生まれてくるんだ」
「葉っぱ?ただの?」
「葉っぱだけれど、ただの葉っぱじゃないんだよ。その葉っぱはね、その子の産まれた時代には欠かせない薬のもとになるんだよ。例えばおばあちゃんが持っていた葉っぱは、突然発症して爆発的に流行した病気の特効薬になった。お母さんが持っていた葉っぱは、慢性の病気の特効薬になったんだよ。その特許と売り上げで会社は大きくなったんだ」
「じゃあ私の持っていた葉っぱは?」
「今解析をしているけど、すごいものができると思うよ」
「へえ~。一枚の葉っぱでそんなことできるんだね」
「それが不思議でね。その葉っぱを土に埋めておくだけで、木になるんだよ。不思議だね」
私はかぐや姫の物語を思い出した。確かかぐや姫が入っていた竹から、大判小判がざっくざっく出てきて翁たちがお金持ちになったと物語ではなっていたけれど、現実は葉っぱだったんだな。確かにお腹の中に金銀財宝は入らないもんなあと変に感心したのだった。
「それからね、かぐや姫の伝説で帝が、かぐや姫からもらった不老不死の薬を富士山で燃やしたというのがあったろう?あれは後に作られた作り話だけどね。
真相はかぐや姫が持っていた葉っぱの事なんだよ。もちろん不老不死の薬ではなかったけれど、当時とても役立ったそうなんだ。それからだよ、国としてもかぐや姫の事を国で守ることになったんだ。
私も何も知らずにお母さんに一目ぼれしたからね。真相を知った時にはびっくりして腰を抜かしたよ。実際ね」
そういって父は私に笑った。その横でおじいちゃんも、私もだよ!といって二人顔を見合わせて笑っていた。
「ふうん、大変だったんだね。そうだ!かぐや姫で思い出したんだけど、お披露目会の時、みんな言ってたよ。私が初代に似てるって。みんな見たことあるの?」
私の疑問に今度はなぜか私を除いた四人が顔を見合わせた。なんだかみんな複雑そうな顔をしている。
「お披露目会に来た人たちはね、みんなかぐや姫の絵を持ってるの。まるで教祖様のように思ってるのよ」
母はそういって笑った。
「私も見たい!」
私は父や母にねだった。絵を見たいと。自分に似てる初代のかぐや姫ってどんな人なんだろう。そういえばみんな口々に言っていた。こんなにかぐや姫に似ていて将来が楽しみ!って。
やっぱり見るしかないでしょう!
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