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43 仲直りしました

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店を出た敦子たちだが、奈美と結衣から強く言われた笹川が、敦子を送っていくことになった。

奈美と結衣は、それぞれの彼氏に送ってもらうようだ。

奈美たちに見送られた敦子と笹川は、駅に向かって歩き出した。

「 今日は、ごちそうさまでした。 」

「 いえいえ、いつも仕事お願いしてるしね。そういえばさっき玉山さんだっけあの人いたね。何かあったの? 」

笹川は、敦子にそう聞いてきた。

敦子は、何と言っていいかわからず下を向いた。

「 何か困ったことがあったら、僕にいって。力になるから。 」

その声で敦子が笹川を見れば、笹川が微笑んでくれていた。

それから、笹川は敦子の最寄り駅まで一緒に行って、結局アパートの前まで送ってくれた。

その間中、敦子に気を使って何かと話しかけてくれて、敦子も二人でいることに緊張しないですんだ。

「 今度は二人で食事にでも行きたいな。じゃあまた。 」

そういって笹川は、また駅まで戻っていった。

敦子は、笹川があまりに普通に言ったので、一瞬何を言われたのかわからなかったが、理解したとたん急にびっくりした。

「 あれってお誘いなのかなあ。 」

敦子が一人つぶやいた時だった。

「 そうなんじゃないの。 」

無駄に低く怒ったような声がした。

敦子が驚いて後ろを振り返ると、玉山が立っていた。

「 玉山さんいつの間に・・・・。 」

言葉を続けようとしたが、玉山の顔を見て言葉が出なかった。

玉山はすごく怒っているように・・・見えた。

玉山が怒ると怖い!そんなことを実感した瞬間だった。

「 どうして連絡してくれなかったの。それに・・・。 」

玉山が、話を続けようとしたが、今度は玉山が、話を続けられなかった。

敦子は、自分の頬を何かがつたっていることに気付いた。

頬に手に当てて触ってみる。

手に温かなものがついた。

自覚はなかったが、どうやら自分は泣いていたらしい。

どうやら玉山は、敦子が突然泣き出したので、びっくりして言葉を失ったらしい。

「 ごめん。 」

玉山はそういうと、つっ立っている敦子の前にいき敦子を抱きしめた。

「 ほんとにごめん。泣かすつもりはなかったんだ。 」

敦子はそのまま抱きしめられていたが、上から声がしたのでつい上を見た。

玉山も苦しそうな顔をしている。

敦子がまた下を向いたので、玉山はまだ敦子を抱きしめていた。

どれくらいたっただろうか。

敦子が急に気まずくなって玉山の体を押すと、玉山の手が緩んだ。

「 どうして連絡してくれなかったの。 」

玉山はどうしても訳を知りたいようだ。

「 だって玉山さん。。。。 」

敦子は、恥ずかしくてつい小声になってしまった。

「 えっ、なんていったの。 」

玉山はじっと敦子の顔を見つめている。

敦子は、もうどうともなれといった気持ちで声を大きくしていった。

「 だって玉山さん、小池さんと仲良かったじゃないですか!ロビーで見た時だって。。。 」

はじめ大きく声が出た敦子だったが、次第に小さくなっていった。

小池さんに嫉妬している自分が恥ずかしかったのだ。

玉山はしばらくぽかんとしていたが、急に笑顔になった。

「 小池さん? もしかして焼いてくれたの? 」

敦子は言葉は出なかったが、玉山に言い当てられて顔が真っ赤になってしまった。

玉山は敦子の真っ赤になった顔で、分かったのか、また敦子を抱きしめてきた。

「 えっ_。 」

突然また抱きしめられてびっくりした。

「 うれしいよ。ほんとに。 」

抱きしめられて声しか聴けないが、声からも玉山が本当にうれしがっていることが分かった。

敦子は玉山の顔を見ようと、抱きしめられている体をもぞもぞさせたが、腕の力が緩まることはなかった。

「 見ないで。今自分の顔がやばい。 」

「 やばいって? 」

敦子が聞き返すと、玉山が言った。

「 顔が半端なく緩んでいる。うれしすぎて。 」

その声を聴いて、敦子ももう見なくてもいいやと思った。

そのとき、どこからか声がした。


「 いつまでそんなことしてるんだね。早く入ってきなさい。 」

声のする方を見れば、大家さんのご主人が玄関のドアを開けて、あきれたような声を出していた。

二人は素早く体を離してお互いの距離をとった。

「 何やら声がするから、玄関を開けてみたらびっくりしたよ。あっはっは。じゃあお休み~。 」

大家さんのご主人の出現で、すっかり先ほどの出来事が、遠い過去にいったようだった。

お互いの顔を見るとふたりで笑っていた。

「 じゃあ帰ろう。 」

すぐそこだが、玉山は敦子の手をとって歩き出した。

敦子の部屋の前に来ると玉山が言った。

「 明日ドライブいこう。 」

「 あっ、はい。 」

「 じゃあ明日また。10時に呼んで。 」

そういって玉山は先に敦子に部屋に入らせると、自分も部屋に入っていった。

しばらくして敦子がお風呂から出てくると、玉山から連絡があった。

『 明日は、高原の方へいこう。 』

敦子は髪を乾かすのも途中で、またクローゼットの方へ走っていった。



翌日はよく晴れていて、秋らしい日となった。

玉山の車に乗るのは何回目だろうか。

すっかり慣れたシートで、ドライブに出発した。

高原へは高速を使ったが、混んでいなくてスムーズに行けた。

まだ紅葉にはちょっと早いおかげだろうか。

まず高原にある美術館に行った。

そこは、いろいろなオルゴールやガラス細工も飾ってあった。

2人で、のんびりと眺めたり、のぞき込んだりして楽しんだ。

出口付近にある売り場では、いろいろなオルゴールが置いてあった。

敦子がかわいらしいオルゴールをつい手にとって眺めていると、これ気に入った?と言って、玉山はひょいっと持っていってしまった。

売店でお金を払って戻ってきた玉山は、今日の記念に!といってきれいな包装紙で包んでくれた箱を渡してくれた。

敦子は、笑顔でお礼を言ったが、その顔を見た玉山も嬉しそうだった。


次にそばにある湖に行った。

湖に着くと、真っ青な空が、湖に映りこんできれいだった。

2人いつものように玉山から手を差し出されて、手をつないで湖脇の遊歩道を歩いた。

吹く風もずいぶん秋らしくなっていた。

敦子は今日は、歩くことを予想してスニーカーにした。

洋服もめずらしくカットソーにパンツスタイルだ。

キレイ目な色合いのカットソーがあったからだ。

一応バッグの中には、寒さ対策として薄いカーディガンも入れてある。


しばらく遊歩道を歩いていたが、道のわきにホテルがあった。

遊歩道から併設されているカフェに入れるようになっている。

店の入り口に置いてある看板を二人で見た。

イギリス式アフタヌーンティーセットと書いてあった。

時間を見ると、先ほどの散歩でずいぶんゆっくりしてしまったのか、2時を過ぎていた。

敦子が食い入るように看板を見ていたのがおかしかったのか、玉山が笑った。

「 ここに入る? 」

言いながらもまだ笑っていた。

敦子のうれしそうな様子を見ていった。

「 ここに入ろう。 」

そういってふたり、店に入っていった。

その途中玉山の言った言葉で、敦子の足が凍り付いた。


「 昨日一緒にいた人の話、よ~く聞かせてね。 」


敦子が、玉山の目を見れば、目が笑っていなかった。 




























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